2010年12月31日金曜日

マニュアル外の仕事

3年前から「あんしん宅地」と称して、地質技術の民間需要・一般産業化を目指した取り組みを行ってきました。その後リーマンショックを発端とする不況もあって、頓挫しかけましたが、このところハウスメーカーや個人からの依頼がまた増えてきました。
 今年の新たな傾向としては、基準書どおり、あるいは特に問題のない一般的な地盤調査なら自分の会社で調査をするが、宅地背後の斜面や宅地の地すべり、谷埋め盛土問題など、“イレギュラー”がある案件については、地質技術者たる私たちに調査を依頼するということがありました。たとえば、

・家の一部をリフォームしたいが、背後に斜面があり崩れる恐れはないか?
・擁壁の改修を手掛ける建築会社の依頼をしたが、既存不適格でその建築デザイン会社の技術の範ちゅうではないといわれた。なんとかならないか。
・法面が傾斜方向と斜行する方向に崩壊が拡大していったのはなぜか?

 また、マスコミで深層崩壊や谷埋め盛土の危険性を指摘する番組があった際に、自宅は果たしてどうかという調査依頼もありました。 こういう状況を見ていると、“ニーズはある”といえます。今年はiPadや電子書籍など新しいメディアも台頭しました。これから家を買うであろう、私たちの同世代を中心に、地質技術の存在を伝える機会がひとつ増えたといえます。ビジネスチャンスの開拓のために、ここは来年手を打つべきポイントといえるでしょう。

2010年12月30日木曜日

無参照世代

 昨日の記事で平成世代について書きましたが、神奈川新聞にも世代論が書かれていました。それによると、いわゆる団塊の世代、全共闘世代、団塊ジュニア世代、バブル世代、などなどいろんな名称があるなかで、いまの20代は○○世代という名称がつけられない、戦争やオリンピック、バブル経済など、時代を象徴する出来事がなく、それぞれが自己の中に入り殻を破らない。バブル世代は最後の”塊”である。と書かれていました。
 その”塊”とは、神奈川新聞の記事によると、私たちより5年くらい上のようです。この業界においては20代前半のころ絶頂期だったのだろうと思います。私は95年に社会人になりましたので、その後は、まさしく地すべりの断面図のような時代展開(急激な滑落崖と低平なだらだらとした移動体)でした。さて、これを低成長のまま続く地滑り地帯ととるのか、いやいやよくみたら繊細な環境があって生態系が豊富、傾斜地を登る体力を厭わなければ豊穣な農地にもなるじゃないかとなるか、、、いずれにしても、いい年にしたいですね。

2010年12月29日水曜日

バブルを知らない平成世代

 昨日は忘年会だったのですが、学生アルバイトも参加してくれました。いまの学生さんは平成生まれで、生まれたころにバブルがはじけ、モノごころついたときから不況です。そのせいかどこかクールです。仕事の面では、ワード・エクセル・CADが当然のごとくあった世代です。
 一方私たちの世代は、こういったデジタルとアナログの移行期、端境期でした。社会人一年目の最初の仕事はスクリーントーンの買出しでした。いまにして思うのは、手書をするときの脳みその動き、現場のスケッチの精緻さ、そして”味”、、そういったものを直接知る事ができましたので、いい経験だったと思います。来年は40になりますので、こういったところを伝えて生きたいし、ポストバブルの最初の世代として、リードできるところはリードしなければいけない年頃になってしまいます。

2010年12月28日火曜日

寒い、、現実路線

温暖化対策、現実路線への転換焦点 排出量取引棚上げ、産業界に配慮
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101228-00000015-fsi-bus_all

 排出量取引制度は企業に二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出枠を設定する制度。枠を超えて排出した企業は、排出量を枠内に抑えた企業から市場を介して排出枠を購入する。排出削減コストが高い企業は、コストの低い企業から排出枠を購入することになるので社会全体のコストを最小限にできるメリットがある。 
 しかし、制度運営の難しさも指摘されていた。仮に過去の生産活動の実績に基づいて排出枠を割り当てるとすれば、成長途上の企業は小さな枠しか得られず不利になってしまう。省エネ機器を生産する企業も生産を増やすことが難しくなり、環境産業の育成を阻害しかねない。気候や景気動向が排出枠の市場価格に影響し、投機を招くとの懸念も指摘されていた。
 産業界は、負担増大のほか「排出枠の割り当ては統制経済につながる」などと一貫して反発。コスト削減につながる省エネの追求は「当然のこと。排出量取引制度は省エネ化の動機付けにならない」(日本自動車工業会)との立場だ。
 制度のデメリットを回避するには運用を柔軟にするしかない。ただ、同様の制度を導入している欧州連合(EU)では、各企業に割り当てる排出枠を大きくしたため、実質的な排出削減につながっていないなどの批判が出始めている。

そろそと帰省しますが、九州は大寒波です。今年はエコポイントやエコカーの駆け込み需要でちょこっと景気がよくたったとかならないとか、、、多分そろそろビジネスのネタとしてのCO2の存在感は、本来の姿である”空気感”に戻るのでしょう。

2010年12月27日月曜日

書類地すべり

 この時期社内の大掃除をされる方も少なくないかと思います。不精な私は、机の上の書類地すべり防止対策に苦慮しております。右側部は通路となっており、応力が常時開放されています。左側部はというと、対岸の同僚の席の書類がどうも3次クリープに入りそうな勢いで、両者の谷底が埋め尽くされてしまいそうです。
 なにしろこのところ現場でばたばたでしたからアンカーも杭も排土もろくにしておりませんでした。それどころか、学会誌などをつめこんだバランスの悪いケースは蛇紋岩のごとく膨張し、アンカーがきかない状態になっていました。
 唯一不同土塊と言える場所は、たぶん元気があったんでしょう、適度な厚さでクリップ度めして指交状態にしておいたところです。あるいは、パソコン本体が押え盛土となって動きがとまったところか、、!?
 管理がいい加減なところは、クリアファイルやわら半紙、B5とA4サイズの書類が交っていたり、かなり不均質な状態です。体質でしょうか、社会人15年目ですがどうも書類地すべりが収まりません。こんなやつが、地すべり防止工事士であり、あんしん宅地やろうってんだから、、、、みなさんはきちんと未然の防災対策をしてくださいね。

2010年12月26日日曜日

テフロクロノロジーによる斜面発達史

 Googleアラート”地すべりで、徳島大学機関リポジトリに掲載されている論文が届きました。著作権の関係で、最新ではなく2008年の論文です。

 テフロクロノロジーによる徳島県神山町の高根地すべり,東大久保地すべりの発生時期の推定
 http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/repository/metadata/62128
 
 この論文では、ATの降下前後に初生地すべりが発生、K-Ah堆積時までにも大きな変動があったことが明らかにされています。また、砂防学会誌にも、テフロクロノロジーを用いて斜面変動履歴を試みた論文がありました。

 深層崩壊発生危険地におけるテフロクロノロジーによる斜面変動履歴の解明 - 宮崎県鰐塚山の2005年崩壊地周辺 - ,砂防学会誌,Vol63,№2,2010

 こちらの論文では、7300年前に降下したアカホヤ火山灰の堆積状況から、アカホヤ降下堆積時の土層断面が安定している箇所や、二次移動している箇所、その後削剥された箇所などの関係から斜面安定度が検討されています。

 調査手法や目的は同じといってもいいのですが、”地すべり”と”深層発生危険地”という言葉が使い分けられています(宮崎の鰐塚山の判読をしたことはありますが、土塊の原型がのこって”地すべり”という言葉がぴったりの場所もあります)。斜面の地形発達史は私の研究テーマでもありますが、こういった研究を科学的、客観的に評価し、リスクマネジメントに反映されればよいと思います。事業をやるための単純化された理由付けされるのは先細りの始まりですから。最近調査のための調査が多いので、特にそう感じます。

2010年12月25日土曜日

ひとめでわかる

 土木学会関西支部で、建設技術展近畿「土木実験・プレゼン大会」~どうして?なぜ?が一目でわかる~というイベントが開催されていました。これは、Googleアラート「地すべり」で、藤井基礎設計事務所の斉藤さんが制作された「地すべりが動く理由を知ろう」という記事で知りました。

 建設技術展近畿「土木実験・プレゼン大会」~どうして?なぜ?が一目でわかる~
 http://www.jscekc.civilnet.or.jp/secretaries/citizen/2010/kengi/
 地すべりが動く理由を知ろう  http://www.jscekc.civilnet.or.jp/secretaries/citizen/2010/kengi/02.pdf

 やってみれば高価な材料が特別な道具を使っているわけではない。実にシンプルです。もともと自然とはそういうものかも知れません。そして、わかりやすい表現をするということについて、子供にもわかりやすい模型をつくる、このことはコンサルの技術者はかななかやっていなかったのですが、”市民目線”が少しずつ浸透しているように思います。

2010年12月24日金曜日

クリスマス・イブ

 名作には印象的な出だしが多いものです。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」のように。「雨は夜更けすぎに、雪へと変わるだろう」もそうでしょう。言わずとしれた山下達郎の「クリスマス・イブ」が発売されてから、今年で25年だそうです。私は九州出身ということもあり、実際、雨が夜更けすぎに雪へと変わった瞬間をみたことはありませんが、日本の自然を美しく描写していると思います。

2010年12月23日木曜日

基礎自治体(市町村)の役割と防災

 斜面や渓流の点検をしていると、よく話しかけられることのひとつに「ここはよく崩れるから役場に対策してくれと言ったが、何もしてくれん」と愚痴をこぼされることがあります。邪推ですが、役所としてはそりゃあ県の仕事だ、という意識があるのでしょうか。殆どの住民の方は、まず市町村に駆け込むというのが、全国的な傾向です。特に裏山や沢を背後に抱えている人は、大雨が降るごとに災害を身近に感じますから、身近な役所に相談するのでしょうか。県の仕事で、、と言うと”意外”な表情をされます。

2010年12月22日水曜日

ホームページビルダー15

 ホームページビルダーが15までバージョンアップしていることを知りました。いわゆるSEOやCSSに対応したテンプレートが多数そろえられているようです。

http://www.justsystems.com/jp/products/hpb/css_template.html

 私たちの業界は、一般社会向けではないために、洗練されたデザインが少ないような気がします。というようリは公共事業調達において、このようなセンスは問われません。ホームページビルダーは安価ですので、ちょっと試してみようと思っています。

2010年12月21日火曜日

研究分野の断層

 今日からの現場は、いわゆる近畿トライアングルの東側に当たる鈴鹿山脈の近くです。山地、丘陵地、台地、平野の配列でとても教科書的で、私たち地形屋のいうところの”きれいな地形”の典型です。山地の境界は活断層で画されているわけですが、山地側は地質学、丘陵と台地は地形学、活断層関連はもちろん活断層学会と地理学評論、平野は地盤工学会誌がメインという、研究分野の断層も明快なところです。

2010年12月20日月曜日

暑?

 少し前の話題になりますが、今年の漢字は『暑』だそうです。毎年、まあそうかとある程度の納得はしていたのですが、これはちょっといかがなものかと思います。ヨーロッパでは大寒波が来ているし、これからクリスマスにかけては”記録的”に寒くなる可能性だってあります。そもそも地球の”ちょっとしたゆらぎ”で暑くなっただけ、例えば100年まえからいまの気象観測網が整備されていたら、新記録ではなかったかも知れないのです。政局を代表する節操のなさ、代わり映えのなさからいって”滞”かもしれません。前向きな字ではありませんが、、、

2010年12月19日日曜日

土壌汚染調査管理技術者試験

 という長~いタイトルの試験を受けてきました。まあ、実務に関わっておらず座学でちょこっとやったくらいですから受かっているわけはないのですが、技術論ではなく手続き論が問われているなあというのが率直な感想です。"技術”より"管理”の方が、、

2010年12月18日土曜日

専門学校大卒者の入学増加

 なんともへんなニュースです。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101218-00000005-maip-soci
 就職活動で企業の内定を得られなかった大学生が卒業後、専門学校で「就活」に再挑戦するケースが増えている。文部科学省の調査では今年度、大学卒業後に専門学校に入学した学生は約2万人で、前年度に比べ4000人近く増加した。専門学校に進むことで、「既卒」ではなく「新卒」扱いとなり、有利に働くのではとの思惑も背景にあるという。“超氷河期”の中で就職先を探す大卒者らを対象に、新コースを設ける専門学校も出てきた。

 本質である独創、実証的研究が、あくまでツールである資格に使われるということでしょうか。由々しき事態です。

2010年12月17日金曜日

難しい数式が多く出てきてよくわからない

 砂防学会誌で「日本の国土の変遷と災害」の講座が始まっています。この講座をはじめるにあたり、アンケートをされたそうですが、その際「難しい数式が多く出てきてよくわからない」という意見が多かったそうです。なんと率直な感想でしょう。数式の難解さもさることながら、結局初期条件によってなんとでもなるし土砂移動実態は再現、解明は基本的に無理だろうという思いもあるのではないでしょうか。わかることを着実に観察していくという地道な活動の報告が、結局読みやすい、理解しやすいということになるのでしょうか。

2010年12月16日木曜日

倚りかからず

もはや できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて 
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

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この詩は私が最も好きな詩のひとつです。茨木のり子さんが1999年に出版された本で、15万部近くを売り上げたそうです。

http://www.amazon.co.jp/%E5%80%9A%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%9A-%E8%8C%A8%E6%9C%A8-%E3%81%AE%E3%82%8A%E5%AD%90/dp/4480803505

このところの仕事は、調査者の判断よりもPCの計算式に依りかかってしまっていて、起き上がるのもむつかしい状態になっています。踏査をしていると、依りかかるのが椅子ではなく転石だったりしますが、できあいのデータには依りかかりたくないものです。

2010年12月15日水曜日

砂防学会に入会しました

 一度はやめていたのですが、砂防学会に入会しました。最近相次いだ土石流災害の調査報告が多く掲載され、古期土石流堆積物の年代測定や、アカホヤ火山灰を使った崩壊履歴の判定など、地形発達史を考える上で面白い論文が多く掲載されていること。そして、来年5月で横浜で学会が開催されるため、川崎住まいの私にとっては好都合だったからです。

 そして今日、平成22年度に発刊された砂防学会誌が全て届きました。以前よりも表紙も洗練されたとおもったら、よく見ると緑と砂防ダムの構造という”いかにも”なデザインでした。

 昨年7月に発生した山口県防府の土石流災害では、古期土石流堆積物のC14年代から、概ね140~200年といったスパンで昨年のような土石流が繰り返されていること、庄原の土石流災害の報告では、崩壊の発生素因となる不透水層は”相対的”な存在であることが示されました。

 これらは土砂移動現象を理解する上でとても重要な知見であり、効果的な砂防計画にも生かされるべきですが、なぜか”魔法の土砂整備率”と一率の土質定数とTINの精度でどうにでもなる計算モノばかり、、斜面や堆積物の気持ちが理解できる雰囲気ができないと、またやめたくなっちゃいます。

2010年12月14日火曜日

論文一本

 今日応用地質学会誌が届きました。薄いなあと思ったら掲載された論文が一本でした。今年10月に松江で行われた学会で、各セッションの座長さんが『いまご発表された内容をぜひ投稿してください』と盛んにアナウンスされていましたが、ここまで少ないとは思いませんでした。 学会の発表数はとても多いにも関わらず、それが論文化されない背景についれ詳しい事情は知りませんが、さすがに今回の51巻5号は寂しさを感じました。そういう私ですが、このところ現場三昧でなかなか論文に仕上げる時間が取れません。

2010年12月13日月曜日

地すべり地の悲哀

 いままた現場です。地すべり調査をしています。地滑り地には緩斜面に畑が広がり、日本の原風景を形成しているのですが、いまの現場は限界集落がとても多い。この素晴らしい景色が知られなくなってしまうのではないでしょうか。

2010年12月12日日曜日

砂防学会(深層崩壊を考える)

 砂防学会の特別シンポジウム『深層崩壊を考える』が、来年1月18日に東大で開催されるとのこと。

 http://www.jsece.or.jp/news/2010/201011-4.pdf
  最近注目を集めている深層崩壊について、これまでの研究の成果から深層崩壊の実態を明らかにするとともに、その多様性について議論し、今後の対策の方向、研究の方向を探る。

 地質学会や応用地質学会は共催になっていません。うちの会社でもどういうわけか砂防学会の会員はいません。もうすこし譲歩した方がよいように思いますが、、、

2010年12月11日土曜日

次のテーマ

 私は応用地質学会の応用地形学研究小委員会に属しています(なんで”小”がついているのか)。この委員会は平成7年に始まったといいますから、私が社会人になってからずっと続いていることになるのですが、なんと未だに私が最年少です。そのせいか、ちょっと委員会のHPもないし、ちょっと古さを感じます。いまは電子書籍もあることですし、「市民のための地形、地質学」や応用地形学的ガイドマップも電子書籍化することを提案してみようかと思っています。

2010年12月10日金曜日

手計算で安定解析

 うちの社長は地すべりの安定解析を関数電卓片手によく手計算しています。その方がどこに問題点があるのかわかるということなのです。最近はエクセルでも2万円弱で地すべりの安定解析ソフトを購入できるようになっています。

 Excelによる安定計算(円弧/複合すべり),斜面補強工設計(データ入力 等),法面施工管理ツール
 http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se324739.html

 一方で、ネットでいろいろと調べていたら、盛土の安定解析の苦労話(手計算で徹夜でやり直した)という話もありました。

  http://www5b.biglobe.ne.jp/~kstree/intro/010.html

2010年12月9日木曜日

レーザー計測と地生態図

 地理学評論の2010年11月号に、地形と生態系に関する以下の論文が掲載されていました。

 佐藤浩ほか(2010):航空レーザー測量データ及びハイパースペクトルセンサーデータを用いた白神山地・泊の平地区における地生態学図の作成,地理学評論83巻6号,pp.638-649

 固有名詞がすごく長いのですが、航空ハイパースペクトルセンサーによって、地形や地表を覆う植生の状況が高精度にわかるというものです。
 地生態学の意義は社長が以前から論じていたところではありました。例えば

 応用地生態学  http://www.kankyo-c.com/geo_eco.html
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=jjseg1960&cdvol=47&noissue=5&startpage=297&lang=ja&from=jnlabstract

 地理学評論の論文では、先行研究の植生分布図、線的に行われている現地調査の結果をもとに作成されているため、一様な精度で面的に図化するのは難しいと指摘されています。これは難しいというよりは、企業の職員としてやるには時間がないといったほうが近いと思います。当然のことながら、頭の中では面的に把握しているわけです。現場を歩くときは調査側線をメインとはしながらも、周囲の地形、地質(転石、露岩、断層の有無、集水地形かどうか、、、)など、いろんな”系”を想像しながら歩くわけで、ルートマップは面的に作成していますし(メンタルにはもっと)、地理学評論が指摘するほど難しいわけではないと思います。この域に達するには、10年くらいは空中写真判読と地形図と現地調査のフィードバックを繰り返さなければいけませんが、地表・地質踏査の醍醐味でもあります。
 ただ、レーザー計測の精度はやはり圧倒的です。あくまでツールとして、強力な味方にはなります。うまくハイブリッドして、環境調査にも活かし、仕事にしてみたいところです。

2010年12月8日水曜日

土壌・地下水汚染原位置浄化技術

 土壌汚染関連の話題を続けます(といっても現場で携帯から書いているので手短です)。日本工業出版のサイトで、上記タイトルのような500円の小冊子があるのを知りました。

 土壌・地下水汚染原位置浄化対策
 http://www.nikko-pb.co.jp/products/detail.php?product_id=2237

 民間がマーケットだけに、地形・地質に関する調査技術よりもこのような企業の競争が活気があるような印象です。

2010年12月7日火曜日

土壌汚染対策法

 Googleアラートで「土壌汚染」に関するニュースがヒットするように設定してますが、あるブログに、「国と地方の温度差」という記事がありました。

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よく誤解されるのだが、土壌汚染対策法とは「土壌汚染を根本的に浄化する」ことを目的にした法律ではない。第1条を見てもらえば分かるとおり、土対法はまず「汚染状況の調査・把握」を目的とする法律であり、その上で「健康被害の防止」を狙いとする。健康被害の防止というのは、必ずしも「その土地の汚染を根本的に、完全に除去する」ことを目的とするのではなく、むしろ「拡散の防止を図る」ことの方が重要である。
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 多分この方の文章から透けて見えるのは、技術論よりも手続き論が優先されてしまう現状があることでしょうか。土砂災害対策法に基づく基礎調査などはまさにその典型ですが、この”利系の発想”こそ拡散を防止すべきです。土石流やがけ崩れは、よけられないほとの突発的な現象であるとはいえ基本的に目に見える現象ですし、”コトが収まれば”しばらく動きませんし斜面がなければ発生しません。これに比べると土壌汚染は資産集中部でのことですから、自然科学を客観的に評価する目がより重要ですので、マニュアルを免罪符にしてほしくないものです。

2010年12月6日月曜日

アセス法改正 - 異例の継続

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101203-00000011-mai-pol
 臨時国会が3日で会期末を迎え、環境影響評価(環境アセスメント)法改正案が時間切れで継続審議になることが確実になった。今年の通常国会で参議院を通過し、今国会でも衆議院で可決したが、同じ国会で衆参両院の議決を得られなかったために不成立という異例の展開となった。
 改正案は、風力発電所を新たに環境アセスの対象事業に加えたほか、事業の検討段階からアセスを実施する「戦略的環境アセスメント」を事業者に義務づけるもの。今年の通常国会に政府提案で提出され、参院で4月に可決した。
 しかし鳩山由紀夫首相(当時)辞任の影響などで衆院では継続審議となった。臨時国会は衆院から先に審議し、11月25日、全会一致で可決したが、与野党対立の余波で参院の審議時間が足りなくなった。
 法案の成立には「同じ国会で衆参両院が可決する」というルールがある。年明けの通常国会では、来年度予算の審議が優先されるため、成立は春以降になる公算が大きい。
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地味な記事ですが、このような街づくり、区画整理など、暮らしに密着した政策に関する議論がどんどん遅れると、そのときになって”知らなかった”事態になりそうです。私も環境アセスメントに携わった事がありますが、基準書・白書・去年の例などに合わせて、如何に手際よく量をこなせるかが評価の対象でした。時にアワスメントと揶揄されながら。。。本当のアセスメントを持っていくために、地質や環境評価を科学に基づいた客観的な判断を行うといった、議論の成熟まではものすごく時間がかかるような気がしてしまうわけです。本当に地味ですが、社会的損失のリスクがあります。

2010年12月5日日曜日

ハザードマップの比較(道路と砂防)

 以前にも紹介した「基礎工」2010年8月号ですが、なんとなく読んでいるうちに『道路斜面防災におけるハザードマップとその活用』と『土砂災害ハザードマップとその活用』とを比べてみると、、「ハザードマップ」の意味合いがちょっと違うのではないかという印象をもちました。
 
 両方とも『斜面から発生する土砂移動現象』という”ハザード”の部分は共通のはずなのです。まず、道路防災の方では、「道路防災地質図」「土砂到達範囲の予測」といった技術論がまとめられています。一方で、土砂災害ハザードマップの方では、設定された危険区域は既成事実として、その住民へのアウトリーチを主眼としてまとめられています。
 これは土砂移動によるリスクが道路か人かの違いであり、後者は「土砂災害防止法」があり、法律論にもなっています。後者のハザードは「(急傾斜地の)崩壊」「土石流」「地すべり」の3種類であり、最近は「深層崩壊」も仲間入りしそうな感じですが、土砂移動や斜面の挙動が法の網にひっかかってくれたら苦労はないのです。むしろ「防災」という目的をシンプルにして、土砂移動に関する議論は現場に基づき個別の議論があった方がよいように思います。

2010年12月4日土曜日

マニュアル外の仕事

3年前から「あんしん宅地」と称して、地質技術の民間需要・一般産業化を目指した取り組みを行ってきました。その後リーマンショックを発端とする不況もあって、頓挫しかけましたが、このところハウスメーカーや個人からの依頼がまた増えてきました。
 今年の新たな傾向としては、基準書どおり、あるいは特に問題のない一般的な地盤調査なら自分の会社で調査をするが、宅地背後の斜面や宅地の地すべり、谷埋め盛土問題など、“イレギュラー”がある案件については、地質技術者たる私たちに調査を依頼するということがありました。たとえば、

・家の一部をリフォームしたいが、背後に斜面があり崩れる恐れはないか?
・擁壁の改修を手掛ける建築会社の依頼をしたが、既存不適格でその建築デザイン会社の技術の範ちゅうではないといわれた。なんとかならないか。
・法面が傾斜方向と斜行する方向に崩壊が拡大していったのはなぜか?

 また、マスコミで深層崩壊や谷埋め盛土の危険性を指摘する番組があった際に、自宅は果たしてどうかという調査依頼もありました。
 こういう状況を見ていると、“ニーズはある”といえます。今年はiPadや電子書籍など新しいメディアも台頭しました。これから家を買うであろう、私たちの同世代を中心に、地質技術の存在を伝える機会がひとつ増えたといえます。ビジネスチャンスの開拓のために、ここは来年手を打つべきポイントといえるでしょう。

すべての尾根、谷を歩いた

 明日から千木良先生の論文の対象となった現場へ行きます。これは以前にも書きました。

 http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=jjseg1960&cdvol=25&noissue=4&startpage=182&lang=ja&from=jnltoc

 千木良先生の著書に『風化と崩壊』という本があります。このなかで、対象とした地域は、ほとんど全ての尾根、谷に私の足跡がついているはずである、という文章がありました。普通の人なら「豪語」といわれそうですが、その綿密な地質図、スケッチを見ていると、地質学の基本を教わっている気分にひたることができます。

2010年12月3日金曜日

歩く力、書く力

 私は運動は昔から得意ではなかったし、持久走も中の下といったところでしょうか。ところがこの会社に入って急激に踏査が増えたので、山を歩くことに対する不安が小さくなっていったと同時に多少体力もついたような気がします。同じように、ブログを書いていると知的生産に関わる基礎体力のなさも痛感することがあります。物事に対する理解度がもろに出てしまいますので、、、

2010年12月2日木曜日

宅地診断のトリアージ?

 なんとかしてあげたい気持ちはありますが、こりゃあどうにもならんということがあります。個人の相談なので詳しい話は触れませんが、地盤条件はもとより、もう変状がすすんでどうにもならん、あるいは誤った対策工によって個人の費用ではどうにもならんことがあります。トリアージみたいに、あきらめの境地になることがあります。

2010年12月1日水曜日

立山に氷河?

 日本初、氷河の可能性
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101130-00000154-jij-soci

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立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町)は30日、同県の北アルプス立山連峰・雄山(3003メートル)の東にある御前沢雪渓に、氷河が存在する可能性が高いと発表した。氷河が確認されれば、日本初となる。 標高が高い山の谷や沢で、夏でも雪が解けずに残る地域を雪渓と呼ぶ。氷河は、雪渓の下にある巨大な氷の塊(氷体)が1年以上、継続的に流動するものと定義されている。
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うがった見方かも知れませんが、地球温暖化に伴う豪雨を背景に砂防を進めてきた一方で、氷河の発見もあるのだから、最終氷期からの気候変動の議論が活発になる??

2010年11月30日火曜日

iPad & 地質調査

 今岡さんのブログや太田さんのメルマガが、iPadに関する記事でにぎわっています。当社の社員でiPadを持っているのは常勤技術職員9名(来年4月から10名)のうち一人だけです。では実務ではどのように使われているのかと思い、iPad & 地質調査でググッて見たら次のような記事がありました。

 業界からの期待! iPadの現場図面(PDF化した)ビュアーとしての利用法
 http://www.dosokuken.com/topics/2010/05/ipad.html
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巷では電子書籍を含めたiPadの発売でにぎわっているが、じっくりiPadの仕様とiPhoneやiPod Touchなどで便利と感じた操作性から考えると「業界の業務」でこの機能を有効活用できないかと考えてみた。特に現場で書類や図面が必要となる場合を想定してパソコンを持ち歩く場合、重さや操作性(起動時間)でかなりストレスを持っている方も多いであろう。かといって書類や図面のデータ化はコンパクト且つ即時性(電子検索など)として大変重宝しているはずである。
 (途中略)
以上、この考え方としては今後多く発表される予定の「電子書籍閲覧機器」でも可能と思われるので、ぜひ開発関係者の方は

1、PDFのビュア。(大量ファイルの閲覧・検索が可能)
2、閲覧時iPadやiPhone/iPad Touch同等の片手でできる操作性。(拡大・縮小、移動など)
3、片手でもって片手で操作でき、長時間の持続性(スタミナ電源)、とできれば防水・簡易衝撃などに対応できれば更に良い。

という「PDFビュアー」が可能な商品をご検討頂ければ幸いである。
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突き詰めると「持ち運びの軽さ」につきるのでしょうか。あんしん宅地規模の現場では、ペンタブで絵をかけるようになれば便利で”スタイリッシュ”かもしれません。

2010年11月29日月曜日

一瞬にして判断せえ

 社長の口癖です。走向傾斜がどうとか、岩級区分がCM?CL?、、え~とこっち方向に褶曲してるからあ、、とかいちいち自分の頭の中で勝手に星取表をつくって斜面の安定性を考えるよりは、まずは全体像から第一感で判断しろといわれます。それはそうなるように自費を出してでも現場を歩け、現場に学べということであると思います。野球で言えば”きた球をそのまま打て”という極意です。大体私のようになれていないものは星取表を作ってしまい勝ちです。

2010年11月28日日曜日

自然は移り気

武田邦彦先生のブログで紹介されていました。

桜井邦朋先生著「移り気な太陽」
http://takedanet.com/2010/11/post_7ba5.html

「ただ私にとって理解できないことは、2009年11月半ばに起こった“クライメートゲート事件”について、わが国のマス・メディアが沈黙してしまっていることである.わが国にも、IPCCに参加している研究者がかなりの数いるだろうに、彼らからの発言も全然聞かれないのが不思議である。」

 温暖化にしてもダムの是非にしても、自然科学や工学的見地よりは経済論理が議論の幅を利かせています。砂防計画も、土石流や地すべりの機構に関する議論は、B/Cの裏づけに回ってしまい、ハザードの議論が少なくなったと聞いています。
 この本のタイトルにあるように、そもそも自然は移り気なのでそんなこと知ったこっちゃないのです。

2010年11月27日土曜日

昭和のにおい

 今度の現場で泊まった宿で、ダメもとで聞いてみました。「ネットは使えますか」「は」「インターネットを使うためのケーブルありますか」「ああ、、コンセントならここですわ」「いやいや、インターネットを、、」「コンセントはここ、ああそうか、テレビつけたら一個しかありまへんなあ」、、、
 いまは、無線LANやipadが台頭し、コードレスでネットが出来る時代、、たまにはこのような昭和テイストの宿も良いもんだ、、
 ついでにいうと、土砂整備率や安全率に斜面の挙動をすり合わせるという方法が延々と続いているのも、ある意味昭和のまんまです。青焼きをそのままPCで使えるようになっただけで、本質的な部分はほとんど変わっていない気がします。

2010年11月26日金曜日

吉野杉にみる国土保全

 久しぶりに壮観な景色に心奪われため息をつきました。上の写真は、奈良県吉野杉の大植林地です。一本一本整然と広がる美しさ、、それにしても谷底から分水界にいたるまで本当によく手入れされています。民宿では吉野杉で作られた箸でご飯を頂きます。いまだに割り箸は環境負担だなどという風潮があると聞きましたが、この勤勉さ、そして時折もみじがあって日本の自然の繊細をみていると、そんなことなど小さい小さい、、、世界に誇るものがあるように思います。
 小椋圭氏に『山河』という壮大な曲があります。
 http://www.youtube.com/watch?v=niwkGW2IJVk  この歌詞のなかに、顧みて 恥じることない 足跡を 山に残したろうか というフレーズがあります。この植林は千年の歴史があるのかも知れませんが、恥じることない足跡が残されているだろうと思います。

2010年11月25日木曜日

Googleで「岩盤」をアラートすると、、、

 いま緩み岩盤のメッカともいえる場所にきているので、たまたま使えたネットで「岩盤」をアラートするようにしたら、まあ「岩盤浴」ばっかりお知らせされること、、、「緩み岩盤」ではマニアックすぎるでしょうか。岩盤クリープにしようか、、、最近は深層崩壊という言葉が”はやり”ですが、斜面の変形ともちょっと違うので、、とりあえず「地すべり」にとどめときます。

2010年11月24日水曜日

今日からまた現場

 今日から地すべりをやるひとなら誰しも知っている現場で踏査です。またもやネットが使えません。ツイッターみたいな記事ですが、楽しんできます

2010年11月23日火曜日

合成開口レーダーによる地すべりの監視

 Googleアラートで国土地理院の資料が届きました。リモートセンシング技術で地すべりの動きを捉えようという試みです。

 合成開口レーダーによる地すべりの監視に関する研究(第1年次)
 http://www.gsi.go.jp/common/000057297.pdf

 ”監視”という言葉に違和感を感じます。”観測”じゃダメなんでしょうか。
 それはさておき、資料をみてみると”現段階ではわからない”ことも明らかにされています。わたしも、SAR干渉画像で地すべりの移動を把握する仕事に携わったことがありますが、やはりよっぽど派手に動いてないと検出できないようです。やはり、擁壁のクラックや地盤伸縮計など”泥臭い”観測の方が、確実な気がします。

2010年11月22日月曜日

芋川の天然ダムが語りかけるもの

下河・稲垣(2009)地すべり学会誌
 『ダムは本当に不要なのか』という本に、天然ダムと河道閉塞について述べられた文章があります。そこでは、1984年の長野県西部地震による伝上崩れや、1586年帰雲山崩壊、1693五十里洪水など、激しい洪水を伴った災害事例が列挙されています。
 ただし、その結びの文章として、脆弱な日本の国土の大変過酷な宿命が天然ダムである。今回の芋川の天然ダムは、そのことを多くの国民に知らしめる絶好の機会ではないか、、とあります。
 たしかに、地震で山が崩れ、河道をふさぐというのは物理的に激しい現象です。しかし、もう少し長い目で見る必要があります。芋川の天然ダムは、自然の歴史からいえば何度となく繰り返されてきた変化の一断面で、なおかつ一瞬の出来事です。2004年まで美しい棚田や農地が広がっていたことから、基本的には落ち着いた自然だったと言えます。 実際に中越地震以前の空中写真を判読してみると、芋川の河道周辺では農地かうっそうとした林地であり、土砂移動はかなり落ち着いていたことが伺えるし、激しい洪水、土石流氾濫で形成されるような微地形もありません。地域、流域に応じた地形発達史的背景を念頭におかないと、画一的なイメージが先行しかねません。

2010年11月21日日曜日

ダムは本当に不要なのか

 昨日の地質技術勉強会で、『ダムは本当に不要なのか』という本を1割引きで販売するということで希望を募っておりました。この勉強会は、ダムとトンネルの話題となると目の色が変わる人が大多数なので、一押しなんだろうとは思いましたが、、
 実際に読んでみると、激烈な文章が並んでいます。最近のマスコミの論調に対する「怒り」を必死に抑えているという感じです。地質の話はないし、土木の技術論も多いとは言いがたい。懇親会の2次会ともなるといつも「ダムが減っている、仕事が減ってる、、ダムがないから地質技術が、、、」ぼやきばかりです。
 じゃあ「ダム必要論」を再燃させて、公共事業をふやしたところで、実はそんなにムードは変わらないと思います。潜在的に皆が渇望しているのは、ダムやトンネルの「事業」がないと存在しえない技術ではなく、社会が求める必然的な技術として自立したマーケットを持つことだと思うからです。

2010年11月20日土曜日

東京時層 iphoneのアプリケーション

 時代はどんどん便利になるなあと言った感じです

 http://itunes.apple.com/jp/app/tokyo-jisou-maps/id392574706?mt=8&ign-mpt=uo%3D4
 今までかさばる古地図を片手に東京の町歩きしていた方はすぐに乗り換えましょう。GPSが古地図上でも有効なので現在の町並みと古地図のギャップにもう迷うこともありません。しかも、地形図まで入っていて至れり尽くせり。ブラタモリやタモリ倶楽部の町歩き企画の好きな人は絶対ハマれますよ

 私は”あんしん宅地”で実務として使いますが、現場でiPadで旧版地図を眺めるという時代がくるのでしょうか。

2010年11月19日金曜日

システムコストが惹き起こす主客転倒 - 木内里美氏のコラムから

 『DMがきません(その3)』というタイトルにしようと思いましたが、我が意を得たりに近いコラムがありました。大成建設の木内里美氏の記事です。

 システムコストが惹き起こす主客転倒
 http://it.impressbm.co.jp/e/2010/11/15/3034

 これによると、りそなホールディングス(HD)傘下の3銀行が、大学などと提携して通常の教育ローンより低い金利で入学金や学費などの資金を貸す「提携教育ローン」の新規取り扱いをやめた理由が、銀行は所管の経済産業省に業者として登録し、立ち入り検査も受ける。また、カード・信販会社が加盟する信用情報機関に、融資先のローン残高などを定期的に報告しなければならず、新たなシステム構築に数千万~数億円の費用がかかる場合もある。こうした手続きや負担を避けるため提携ローンをやめたケースが多いとみられる、ことだというのです。
 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20100818-OYT8T00643.htm

 これは、いまの土砂災害基礎調査にもそっくり当てはまります。本来、土砂災害の原因となる地すべり・崩壊・土石流といった諸現象は、地形発達史・地質的背景に関する知識・経験を持った技術者が地図を片手に踏査して、地域社会の諸事情も念頭に置きながら考えぬくという”数値化も圧縮も出来ない経験知を用いる調査”です。ところが、いまのやり方は、地すべり・崩壊・土石流といった土砂移動現象にたいしてそれぞれ個別のGISを導入しなければなりません。ですから、”本来の経験”を持っている人も、「地すべりはできません(システムコストがかかるから)」という人も少なくありません。そうしているうちに、本来の経験を持つ未来の人材が失われていくのではないかと懸念されます。

2010年11月18日木曜日

11月18日は「土木の日」

 今日11月18日は「土木の日」だそうです。土木という字を分解すると十一と十八になるんだそうですが、なかなか覚えにくい。地質の日が5月10日ですから実に半年、季節は逆ですね

 http://www.jsce.or.jp/committee/day/day.shtml

 ただ、これに関連した行事で「土木コレクション2010」というイベントがあります。このポスターは技術の伝承をイメージしやすい雰囲気を出していると思います。青焼きの手書きの図面も掲載されていますが、とても精緻に描かれていて、CADではなかなかでない”行間を読む”雰囲気を感じます。
 全体のタイトルが『HAND & EYES』。手に職を持ち、目で学ぶ(盗む?)。そもそも技術とはなんなのかということを感じるキャッチ・コピーです。Googleのロゴになるくらい普及すれば、もっと地域社会へのアウトリーチが進むと思うのですが。

2010年11月17日水曜日

Googleアラート - 高谷先生のブログ-

 Googleのサービスに『Googleアラート 』というものがあります。検索キーワードを登録しておくとそれを含むニュース記事がメールに送信されてきます。私のブログも『「地質」や「防災」というキーワードでヒットしたので読んでみて面白かったのでお気に入りに登録しました』という、うれしいことをおっしゃった方もいます。このたび「地すべり」というキーワードを追加したら、いきなり南九州大学の高谷先生の面白いブログがあることがわかりました。

地すべり山くずれ研究所 - 地すべり山くずれについて,現場からの情報を発信する -
http://hibari1977.blog108.fc2.com/

「盛土」のキーワードでは、先日報道ステーションをみた自分のブログの記事もとどいておりました。また、以下のニュースは、「盛土」の「地すべり」といった感じです。

ブラジルの港で地すべりが発生
http://www.youtube.com/watch?v=8YiHKopmyUo

2010年11月16日火曜日

巡検案内マップ試作の楽しみと課題

  月一恒例の地質技術勉強会という会合があります。今月の案内が届きましたが、そのなかで「巡検案内マップ試作の楽しみと課題」というタイトルがありました。この発表者の方は、ダムや道路法面の地質調査、いわば地質調査の王道を歩んできた方です。先月の応用地質学会でも「応用地質学的ガイドマップ」を作成されました。私も同じ委員会に属しているので、”楽しみ”の部分をどのような語ってくださるのか、興味深いところです。

2010年11月15日月曜日

RCCM

太田さんのブログで知ったのですが、RCCMが個人登録できるようになったのだとか。
 http://www.jcca.or.jp/qualification/rccm/introduction/101101.pdf
 さらに、以前は例えば大卒+13年、すなわち浪人・留年・失業(な、な、、なんちゅう3点セット、、、!?)なしで普通にコンサルタント勤務(技術士の在籍する)35歳になれば、管理技術者になれますよ(私の勝手な解釈ですが)であった受験資格が3年短くなるのだそうです。私は、先述3点セットのうち2つを経験しているので、従来のルールで積算するとやっと受験資格が出来たところでした。 ○○技術士事務所というのは聞いた事があるのですが、○○RCCM事務所って起業する人はいるのでしょうか。

2010年11月14日日曜日

電子地図は何を便利にしたか

 このほど新語・流行語大賞候補なるものが出てきまして、いわゆる”ネット用語”も多くノミネートされていました。丁度10年前の対象が『IT革命』でしたが、例のビデオ公開のニュースなど見ていると、ここに来てやっとその威力を見せ付けられたような気がします。その10年前から電子地図の整備が加速しました。レーザー計測技術も登場し、ものすごく高精度・大容量のデータが得られるようになりました。
 しかし、そのツールでしかないはずの電子化に、本来定性的で個性的であるはずの「調査」が飲み込まれてしまいました。地すべりの兆候など調べたいと思っても、電子地図がまだできていませんから、あるいはデータ構造に不備がみつかり、、といった理由で仕事がはじめられないという事態がこのところ頻発しています。
 昔は、精度は低くても平面図さえあれば、あるいはなくても自分の足でルートマップを作りながら踏査をしたものでした。そういった職人技も、いつのまにか飲み込まれてしまいました。
 確かに、3次元安定解析に必要な座標データの取得、横断図、縦断図の作成、修正は圧倒的に便利になりました。しかし、紙に書く(描く)ことや観察することは、電源を入れてデータ解析することとは同じではありません。そこを仕分けないと、地図がますます不便になるような気がしてなりません。

2010年11月13日土曜日

Cradle 出羽庄内地域文化情報誌

 今日は、銀座にある山形県庄内地域で取れた野菜を用いたレストランに行ってきました。妻が教えてくれたのですが、ヘルシーで素朴かつ新鮮、久しぶりに自然の恵みを堪能しました。

 Cradle 出羽庄内地域文化情報誌  http://www.cradle-ds.jp/

 レジの前にフリーペーパーがおいてあったので手にとってみたら、庄内平野の成り立ちや豊富で良質な湧水が多い理由、それが野菜や果物の生産基盤としてとても良いものであることがわかりやすく解説されていました。先月の応用地質学会では、「地域の社会基盤形成における地形情報の意義を視覚化した応用地質学的ガイドマップの作成 」ということでポスターセッションを行いましたが、この意義は「大人(団塊の世代)の修学旅行」が趣旨ですから、ちょっとカタイのです。
 そこへいくと、”食”という楽しみのなかに地形・地質情報を織り込むこと、なにより若い女性が楽しめること、ビジネスの原点を感じました。

2010年11月12日金曜日

基礎工 - ハザードマップ最前線

 基礎工という雑誌で「ハザードマップ最前線 - その成り立ちと活用 - 」という特集があることを知りました。地すべり地形分布図や宅地耐震化の記事もあるようです。
 http://img.fujisan.co.jp/digital/actibook/3547/1381681615/401871/_SWF_Window.html?mode=1063

 今日はこれから出かける用事があるので、早速注文しました。こういったハザードマップはどちらかというと理学系の人が携わることが多いのですが、工学的な分野にも利活用されると存在意義が大きくなるだろうと思います。

2010年11月11日木曜日

危険な谷埋め盛土 - 報道ステーションから

 今日の報道ステーションの特集は、『危険な谷埋め盛土』でした。レポーターと一緒に京都大学防災研究所の釜井先生がわかりやすく解説してくださいました。釜井先生は、無数にある谷埋め盛土の管理体制がないことが問題であると指摘され、リポーターは『これからは維持管理の時代』とコメントし、古館キャスターは「ほほお」。影響力のある番組ですから、今後どうなりますか、、、

2010年11月10日水曜日

異常な露頭、正常な露頭

 踏査の目的地に向かっている途中、思わず急ブレーキをかけてしまう露頭があります。上の写真は、秋田県にある地すべり地帯で見つけた露頭です。 写真の左半分は地すべりの末端隆起、右半分が河岸段丘の露頭です。地すべりが滑動すると、末端部がグニャリとせり上がるように隆起することがあります。河川の堆積作用では、こうはいかないので、私と社長は”おかしい、異常な露頭だねえ”と口をそろえました。河岸段丘との関係からみると、最終氷期最盛期(2~3万年前)?かなと思われます。

2010年11月9日火曜日

釜井先生の講座から(3)

最近の動向
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 これまで地すべり対策の現場では,土質試験結果はあまり使用されてこなかった。その背景としては,ともかく目前の災害に対処することが求められていた事,均質材料(単一すべり面強度),代表断面(二次元解析)を前提とした古典的な土質力学的手法が,地すべりの現実とかけ離れていた事が挙げられる。こうした状況を改善するには,地盤の不均一性を前提とした不安定化機構の理解が必要である。地盤の構造(地質)や地学的プロセスを考慮した不安定化(破壊)機構の理解が重要な意味を持つと思われる。
 そうした試みの一つとして,順算による三次元安定計算の事例がある。すべり面の場所(頭部,底部,側部)や地質によって異なる上質試験結果を適用したところ,妥当な安全率が求められた。これらの解析では,側部抵抗の割合は全体の10~50%に達しており,適切な解析のためには,側部抵抗の評価が重要であることが示された。
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2010年11月8日月曜日

釜井先生の講座から(2)

それでも安定計算 - 逆算法の魔力
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 実際には,すべり面については何となくわかるけれども,せん断強度(抵抗)に関する困難さの方が深刻であるという場合が一般的である。したがって,地すべりでは土質試験データを直接使用しないで済む逆算法が広く用いられてきた。逆算法はとにかく現状の安全率を適当に決めて,せん断強度をそれに合うように修正してゆくやり方である。通常はせん断力を概知とし,現状安全率を1.0と置いてせん断抵抗力を求め,せん断強度定数(c,φ’)を逆算する。ついで,設定した計醐安全率に達するのに必要なせん断抵抗力の増加量(杭やアンカー等による),間隙水圧(地下水位)低下量(排水施設による)を求める。この場合,せん断強度は,あくまでも安定計算用で,土質試験結果とは異なるのが普通である。
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ここでひっかかるのは”適当に”の部分です。基礎調査では土石流でもレッドゾーンが小さくなるようにという意味で”適当に”断面を決めます。もともと計画流出土砂量とこれに基づいて算出される「土砂整備率」もかなり”適当”ですが、”適切”かたらは乖離しているように思えます。

2010年11月7日日曜日

バブルへGO! をみた - そのあたりからの自然観の変化

 釜井先生の地すべり(初級講座)のことを書こうと思っていましたが、プロ野球日本シリーズから続いた『バブルへGO!』にのめりこんでしまいました。1990年当時予備校生だった私は、高校時代は理系のクラスにいたのに文系へと転じたり、教師になることをずっと目指していたのに親に就職が悪いから経済学部へ行けと言われてケンカしたという友人をみてきした。そのころから理系離れが加速していたのではないかと思います
 当時は、地球温暖化という言葉が登場したばかりで、オゾン層の破壊、砂漠化など、経済とともにグローバルという掛け声のもとに世の中に広まりました。私は、そのムード(バブル?)的なムードに、あまり根拠はありませんでしたが妙な違和感を覚え、もっと地域に密着した調査がひつようなんじゃないかと思っていました。 牛山先生は、「豪雨災害が増え続けているといった漫然としたイメージ」もこのあたりから出てきたような気がします。

http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/2010/06/blog-post_28.html

2010年11月6日土曜日

釜井先生の講座から(1)

 最近地すべり「調査」とは名ばかりの、機械的な作業に終始しています。私としては、地すべりの滑動について地形発達史的背景を考えたいのですが、有無をもいわさず(紅葉ではありませんが)黄色か赤に色づけられます。DMの一昼夜変換し続けないと使えんし、、、 こういう状況の解毒剤とも言える本があります。前のブログでも紹介しました。

 高野秀夫論説集『斜面と防災・別記』  http://www.ctt.ne.jp/~myama/slope_landslide.pdf
 (※リンク元のHP等は不明)

 秋の夜長に読んでもいいのですが、釜井先生の講座もコンパクトでわかりやすく、地すべりの本質、解析のありようについて解説されていました。

 地すべり(初級講座) 地盤工学会誌57巻9号, pp.45~51 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007361199
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・ 最近は,比較的簡単に地形図の画像が閲覧でき、Google Earth等の普及もあって,パソコンの前に居ながらにして地形を観察する事が可能である。しかし,依然として,地すべり地形を調べる最も強力な手段は,空中写真の実体視である事には変わりがない。

・ 斜面における地下水分布は複雑で様々な場所に地下水が存在する事,深い部分では被圧されている事,地下水が通りやすい「みずみち」がある。

・地すべりの安定解析は難しいわけ
理由1:すべり面せん断強度の問題
安定計算に不可欠であるが,簡単には決められない。ピーク強度?残留強度?はたまたその中間なのか?地すべりによる変形がどの程度進んでいるかは、一応の目安ではあるが決め手を欠く。さらに,地すべりが運動する速度によっても,せん断強度が変化する(高速流動時の粒子破砕等)。 いずれにしても地すべりは大変形問題なので,リングせん断試験等の特殊な試験が必要になる。
理由2:異方性の問題
地すべりの頭部と末端部では,応力状態が大きく異なるので,均質な材料であっても誘導異方性の問題が発生する。平均的な強度として、直接せん断の結果が現象と一致することが多いといわれている。しかし、そもそも地すべりは,地質構造影響を強く受けており,構造異方性が卓越する現象なので, 単純にはいきそうもない。
理由3:間隙水圧の問題
地すべりにおける地下水のあり方は後難である。通常のボーリング孔内水位を無条件に静水圧とするのは無理がある。さらに,破壊時の過剰間隙水圧がどうなるかは,計測事例もほとんど知られていない。
理由4:破壊の非斉時性の問題
クリープ現象が存在することから明らかなように既存のすべり面が存在する場合でも,最初から地すべり全体でせん断抵抗力は発揮されない、実際に、変形(ひずみ)が伝播する現象が観測されて、活動の度にすべり面では馬所破壊と破壊の伝播が,繰り返されていると考えられる。
理由5:三次元形状の問題
現状では二次元安定計算が主流である。そのためには代表断面を決めることが必要であるが,地すべりの場合,形状が複雑なのでそれは容易ではない。
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 つづきは明日にします。 

2010年11月5日金曜日

土壌汚染対策ガイド

 今年の4月から平成22年4月の改正土壌汚染対策法の全面施行されました。その後、土壌汚染調査技術管理者という資格も作られました。以前に触れましたが、そのガイドラインのまあ分厚いこと。その概要版的なものがないかなあと思っていたら、北海道経済産業局 資源エネルギー環境部 環境・リサイクル課がわかりやすい冊子を発行していました。

 http://www.hkd.meti.go.jp/hokni/dojo_guide/dojo_guide.pdf
 
 調査段階の30mメッシュ、10mメッシュの区切り方など、詳細はありませんが、どこが変わったのかはわかりやすくなっています。あとは、自然由来の土壌汚染も調査対象となっていますので、地学雑誌の論文をもう一度読み返してみたい方がよいかなあと思います。

2010年11月4日木曜日

ぽってり山

 千木良先生の『崩壊の場所』という書籍に、”ぽってり山”という表現が出てきます・岩盤の緩みにより、斜面の中央部から下腹部!?が凸型に変形した斜面のことで、いまでいう深層崩壊の前兆現象となります。昨日行った渓流は、ぽってり山というには険しすぎるのですが、これから崩壊するであろう斜面は、崩壊地の上部にまだまだ残っています。陽射しの方向にも恵まれ、なかなかいい写真が撮影できました。ここでは土石流による河道閉塞も懸念されます。

2010年11月3日水曜日

深層崩壊の断面

 ここはおそらく1998年の豪雨によって深層崩壊を起こした現場です。ここにいたるまで35°くらいの崖錐と土石流堆積物、その上の激流を延々と登ってきました。一歩進むとスレーキングした粘板岩がずるずると下方にすべり、ムーンウオーク状態。水しぶきに打たれびしょぬれ(おかげでちょっと風邪気味です)でたどり着きました。もう少し上れそうですが、帰る時間を考えるとここでGIVE UP。
 青く澄んだ空の下にベージュ色の砂岩層があって、亀甲状の割れ目が無数に発達し、いかにも透水性がよさそうです。その下に硬い粘板岩、泥岩があって、その間から湧水し、滝が形成されているようです。多分そのことが深層崩壊の引き金になっています。

2010年11月2日火曜日

目的と手段

 このブログで「DMがきません」という記事を書いたことがあります。今年はとくにそれが多い。PCがなければ文章が書けませんという作家はいないと思います。DMやTINてのは、ごく参考までに土砂の挙動を確かめてみようかあ~程度に使うもの。それが出来ないから「調査」ができないなんてのは本末転倒もいいところ。住民が猛反対するわけです(とある西日本の温泉街でそういうことがありました)。

2010年11月1日月曜日

ちょっと一息

 雨にたたられ薮も多くしんどい現場だったのですが、絵になる風景がありました。東北地方はこれから色づく季節になります。青空だったらもっと絵になる風景だったのでしょうけれど、汗をかいたあとに見つけただけに、ちょっとほっとしました。

2010年10月31日日曜日

着眼点 - 島根県の現場

 ちょっと前の話ですが、応用地質学会の次の日に行った巡検地の写真が送られてきました。他意はないのでしょうが、私がよく映っています。
 右の写真は5人の目線が一点に集中しています。どこにでもある土留めコンクリートですが、視線の先には亀裂があります。 まあそれにしてもみんなの目が見事に集中しています。みなさん出身も経歴も全然違うのですが、斜面防災にかける思いは同じ。だからこそ、ここに亀裂がある意義を考えてしまう。近くには先祖代々の墓もあるため、普通の人にとっては落ち着いた里山であり、コンクリートを割るような圧力を持っていることを想像しにくい。しかし、私たちはボディブローのように進む斜面の不安定化を常に意識して、そして伝える責務があります。
 左の写真は、なぜか私一人だけの後ろ姿が撮影されていました。土留め石積み擁壁と同じレベルで階段に横亀裂がはいっていること注目していたのです。
※もう少し体を絞らないと、絵にならないなあ

2010年10月30日土曜日

同業達者

 今週は、昔(と言っても3年前ですが)の仲間と現地調査をともにします。私が28歳~35歳までの、技術者として、そして社会人としおて礎となる時期の6年半在籍していた会社の仲間です。私と同世代の人も多いのですが、ちょっとした結婚ラッシュがおこっていました。前職の会社で(OB含む)ここ1年で5人結婚、今の会社でも先ごろ婚約した人がいますし。。
 私は結婚と現在の会社への転職(最初の半年間はほとんど出向してましたし)がほとんど同時でした。そうなるように意図した面もありますが。結婚してから、自分の飯の種は自分でかせがなあという思いがつよくなりました。それと同時に、程度がありますが安くても誇りを持てる仕事をとりたい(あんしん宅地がその大きな夢 http://www.anshintakuti.jp/)と思うようになりました。
 いま我々の仕事でいうと、事業仕分けで林野庁が大きな話題ですが、防災、環境保全に本質的な貢献が出来るのだいう誇りまで仕分けられたら、家庭に幸せを持ち込むことが難しくなります。少ないパイの奪い合いになって、同業他社が世知辛いのライバル関係だけに陥ることにもなりかねません。同業者は技術を高めあう達者であるべきです。

2010年10月29日金曜日

豪華な地すべり工事

 地すべり地を回っていると、なにもこんなに対策工をつぎ込まんでも、、と思う事があります。地形図だけみると確かに「地すべり地形」は多いのですが、防災に必要な「これから動く可能性の高い場所」を”仕分け”ないと、地の中に多額の税金を埋めることになります。地すべりの変位率からみて、半分以上は安定していると思うのですが、、、

 地すべりの変位率
 http://www.kankyo-c.com/landslide/ls_hzumi.jpg

 地すべりの発生と安定化
 http://www.kankyo-c.com/lanslide.html

2010年10月28日木曜日

地すべりの多様性

 いま、地すべり地の現場の真っ最中です。いま生物多様性という議題もあがっていますが、地すべり地の生態系の多様性も改めて認知できます。あらゆるところに湿地があるし、どこからきたのかコイまでいました。下層植生も豊かだから調査はしんどいですが、、、

2010年10月27日水曜日

擬似岩塊流と堆砂断面

 応用地質学会の話を続けます。砂防の調査、あるいはその成果を見て、この断面はいくらなんでもとりすぎだろうと思うことがあります。土石流の規模を推定するために、その渓流の土砂移動状況を代表するところで、過去(あるいは現在)の土石流堆積物の幅、深さから、今後の豪雨でどの範囲まで土石流化するかを推定します。しかし、斜面の裾から裾までめいいっぱい断面として採用されている場合も多く見られます。
 応用地質学会では、『西日本における擬似岩塊流の形成過程についての検討』というポスター発表がありました。この発表では中国地方の渓床の擬似岩塊流の形成メカニズム(通常の河川堆積物なら下流に向かって粒径が小さくなるし、豪雨時においてもこの岩塊が動くほどの水流は考えられないことから、花崗岩の風下部のさらに下に堆積していたコアストーンが地表に露出した。その年代が前期更新世~鮮新世に及ぶ)が紹介されています。数百万年じっとしている堆積物。そういう発達史だから、土石流化しませんよということを、事業が成立しないことを理由に説明しない人もいますが、そんなことをするから”仕分けられる”のではないでしょうか。 

2010年10月26日火曜日

災害調査のあり方

 応用地質学会で『中国四国地方の応用地質学』を買ってきました。長谷川修一先生の肝いりということもあって、コラムにいたるまで高度な内容となっています。そのひとつに『災害調査のあり方』というコラムがありました。その一節を紹介します。

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 最近の傾向として、とにかく他よりも先に学会誌の掲載することが目的で、救出現場を勝手に歩き回る研究者が多いことも事実である。学会誌でも概要や速報が多く、その後の解析・分析、その後の対策工へのフィードバックが少ない。
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 災害現場は確かにいろんな情報、現象を目にすることができるので勉強にはなるのです。ただ、例えば七五三掛地すべり調査に行ったときもそうでしたが、まるで社会科見学のごとく15人も20人もがやがやと歩き回るのはどうかと思います。土石流の堆砂断面にしても5人も巻尺を持って両端、真ん中と立っています。あたかも物見遊山のようです。千木良先生は「災害ツーリスト」という言葉を使っておられますが、私たちもわきまえたいものです。

2010年10月25日月曜日

応用地質学における早期教育の重要性

 応用地質学会のポスターセッション№1のタイトルです。いの一番にこのような発表がきていることに、事態の切迫を感じました。
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4.1 なぜ科学が生まれたかの理解を先ず共有する
人間の学習は受け身ではいけない。そもそもなぜ科学が生まれたか、農耕で必要な気候予測や農地開発で必要なことから生まれた等、経緯を説明することによって、主体的に理科に関わることができると考える。
4.2 自然現象を解明するメリットの理解を共有する
なぜ自然現象を解明しようと科学はしてきたのかについて、先人の人達の生き様を含めて学ぶべきと考える。そうすれば生徒それぞれで学ぶべきゴールを見ることができる。
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 これを現実にするためには、私たち実働部隊が「利」系にはまりすぎず、基準にはまりすぎず、それらにはまったことによって作られたデータに振り回されず、て自分の判断に誇りを持つ姿を見せることではないのでしょうか。

2010年10月24日日曜日

土検棒を用いた急斜面の地形解析

 (独)土木研究所で開発された「土壌強度検査棒」が紹介されていました。さらに、土層深分布、土質強度測定結果を用いたハザードマップの作成例も示されています。

 土砂崩れ、表層崩壊の危険箇所を絞り込む「土壌強度検査棒」(土検棒)
 http://www.pwri.go.jp/jpn/news/2010/0915/tokyo2010_3.pdf

 斜面の地形分類といえば、これまで地すべりや岩盤クリープといった面的な要素が主体で、表層崩壊の発生位置は遷級線の分布から考えるのが中心でした。しかし、保全対象を絞って家屋背後の渓流しや斜面だけを対象にし、このようなハザードマップを作れば(地表・地質踏査は大変ですが)かなり防災に使えると思います。

2010年10月23日土曜日

愛着のわく技術


 応用地質学会の翌日に出会った技術者の方が、ある岩塊崩落のあった斜面模型を発砲スチロール材?を用いて手作りされていました。。最近は、レーザー技術の高度化によってデジタルデータの精度は向上しましたが、その一方で一般の人にとっては親しみにくいといえます。この模型はデジタルデータをアナログで表現するという逆転の発想で、高度技術と親しみやすさを両立しています。
 右の写真は、鳥取県境港市にある水木ロードにある橋梁です(まあ、楽しそうな表情だこと)。この橋梁のデザイン設計者と、さきの地形模型の作成者が同じ人なのです。アイデアマンですねえ。

2010年10月22日金曜日

都市の”地質的に若い斜面”の問題

 私の会社の後輩も口頭発表をしました。どうも緊張しすぎていたようで、本人も大失敗と言ってました。私はそのころポスターセッションの後片付けをしていましたので、直接聞くことは出来ませんでした。彼が伝えたかったのでは、道路・ダム・トンネルに代表される社会インフラ整備のための斜面研究は一般に大規模で古い時代の岩盤が多い、しかし、都市には比較的若い斜面で暮らしに直結した斜面問題が無数にある。まさに、土木地質はシビル・エンジニアリング、市民のための地質技術なのだから、応用地質学会でも、もっと議論の場を増やすべきということです。

2010年10月21日木曜日

地すべり・崩壊・土石流

 絶版にはなりましたが、鹿島出版会に『地すべり・崩壊・土石流-予測と対策-』という本があります。

 http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%B0%E3%81%99%E3%81%B9%E3%82%8A%E3%83%BB%E5%B4%A9%E5%A3%8A%E3%83%BB%E5%9C%9F%E7%9F%B3%E6%B5%81%E2%80%95%E4%BA%88%E6%B8%AC%E3%81%A8%E5%AF%BE%E7%AD%96-%E5%B0%8F%E6%A9%8B-%E6%BE%84%E6%B2%BB/dp/4306021165

 このタイトルは土砂災害についての課題を最もシンプルに表していると思います。いま専門家の間では、岩盤クリープや緩み岩盤など用語の是非も問われています。海外では全てLandslideの一言に集約していますが、それくらいシンプルでもよいではないかと思います。
 さて、今回の応用地質学会では、開催地と同じ中国地方で昨年土石流災害があったこと、最近「深層崩壊」がメディアでとりあげられたこともあって、いつにもまして地すべり・崩壊・土石流の地道な調査報告が多かったように思います。最近はレーザーデータが頻繁に用いられるので、地形解析は盛んですが、そこで終わって発達史的背景への考察がちょっと薄くなった印象もあります。

2010年10月20日水曜日

応用地質学会の準備

 明日の朝7:10に羽田フライトなのですが、なかなかPPTもポスターセッションも進みません。まったく違うテーマで2つの発表をするのはなかなか大変です。今回の応用地質学会はとてもエントリーが多く、口頭発表の時間はわずか10分。社長は短いからこそ、自分の言葉でキャッチコピー的な言葉を多用しひきつける努力をしろといいます。わかってはいるけど、このことこそ技術の真髄です。

2010年10月19日火曜日

Satoyama!?

 最近クマ出没のニュースが多くなっています。その原因は、奥山と里山の境界がなくなり、クマにとっては里山も奥山的環境も区別がつかなくなったのだとか、、それにしても今日何かのテレビ番組で『SATOYAMA』なる言葉を見かけました。SABOのように、世界共通語なのか外国語に訳しようがないのかわからんなというのが率直な感想です。自然現象はファジイな所にキモがあるのに、妙に”特定”しない方が良いと思うのですが、、

2010年10月18日月曜日

まさにその裏側

 地すべり学会誌最新号に、『七面山の山体重力変形地形とクサビ状陥没』というレポートが掲載されていました。

 http://japan.landslide-soc.org/publications/gakkaisi/pdf/c47_5(197).pdf

 間がいいのか悪いのか、明後日から開催さっる応用地質学会で、私の研究対象となっている同じ場所の微地形判読図も掲載されています。私はもう少し詳しい判読図を作成したつもりですが。
 実は七面山崩壊の”真裏”に、もうひとつの荒廃渓流があります。ここも山体重力変形地形が数多く発達する流域ですが、いまのところだれも具体的には研究していません。ここ数十年でかなり目立った地形変化を示しており、七面山と比較するにも面白いところです。

2010年10月17日日曜日

空中電磁法による地質調査

 先日の地質技術勉強会で、空中電磁法による地質調査法が紹介されました。地下の比抵抗分布を3次元的に測定・解釈することによって地下の地質状況を判定するものであり、広範な地域やアクセスが困難な山岳地域における地質調査、地すべり調査、各種路線計画などに有効な調査技術です。
 ミソなのは、ここに”解釈”という言葉が入っているところです。発表者も、熟練した地質技術者の目とのマッチングが課題であるとされていました。物理探査は常に便利ところと技術者の眼力のコラボレーションが大事だということでしょうか。

 http://www.ne-con.co.jp/products/electromagnetics.html

2010年10月16日土曜日

室内試験と現場のイメージすり合わせ

 今日は月に一度の地質技術勉強会でした。その後3次会まで続いた飲み会に参加した若い技術者と有意義な話をすることができました。そのなかで、外の現場にいくまえに試験所で岩盤室内試験の現場を見せてもらっており、それが外の現場に出たときに生かすことができるという話がありました。 岩盤室内試験の画像がなかなかないのですが、電中研のサイトにありました。  
 http://criepi.denken.or.jp/result/pub/annual/2006/06kiban32.pdf

 私は基本的に空中写真判読と地表・地質踏査ばかりなので、このような試験の現場を経験していません。崩壊地を踏査するときも、いつも”結果”をみているのですが、崩壊が発生するまさにその瞬間、岩盤がどう”きしむ”のか、”動く”のか、室内の仮説でもイメージを持つということは、実はとても貴重な経験ではないかと思ったのでした。

2010年10月15日金曜日

緑のダムのイメージ

 新藤先生の四方山話に次の一節があります。

 http://www.jkeng.co.jp/file/column002.pdf
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広葉樹林の“緑のダム”効果はスギやヒノキなどの人工針葉樹林のそれより勝っている、という考えも短絡的といえる。すなわち、インプットである降水とアウトプットである流出との間には植生環境以外に、土壌・地形環境が存在し、むしろこちらの方が本質的であるといってもよいのである。九州大学名誉教授の竹下敬司氏は、長年にわたる森林水文に関する研究をまとめられた著書の中で次のように述べている。『最近、“みどり”の標語と共に植生への関心が高まっているのであるが、植生機能の理解に際して、買いかぶり、見くびり、解釈の正誤等があって、必ずしも正当な情報が流れていない。』と述べ、さらに『人工林樹種を非難するのとは反対に、気に入られた広葉樹については、機能の買いかぶりがなされている場面も少なくないようである。スギ林を伐り倒して、広葉樹に植え替えれば、水源涵養機能が高まり、崩壊防止機能も高まる・・・と信じている人々の主張を前にして、か弱い下草の機能を強調しても、ムード的に理解して貰えない場合が少なくないようである。』と述べ、偏見や誤解が多いことを指摘している。
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確かに「緑」とか「エコ」とかいうイメージ先行の言葉が議論を少なくしている感は否めません。先生も指摘されているとおり、地形・地質・土壌といった”うつわ”が水・間隙水圧に対してどのように作用するか、総合的に考えなければいけません。

2010年10月14日木曜日

チリ落盤事故の救出劇

 私も固唾を飲んで見ていました。先月深田地質研究所で行われた講演会で、南米のレアメタルについても触れられましたし、フェニックスを通す穴を掘削したのは、アメリカの技師で、井戸掘りの名人でもあったようです。33人目に助けられたリーダーの方の功績はもちろん大ですので、組織論が好きな日本人はそのリーダーシップについて語ることでしょう。しかし、そこには様々な技術があったことも忘れてはなりません。地上と地下のリスクマネジメントが最高の形で機能したといえるでしょう。

2010年10月13日水曜日

地すべり学会誌特集号

 今度(といっても発刊は来年の11月の予定だそうですが)の地すべり学会の特集号は「地震による人工地盤の地すべり」です。このようなテーマで言えば、1978(昭和)53年の宮城県沖地震で切土と盛土境界に被害は集中することが明らかにされ、1995(平成7)年の阪神淡路大震災や2004(平成16)年新潟県中越地震で谷埋め盛土の滑動崩落、昨年の名もなき地震で崩落した東名高速道路、、いろいろありますが、仙台の陥没事故などを見ていると、盛土の疲労が蓄積しているのかもしれません。

2010年10月12日火曜日

現場に生息するヤツラ

 昨日まで土石流災害調査に行っておりました。ひしひしと感じたのは里山の衰退。スギの植林はされているものの下草が繁茂し荒れ放題。間伐材は放置され腐り始める。鹿が我が物顔で道路におりてくる。ついでに”ヒル”もついてくる。広葉樹林の伐採に伴って、草本~低木類が生育しシカに多量の食物を供給しました。こうしたことが相まって、今日現地踏査をしていても、すぐ近くに鹿の群れが出てくるようになりました。さらに悪いことに、鹿とともに"招かれざる客”ヒルの被害が増えることとなりました。
山は気持ちよく歩きたいものです。

2010年10月11日月曜日

防災格言

 Seiさんの防災格言が時々届きます。先日は、その原点とも言うべき記事を読みました。

 http://yaplog.jp/bosai/archive/97 災害に備えるということは
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『 まずは自分と家族の命。そして次に災害の後の生活の心配 』
最も理想的なのは、地盤が堅く(地震)、海抜も高く(水害)、土地や家の周りも広いところ(火災・延焼を防ぐ)でなお且つ、住みやすい環境に堅牢な家を建てて定住することですが・・・と言っても、なかなか難しいので、生活環境の手の届くところから対策すると良いでしょう。重い荷物や家具の配置や整理から、家族が寝る部屋で、特に枕の部分に重い家具が倒れてこないように配置がえしたり・・・避難路となる場所にじゃまな荷物を置かないようにする、ガラスが飛散して怪我をしないようにしたり、なんてのも立派な対策なんですね。そして、生き残った後の生活を自分で想像します。実は、これが最も難解なのです。と言いますのも、人によって、各々の住環境によって、被災状況の想定が大きく異なるからです。
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2010年10月10日日曜日

仙台の住宅街が陥没

 ケンプラッツに仙台の住宅街の陥没事故に関する記事がありました。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20101006/543674/
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20101006/543674/?SS=imgview&FD=-1139667254

 谷底平野の盛土、地下水の水ミチがあるような気がしてなりません。

2010年10月9日土曜日

秋の大雨

 今日は秋の大雨。三重県南部では時間雨量120㎜に達したのだとか。。明日は晴れそうですが、ヒルがでそうだなあ、、、、

2010年10月8日金曜日

災害の記憶の風化

 土木学会斜面工学研究小委員会の長谷川先生の記事を読んでいました。
 http://www.jsce.or.jp/committee/jiban/slope/100821/20100821hasegawa.pdf
 
このスライドのなかで、「1912年塩江町蛸山の崩壊を忘れないで下さい」というタイトルのページがあります。災害を解説した看板が錆びて朽ち果てている様子です。実は、私も同じようなものを目の当たりにしたことがあります。横須賀における都市斜面の地すべりの看板が朽ち果てた様子です。

 http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/2010/06/2.html

 災害の記憶と想像力を豊かにすることが、防災への第一歩です。

2010年10月7日木曜日

庄原土石流災害の報告(地すべり学会)

 地すべり学会のHPに土木学会、砂防学会、地盤工学会の、2010年7月16日に発生した土砂災害の調査報告が掲載されていました。

http://japan.landslide-soc.org/news/2010/20100819syoubarakinkyuucyousa.pdf

 写真を中心とした119ページに及ぶレポートです。ほとんど全てふが表層崩壊と言った様相です。おそらく根系層程度に留まっているのではないでしょうか。

2010年10月6日水曜日

生物多様性

 今、三重県にいます。名古屋で生物多様性に関する国際会議が開かれるようですが、国土の3分の2が森林であり、寒流・暖流あり、火山あり、亜寒帯から亜熱帯あり、、、日本の自然をいくつか巡検してみれば会議はいらないのでは、、、

2010年10月5日火曜日

高野秀夫「斜面の防災・別記」

 以前のブログを自分でも見なくなりましたが、重要なURLがあったのでとりあえずこちらにも転記しておきます。

 高野秀夫「斜面の防災・別記」
 http://www.ctt.ne.jp/~myama/slope_landslide.pdf

2010年10月4日月曜日

斜面変動の模式図

 応用地質学会に向けて、深層崩壊につながる斜面変動の模式図を描こうとしています。以前自分の論文で、地すべりの地形発達史に関する模式図を描いたのですが、岩盤クリープに関しては用語にこだわる方も多くなかなか進みません

 http://www.kankyo-c.com/landslide/ls_life.jpg

2010年10月3日日曜日

意外と冷めたリニア新幹線へのコメント

 ケンプラッツの記事にこのようなものがありました。

 リニア新幹線の審議で見えてきた問題点
 http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20101001/543589/?P=2
 
 ケンプラッツはコメントを受け付けている記事もあるのですが、そのなかで、

・リニア新幹線が必要なのは東海道新幹線を作り直す必要があるからでしょう。開通から46年たちメ ンテナンスで延命しきれなくなるのは目に見えている。補修ではなく全面交換の期間の代替手段ですから交通量の需給と無関係に「なにがしかの」新線が必要です。

・航空業界はLCCの参入が急速に進んでいる。国内線も世界的な価格競争の波にさらされるのは時間の問題だろう。そうなれば当然中央新幹線も価格を下げざるを得なくなる。その点は十分考慮されているのだろうか?

・はたして2027年にそこまでの移動速度への需要があるでしょうか?

 社会インフラ整備の維持管理も防災の重要なテーマですが、ずいぶん冷めています。

2010年10月2日土曜日

地下水四方山話

  前の会社の後輩が、山地の地下水動態に興味を持っているというので、新藤静夫先生の「地下水四方山話」のサイトを紹介しました。以前は、「ジオドクターの野帳から」という連載だったように思いますが、変わったようです。

 http://www.jkeng.co.jp/file/column003_1.pdf
 斜面物質の排出→間隙率の増大→パイプ網の発達→地下空間部分の増大、といった一連のプロセスは、地中水の集中流現象を拡大要因として加速化し、斜面崩壊につながる可能性もあることから、斜面災害上でも注目すべき現象といえる。斜面内部におけるこのような構造の発達はいわば、"斜面の疲労" とも言えよう。

2010年10月1日金曜日

社員をサーフィンに行かせよう

 世知辛い世の中なんとも爽やかなタイトルです。「猛暑日」なんて見も蓋もない言葉で埋没してしまった、本来は爽やかであるはずの夏を思い起こさせてくれます。

http://www.alterna.co.jp/archives/001.html
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実はいくつか狙いがあります。その第1は「責任感」です。今日サーフィンに行っても良いか、いつまでに仕事を終えなければならないか、いちいち上司にお伺いを立てるようではいけません。もしサーフィンに行くことで仕事が遅れたら、夜や週末に仕事をして、遅れを取り戻せば良いのです。そんな判断を社員一人一人が自分で出来るような組織を望んでいます。
第二は「効率性」です。自分が好きなことを思いっきりやれば、仕事もはかどります。午後に良い波が来ると分かれば、サーフィンに出掛けることを考えます。その前の数時間の仕事はとても効率的になります。
例えばあなたが旅行を計画したとすると、出発の前の数日間は仕事をテキパキやるでしょう。旅行中に同僚に迷惑を掛けたくないこともあるでしょう。あるいは旅行を前に気分が高揚して仕事が進むのかも知れません。その気分を日常的に味わえるのがパタゴニアなのです。

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http://www.patagonia.com/jp/product.go?style_color=bk502

2010年9月30日木曜日

締まらないうちに、、

 神奈川県北部で(私の感覚からすれば”それなりの”)豪雨があり、またまた土砂が流出しました。通行止めになっている道路に流出した土砂をみていると、宝永スコリアでした。記事には”土砂が締まらないうちに、という言葉がありましたが、地質学的に言えば数百万年たってもまだ”しまりのない軟岩”なのです。このあたりにも時間スケールのギャップを感じました。

2010年9月29日水曜日

緊急地震速報発令

 今日の夕方ごろ、突然社内に私と社長の携帯電話から大音量かつ救急サイレンのような音が鳴り響きました。周囲は一瞬騒然とし、会社の入るマンションに何かあったのかという怪訝そうな表情を浮かべました。携帯をみてみたら、今日福島県に2度の有感地震があり、それぞれ震度3と4、このうち震度4を記録した方の地震に対する緊急地震速報でした。会社のある川崎はピクリともしなかったので、みな一様に”なんで地震速報なの?”っと、、、
 たしかに、携帯電話の着信に強震動の範囲を推定してある程度の規模より大きいもののみ着信する、などどいう既往があればよいのかもしれませんが、でも携帯電話を買って初めて鳴ったので、確かに当事者だったら一時の避難にとても役立つかもしれません。

2010年9月28日火曜日

横浜ベイスターズ90敗から確率論を思う

 別に横浜ファンというわけではないのですが、神奈川新聞をとり辛辣な記事を読むにつけ、気にはなってしまいます。最近は地質や地盤工学の分野でもリスクマネジメントが叫ばれ、確率論の理解が不可欠になってきますが、最初に確率を学び始めたのが野球だったのものですから、野球で”すごい”数字がでると気になるわけです。イチロー選手の200本安打はやりたくてやってることですが、こちらはやろっと思ってやったわけではないという意味で、破られる確率は低いのかも知れません。

 以下のサイトに、打率傑出度という指標があります。
 http://www16.plala.or.jp/dousaku/daritu.html

 こういうのを応用して、豪雨が果たして頻発しているのかどうか、確かめられないでしょうか。

2010年9月27日月曜日

「悪人」を見てきました

 映画「悪人」をみてきました。故郷の言葉がノスタルジックでした。まだ見ていない人も多いかもしれないので、詳しい紹介は避けますが、印象的な、そして映画のクライマックスである灯台のシーン、、、見事な砂岩泥岩露頭、、あっ、、映画館で地質を思い浮かべてしまった、、感動のツボは全然違うところにあると知りながら、、隣には素直に感動している妻がいる、、、ああ、ここで解説などしてしまったら、感動を壊した”悪人”になるんやろうねえ。。。。

2010年9月26日日曜日

宝永の大噴火のすごさ

やっとではありますが、9月8日の神奈川県北部豪雨の調査速報をまとめました。

http://www.kankyo-c.com/Recent_investigation/20100908_tanzawa.pdf

あたらめて思い返してみると、流出土砂のほとんどが富士山宝永大噴火時の降下スコリアであること。いかに富士山が近いところにあるとはいえ、斜面に1mの層をつくり、未だに残っていることは迫力があります。これで驚いているようでは、AT、Aso-4を降下させたスパーボルケイノはどんなんだということにもなりますけれど、、

2010年9月25日土曜日

ちょっと一息

土壌汚染対策法ガイドラインを購入して読んで、いあや、悪戦苦闘中です。まあ、分厚くて読みにくいことこの上ない。そのせいではありませんが、風邪気味なので寝ます

2010年9月24日金曜日

地学はレアメタル?

今日は深田地質研究所の談話会に参加しておりました。

http://www.fgi.or.jp/FGIhomepage/index-j.html
 1972年にローマクラブが発表した「成長の限界」で、「多くの資源が持続可能な限界を超えてしまっている」と指摘しました。その中で、クロムやコバルトなどのレアメタルについては、当時の事情から、比較的持続可能という判断をしていました。しかし、それからほぼ40年経過した今、レアメタルの需要が急増し、我が国にとってその確保が大きな問題となっています。今回は、レアメタルを中心とした鉱物資源の動向と、鉱物資源について大きな役割を担っている(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構の事業展開について、紹介したいと思います。

 ローマクラブの予測が当たっていれば、今頃金も銀も錫も枯渇しているはずだ、という話から始まりましたが、時期が時期だけに講演はナーバスでした。 そのあとの飲み会で、こんなんでは若者が地学・地質学を志さないねえ、まさにレアメタル的存在だ、、と、、資源開発は地質学の根源的なテーマでもあるが、実は宅地診断など暮らしに密着した仕事を着実に行うことも重要な一歩なのだという話にもなりました。どっちにしても言い古されてきたことではありますけれど、、、

2010年9月23日木曜日

事業仕分けがこんなところにも

牛山先生のブログにショッキングな記事がありました。

防災メール(含掲示板付)は無駄なのか
http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-7805.html
筆者は,防災メールや防災掲示板など,「IT系技術を使えば災害時に情報を双方向でやりとりして,こんなことまでできちゃうっっっ」的な「技術開発」「提言」に,一般論としては懐疑的です.ただし,防災メール等が全く無駄なものではなく,その機能を発揮しうる場面も大いにあるとも確信しています.

ちょっとYAHOO NEWSのリンクが切れてしまいましたが、新しい技術開発を伴うものはやめなくてもいいと思います。

2010年9月22日水曜日

現場の季節とはいえ

 本当に昔の人はよく言ったもので、「暑さも寒さも彼岸まで」、見事にそうなりそうです。そして、現場の季節です。三重に島根に東北に群馬に、まさに東奔西走です。近畿トライアングルや国引き伝説の地、第三紀層地すべり地帯に三波川・御荷鉾の地と一ヶ月近くで、本当なら日本の地質構造をめぐるたびになりそうなんですが、地質調査のように個人の考えに差があることを否定する業務の出張ですから、いかに”遊ぶ”か悩ましいところです。

2010年9月21日火曜日

1%

 今日は日本材料学会、地盤工学会が共催した講習会に行ってきました。

http://www.jsms.jp/index_4.html
「実務者のための戸建住宅の地盤改良・補強工法 -考え方から適用まで-」講習会

 最後の諏訪先生の話はちょっと衝撃でした。
 「一級建築士のうち、構造がわかる人が10%、そのうち地盤の成り立ちまで考えられる人が約10%、つまり1%です。土質及び基礎の技術士がもっとでていかないかんのです」諏訪先生は「諏訪技術士事務所」を開設しておられますが、裁判案件も多数手がけておられ、弁護士に頼りすぎるな、ということもおっしゃってました。頼られるようになるには、”なっかあったら現場に直行すること”とのことでした。

2010年9月20日月曜日

シンプルクリコン

シンプル携帯なんてのがありましたが、実にシンプルなクリノコンパスがあるのを知りました。サイズは丁度10cmなので、スケールとしてもちょうどいい。コンパスもオイルが入れてあってぐるぐる回らないし、スケルトンなので見通し角もよい。ちょっとした踏査にはよさそうです。

2010年9月19日日曜日

環境地質学の活躍の場

奥村他(2007)地学雑誌116(6)pp.894

地質学を学ぶと岩石、炭素、海洋など、循環系の自然観を養うことができます。例えば、上図のように、地殻表層部はマグマが冷却固結して火成岩が生成されるところから始まり、岩石中に含まれる元素の循環は、風化作用、水の運搬・堆積作用→続成作用→堆積岩の形成といった現象です。

冒頭の図が掲載された論文は、地学雑誌の「小特集 土壌汚染-環境問題への地質学の役割」において、その当時自然由来の土壌汚染に対しては法の適用外であることを批判的に指摘していました。しかし、奥村他(2007)が指摘しているように、人類が生活する地殻表層部のあらゆる部分で重金属の濃集・化学的形態変化が起きうるわけです。

また、なにかが汚染されないと、循環する自然観を養うことができないわけではありません。最近話題の深層崩壊も、例えば四万十帯の岩石の形成→隆起→河川の下刻→重力変形による緩み・岩盤クリープ→崩壊→扇状地・氾濫平野の形成→海への土砂排出→続成作用→やがては堆積岩へ、、という循環です。最近の化石燃料の消費によって急増したかどうかは、このような自然観を持っていれば自ずとわかることです。自然にとってみれば淡々とした業ですが、人間生活にしてみれば確かに十津川災害のように故郷を遠く離れるほど劇的ではありますが、、、、

今年、土壌汚染対策法が改正され、自然由来の汚染も法の対象となりました。環境地質学的視点を持った技術者が活躍すべき場と思われます。そして、こういった自然観を持ちつつ、暮らしに密着したリスクの扱い方が問われるのが、地質リスクマネジメントだと思います。どうも今の地質リスクの議論は”なんぼ安くできるか”という”事業目線”が強すぎるような気がしてなりません。

2010年9月18日土曜日

斜面と森林の管理

9月8日に神奈川県と静岡県との県境付近で発生した豪雨災害の調査に行ってました。ダム湖に大量の土砂と流木が流れていました。昨年の佐用災害でも問題になりましたが、土砂災害というようりは流木災害です。流出した土砂は主体で、10cm以上の巨礫はほとんどありません。

人命が失われなかったので調査機関が動いていませんが、特定の流域では、昭和47年7月(アメダス観測所の設置以前です)のいわゆる七夕豪雨以来の崩壊が発生しているかも知れません。

崩壊深は1.0m以下で、まさに植林の根系だけがごっそり持っていかれたようです。40~50年生のスギ・ヒノキが家屋を破壊している箇所もあります。土砂流~掃流、流木災害です。発生する可能性はどこからでもあります。改めて斜面と植生のリスク管理のあり方が問われそうです。

2010年9月17日金曜日

Bookwayで自費出版でもしてみるか

以前住宅雑誌で連載記事を書いていたのですが、どうも出版となると費用面での折り合いがあわず、現在頓挫中です。アウトリーチすべきとは、このブログでも良く書いてますが、一般の方は専門誌よりも本を書いている方がインパクトと信頼があると思われます。

https://bookway.jp/modules/zox/

さあ、明日も現場

2010年9月16日木曜日

岩盤崩落の一例

火山礫凝灰岩(やや結晶片岩化)した斜面の崩壊地です。見事なクサビ型崩壊です。刃物のようにどがった角礫が堆積しています(流れていません)。斜面の下は河川の攻撃斜面になっていますので、もともと不安定な状態になっていました。

2010年9月15日水曜日

パイピングホール

これは9月8日の豪雨で農地の畦に発生していたパイピングホールです。この背後には、河川の蛇行跡が段丘化した地形で集水性があったので、豪雨が浸透しやすい状態だったのでしょう。まわりにも、5~10㎝程度のパイピングホールが沢山ありました。周辺は国土交通省の調査や測量、工事の真っ最中でした。

2010年9月14日火曜日

今日もまた急な現場

 現場の帰りの携帯からですが、社長から「明日災害調査いかへん」ということで、先日豪雨被害のあった神奈川県北部の山中に出かけてきます。

2010年9月13日月曜日

防災・防犯・災難

 時々週間防災格言というサイトからメールが届きます。そのなかには、今週起こった過去の主な災害が記されています。いくつかあげてみますと

 ・1950 カスリーン台風(利根川・荒川が決壊 死者1,529人)
 ・1984 長野県西部地震(M6.8 木曽郡王滝村で死者29人 )
 ・1997 福島県 安達太良(あだたら)山 硫化水素ガス発生(登山者4人死亡)
 ・2008 リーマン・ショック リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)破綻
 ・1890 オスマン帝国 軍艦エルトゥールル号遭難事故(和歌山県 死者500人)


 災害とはいっても事故に近いものもあります。リーマンショックなんてのは言ってみれば”経済災害”です。でも、この”経済災害”はいろんな影響をもたらします。投資余力が限られるため、公共事業でやる防災対策ではムダがなくなるのかと思いましたが、実際は限られた投資で大きな効果というよりも”できるか、できないか”の二者択一に近いものがありました(実際、昨年の土石流災害を受けてドッと増えた砂防事業で、目新しい方法論はなかったように思います)個人・民間の防災では、防災対策に資金をつぎ込むという発想がなくなってしまいました。さらに、CO2をめぐる温暖化論のメッキもどうやら剥がれてきましたので、”事業”のコンセプトがさらに混迷をしてきました。私たちは、まずはやれることは実直にやり、それをアウトリーチするという地道な活動をつづけていくしかないでしょうか。

2010年9月12日日曜日

急遽現場

 今携帯から書いてます。渋滞していますが、東京タワーの夜景がとても綺麗です。それにしても尾根の急崖や腰まで来る沢を上った先にある森林の調査、もう少し調査費がないものか、、、

2010年9月11日土曜日

The Day after tomorrow

 今日TV版で再放送がありました。リアルタイムの時には見ていなかったので。IPCCは、そろそろCO2を犯人扱いした温暖化論にスミマセンと頭を下げようとしているムードもあるなかで、また、一般的に今日、9月11日といえば同時多発テロの発生日を思い出すのだろうと思いますが、これに関する回想的な番組もなし、、あまり間がいいとはいえないかも知れません。

2010年9月10日金曜日

『環境地質学』という本

 社長との食事をしていたら、『環境地質学』と正面きって解説した本は、日本には以外と少ないという話題になりました。日本の「環境地質学」は、いまのところ廃棄物処分や土壌・地下水汚染対策など、公害対策の延長線上にあるようなイメージです。そして、その先に「事業」が見え隠れしますが、海外の「Environmental Geology」に目を向けると、日本では「災害地質学」に分類されそうな分野や、プレートテクトニクス理論も日々の暮らしとの関連で解説されたものが多いようです。

 環境地質学参考書(かだいおうち:岩松先生のサイトの一部です)
 http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/reference.html#
 http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/contents/ernst.html

 駒井 健(2007):土壌汚染対策の課題と環境地質学の役割,地学雑誌.Vol116,№6,pp.853‒863
http://www.geog.or.jp/journal/back/pdf116-6/p853-863.pdf

私たちは生態系や最近注目されている災害廃棄物にも目を当てたいということで、以下のようなPPTファイルを作成してみました(今後更新されます)
 http://www.kankyo-c.com/publication/env-geo.pdf

 海外の「環境地質学」の本を読んでいてまず感じる違和感は「自然は人間がコントロールするもの」というニュアンスを感じることです。日本には”借景”や”わび””さび”といった、なんとも外国語にしにくい”風土””風情”があります。それは、日本の自然が変化に富み繊細であるがゆえ”調和”しなければならいい背景があります。その辺を、地質学の立場から論じてみようという試みを、いま始めています。

2010年9月9日木曜日

共通の「設計図」 - 木内里美氏のコラムから -

 IT関連の記事を連載されている木内里美氏のコラムに興味深いものがありました。

 崩れたパートナーシップと回復への道 http://impressbm.co.jp/e/2010/09/09/2733
汎用機時代にはベンダーと企業のシステム部門が一体感があった。(略)。ベンダーからは担当技術者が送り込まれて常駐し、様々な問題をユーザーと解決した。システム担当者は独自環境を学びつつ自らプログラムを書いた。ベンダーは開発、運用、保守までを一貫して行うことからユーザー企業の風土や業務を理解し、相互のパートナーシップは拘束力で守られていた。
 ---------------------------- (中段略) ----------------------------
 議論を通じて筆者が感じたことは、ソフトウェア開発に「設計図」をもたない現行手法の問題である。建設業の出身である筆者からすれば、設計図や標準積算が当たり前の存在であって、そのどれもが曖昧になっているソフトウェア開発の実態には驚嘆するばかりである。

 私が主に携わるのは、斜面崩壊調査、地すべり調査、地表・地質踏査、道路法面調査・点検等ですが、いずれも地質図と調査結果に基づく概略設計図等ですから、基本的に「アナログな観察」による産物ですから、このような仕事では図にしないまでも設計イメージを持たないことはありません。
 ただ、最近増えてきた土砂災害防止法による基礎調査には、木内氏の仰ることがぴったり当てはまります。平成11~13年あたりに行われた災害危険個所の調査では、現地調査者の所見や調査者が考えて設定した氾濫区域等が書かれていましたので、議論の余地がありました。いまは、DMやTINの精度もさることながら、土砂移動をどのように想定してプログラムを組まれたかが見えなくなっています。CH級の”ビンビンの岩”でも、傾斜と高さだけで危険になってしまいます。そういうシステムだと割り切って、自分の自然観・観察眼が鈍らないようにしていますけれど、、、

2010年9月8日水曜日

意外と注目されない都市の斜面

 今年の地すべり学会で後輩が発表したことを、少し意訳して会社のHPに上げてみました。

 都市斜面の環境と今後の課題
 http://www.kankyo-c.com/park_safety/park_safety.html

 例えば、講演が避難所になっていることは結構皆さんご存知ですが、そこに至るまでの道のりや、斜面に囲まれている場合、表層崩壊、谷埋め盛土の地すべりなどの災害リスクが潜んでいます。いま、戦後の都市の発展と斜面災害とのかかわりの歴史についても、研究している最中です。

2010年9月7日火曜日

日本語の豊かさ

 1本の葦には、川からきた海苔も海の海苔も、巻貝たちさせまとわりついていた。葦がそよぐとはそういうことだった。渚を縁どる葦むらとはそういうことだった。ながい間それは日本人の心性の中にすりこまれていた基層的な情景だった。

 これは、石牟礼道子詩文コレクション 『渚』 に所収されている一節です。たった3行ではありますが、日本の原風景とそこに潜む情景が伝わってきます。最近英語の公用語化に関する話題が出てきていますが、Landslideひとつとっても、日本語は地すべり、崩壊、土石流、山津波、鉄砲水などいろんな表現があります。実務上の利便さはともかくとして、本来日本人が持ち合わせていた繊細な感性を鈍らせるのではないかと懸念しています。

2010年9月6日月曜日

深層崩壊の真相

 ケンプラッツにこんな記事がありました。

 増加する深層崩壊、特に危険な8%の地域を調査  http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20100901/543156/
 2009年8月に台湾で村をひとのみにした土石流が発生するなど、表土層の下の岩盤から根こそぎ崩れる深層崩壊は大規模な土砂災害を引き起こしやすい。地下水による地盤の風化が要因の一つなので、地球温暖化による気候変動が影響している可能性もある。
 土木研究所土砂管理研究グループ火山・土石流チームの内田太郎主任研究員は、「昔からある現象だ」としたうえで、「長期的な判断は慎重にすべきだが、近年は深層崩壊が増える傾向だ」と指摘する。土木研究所の調査では、1990年代に19件だった崩壊土砂量10万m3以上の深層崩壊が、2000年代には24件に増えた。深層崩壊は表層崩壊と比べ、事例が少ないこともあり、研究や対策が進んでいない。しかし、09年度から国土交通省は深層崩壊が発生しやすい場所の調査に乗り出した。

 深層崩壊の事例は昔からあります。これこそ、情報洪水の弊害で、”最近増えているある種のイメージ”が支配的になっているのではないかと思います。応用地質学会論文賞を受賞した加藤さん、千木良先生の論文では、四国北部中央の法皇山地は、少なくとも5万年前から深層崩壊の原因となる山体の重力変形が進んでいたことが実証されています。

 加藤弘徳・千木良雅弘(2009):中央構造線の地表形態を変化させた四国法皇山脈の重力変形,応用地質学会誌,50(3), pp.140-150

 それに、深層崩壊に関する議論は以前からありました。
 斜面崩壊に関する33年前の議論

 先日応用地質学会の地形研究委員会でもこの話題が取り上げられましたが、どうも砂防関係の仕事の分野をふやし、事業継続する理由を確保することが”真相”のようだという結論でした。やっぱりね。

2010年9月5日日曜日

気候変動と四季折々 - 今日のサンデーモーニングのコメントは?

  先週も書きましたが、今日もサンデーモーニングの「風」のコーナーは暑さの話でした。7月下旬の3連休とともに梅雨が明けて一気に夏になりました。それ以降暑いのですが、今日のコメントにあったように「亜熱帯化して四季折々がなくなると日本人の感性が変わってくる」とは次元の違う話です。
 例えば、気候学が専門の吉野正敏先生は最近の論文で、『温暖のピークは8 世紀から10 世紀であった。ここを「奈良・平安温暖期」または「平安温暖期」と呼ぶとよい。あるいは,「縄文の海進」に対比して「平安の海進」と呼んでもよい』と述べられています。

 吉野正敏(2009):4~10世紀における気候変動と人間活動,地学雑誌,Vol. 118 , No. 6 p.1221-1236  http://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography/118/6/1221/_pdf/-char/ja/

 こちらのエッセイがわかりやすいでしょうか
 http://www.bioweather.net/column/essay3/gw14.htm

 そして、四季折々の日本人の感性の「原典」、枕草子は西暦996年に成立したといわれています。いまに匹敵するか、あるいは暑いかといった時代に、”もののあはれ”の心情が描写されていたのです(ところで”平安の理科離れ”はあったようですが、http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/2010/08/blog-post_17.html ”平成の海進”はあるのでしょうか)

2010年9月4日土曜日

日本地理学会でもジオパーク

 今年の10月2日,3日に名古屋大学で開催される、日本理理学会の案内が出ていました。

 日本地理学会2010年秋季学術大会  http://www.ajg.or.jp/ajg/meeting/2010autumn/2010autumn_timetable2.pdf

 先日の第四紀学会でもありましたが、日本地理学会でもジオパークのセッションがあります。このほか生物多様性やラムサール条約による湿地保全であったり、いわゆるアウトリーチに向けた取り組みが多くなっています。
 さびしいのは、地形学・水文学など、純粋な自然地理学の発表が減少傾向にあること。鈴木隆介先生は、地理学評論にあまりにも自然地理学が少ないので日本地理学会を退会しようと思うとまでおっしゃっていました。簡単に世の中のムードに流されず、既存の枠にとらわれない地域論を展開しないと、ますます先細ってしまいます。

2010年9月3日金曜日

全てに勝る地表・地質踏査

  しかし、いかなる場合にも、われわれ地質家による踏査、俗にいいます、ハンマーとクリノメーターによる地表地質踏査というものが、直接的なデータとして、第一級の地質調査資料として尊重されているのではないかと思います。
 地表地質調査というものは、地質家(ジォロジスト)が、野外を歩きながら、その身につけた地質学上の知識に従って、岩石を分類して、地図に色分けをして塗るわけでございますが、そういうものは、けっきょく地質学上の基本に関する知識によってつくられていくわけです。基本原理は、教科書に、どんな本にも載っておりますが、地層累重の法則、堆積の初期水平性の法則、あるいは初期連続性の法則、侵食あるいは変位による地層切断の法則といわれた、四つの原理にかなった内容の地質調査をしておるわけでございます。
 そういうことで、地質平面図とともに、地質家が土木の方に提供しうる最大の資料というものは、地質断面図ということになります.掘るにしろ、その上に何かつくるにしろ、まず平らなところを見て、その下がどうなっておるかということを、図にかいて差し上げられるのは、地質家以外にないわけでございます。そういうわけですから、土木技術者にとって、地質断面図は、いろんな情報の集約されたものとして重要視する成果となる。重要視する成果となると私申しましたが、成果であるから、理解して重要視してほしいというのか私の本音でございます。

このコメントをされた松井先生は、新人のころにほんの少しお会いした事があります。当時古希を迎えられ、悠々自適の生活に入られました。とても紳士的な方だなあという印象でしたが、この格調高い言葉からも改めてそう思います。

2010年9月2日木曜日

地すべり断面 - 印象派・明解派・凡例派、それぞれの長短 

昨日の記事で紹介した『土木建設・環境問題と地質学』から引用です。普段、あまり意識していなかったのですが、地すべりの断面図について、興味深い指摘がありました。

印象派・明解派・凡例派、それぞれの長短
ここに、少しふざけた図がかいてございまして、ご容赦願いたいんですがこの図5・3は、三本のボーリングで、ある地すべり地の図をつくったものでございます。

 このいちばん上の、いわゆる凡例をつけた書き方というのは、非常に一般的なやり方でございます。
 二番目に、非常に直截的に書かれた基盤と地すべり土塊。これは土木技術者が、このすべりの安定計算をするということから、よけいなものを取り去りますと、こういう図面のほうが非常にわかりやすいわけでございます。こういう形で斜面にのっておるものが、まだすべるかどうかを検討しようとしますと、こういう図は非常によろしいわけですが、この地すべり土塊を掘っていったら硬い安山岩が出てきた。土砂でなくて岩盤があるぞ。どうしてくれるんだ。ハッパがいるぞ。こういう問題になるわけです。
 そういうことで、三番目の図は、地すべり土塊でありながらその中にある安山岩を表現して描いた、若干これはウソが入っておる図でございます。こういう図でみますと、三番目は印象派と書いてありますが、これと一番目は、基本的には同じことなんです。だけれども、地質について理解の少ない土木の方がおられるならば、三番目の話は非常にわかりやすいということになります。むかしの地形がこうなっておってそれがこういうふうにすべったんだ。この滑ったあとの断面積とすべる前の断面積と合うでしょう。よく断面図をみますと、体積が全然合わない。断面上に滑らないでよそへいっちゃうやつもありますから、かならずしも合わないのですが、こういう相互関係の矛盾のある図面がずいぶんあります。こういう体積関係が合うという図にして、こういう形で滑っておるんです。ボーリングの下にある砂利層というのは、昔の川の砂利なんですと言ういきさつ、これは相手方の地質学に関する理解度、あるいは調査の目的によって変えてやるというのが我々の使命だと思います

 結構私は”印象派”の図面を書きます。民間・個人の専門家でない人からの依頼が多い時は、すごく”印象的な絵”を書きます。逆に、基礎調査などは”明快派の超手抜き”断面です。このような考え方は、CADの台頭とともに薄れていった気がしてなりません。

2010年9月1日水曜日

下請けからの脱却 - 35年前の議論


 いま、社長が「環境地質学」のコンセプトを明らかにし、世に広めるための論説を書いています。少し読ませていただきました。そのなかで、『土木建設・環境問題と地質学』に述べられている現状と課題があまり変わっていないとの意見を書いておられました。ざっと読み通してみましたが、なるほどそのとおり、そして、私にとっても勉強になる部分が沢山ありました。今週は、この本から何回かブログの連載をします。一応アマゾンのアドレスと、内容の概要を示します。


『土木建設・環境問題と地質学』日本地質学会
  第1回地質学課題シンポジウム(主催:日本地質学会,日本学術会議地質学研究連絡委員会 開催日:1974年12月23日)の記録

・地質学のテーマをみなおす(総合司会:藤田至則)
・環境問題における地質学の役割(座長:石井求 話題提供者:高橋一,松井健)
・地下水資源問題における地質学の役割(座長:石井求 話題提供者:鎌田烈,柴崎達雄)
・土木建設における地質学の役割(座長:井上康夫 話題提供者:池田俊雄)
・現場はどんな地質家を要求しているか(座長:井上康夫 話題提供者:羽田忍)
・総合討論(座長:小野寺透,武田裕幸)

 今日は、上の画像で松井 健(たけし)先生のご意見を紹介します。グゥの音も出ません。

2010年8月31日火曜日

8月31日

 今日は8月31日です。まあ、ご他聞にもれず私も子供のころは宿題を大急ぎでやりました。間に合わなかったらさすがに起こられて、減点されもしました(現在の締め切りである、3月31日は減点どころではすまないのでしゃれになりませんが)。
 私の小学校のころの恩師は、5年生のときに目指せ3000ページ、6年生のときは4000ページの本を読み、読む本が偏らないように図書分類記号もかくように宿題を出しました。でも、不思議とストレスは感じていませんでした。このほか、水泳は1000メートルなど、身も心も鍛えていただきました。
 今考えてみると、読む本のページ数は少なくなったし、分野も偏ってしまっていますが、そのころの経験がなんとかこの不況にも持ちこたえているのかなあとふと思います。当時は、紙と鉛筆と元気があれば充実していましたが、いまは、Dmが来ませんから現場はまだですよ、と元請に言われ生気のないため息をつく生活です。まあ、明日から9月ですので、もう一度引き締めてかかりましょう。

2010年8月30日月曜日

迫力あるスケッチ

 Dmがきません(2)というタイトルにしようと思っていましたが、それではあまりにも生産性がないのでDmでは表現しきれない岩盤クリープ(最近この言葉は、使われなくなりつつあるようですが)に関する論文を紹介します。最近の論文ではこのような迫力あるスケッチを見なくなりました。高解像度の写真があればいいと訳ではない。伝えたいことがひしひしと伝わってきます。勉強になります。

2010年8月29日日曜日

それこそ涼しい議論を - 北海道と亜熱帯 -

 今日サンデーモーニングの「風」というコーナーで、、今年北海道で高温と豪雨があったことを取り上げ、「日本が亜熱帯化する」「北半球全体が高温化している。北半球先進国の主要都市が実は北海道と同じかそれ以上の緯度にあるので、国土政策も再考、、」などと言うコメントが相次ぎました。終いには「日本の亜熱帯化」と全員がうなずきますが、温暖化で何が問題になるのかということに関しは・・・。
牛山先生も論文でおっしゃっていた所の『何かのイメージ』があるようなないような、、
 ちなみに、私の仕事関連でいうと、北海道といえば砂防学の一大勢力です。頻度は少ないものの豪雨や土石流はあるし、崩壊、土石流、地すべりの研究は沢山あります。

清水 収・新谷 融(1990):1988年8月豪雨による留萌・空知地域の斜面崩壊と土砂生産,
北海道大學農學部 演習林研究報告,47(1)http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/21319/1/47%281%29_P177-189.pdf

橋本,幸一郎・ 宮下, 進治・ 長崎, 信次郎(1962):火山性荒廃地の土石流防止に関する研究:羊蹄山真狩ボチノ沢における1961年豪雨時の土石流について
北海道大學農學部 演習林研究報告,21(2)http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/20811/1/21%282%29_P465-477.pdf

 TVでは、今回の高温と豪雨が、あたかも”人類全体の課題”だなどと針小棒大を地でいくような言い方をしていましたが、多分それは、1989年(パリのアルシュ・サミットの主要課題の一つとして地球環境問題が取り上げられ、また、「地球環境保全に関する東京会議」が開催されるなど、環境関連の国際会議が相次ぎ「地球環境元年」と呼ばれた年)以降に形成された、”ある種のイメージ”が広まった結果でしょう。

2010年8月28日土曜日

事前の調査ができないものか

 ついに200歳も登場するなど、戸籍上の生存者が話題になっています。横浜などでは関東大震災や空襲などで、かなりわからなくなった分も結構あるんだとか。まあ、これに関する報道は次から次へと出てますねえ。私が違和感を持つのは、どこかの時点で調査するきっかけがなかったのかということです。防災もそうですが、対策は常に事後です。私は個人からの宅地・斜面点検の依頼を何件か受けていますが、そのままでも災害の心配はないのに対策を求める方、クラックやはらみ出しを見る限り手遅れだけどなんとか出来ることをしてくれという方も含め、予防を求める人は増えてきたように思います(以前、住宅雑誌に連載していた記事を紹介します)
http://www.kankyo-c.com/column/NHJ/color/2009.8.jpg

2010年8月27日金曜日

頼りになる技術士さん

 今岡さんのブログで、島根県技術士会のHPに技術士の方の氏名(フリガナつき)、専門事項、勤務先及びその連絡先まで明記された会員名簿があることを知りました。民間会社はもとより、行政機関の方の技術士の多さにも驚きました。これまで、行政機関とは甲乙関係でした仕事をしたことがなかったので、びっくりしました。

 島根県技術士会 会員名簿
 http://peshimane.s3.zmx.jp/modules/tinyd2/index.php?id=25

 市民目線でいうと、これはとても頼りになります。官民一体となって努力されていることがわかります。また、専門分野の表現も具体的でわかりやすい。これは、その分野の高度な知識だけでなく、現場経験も豊富なのだろうということが想像できます。それに、電話番号がかいてあるのがいい。今日、キッチンの電気が故障し、近所の電気屋さんに相談しましたが、そういう感じにできる可能性も広がります。
 ちなみに、私のゆかりのある府県(福岡、大阪、神奈川)の技術士会のHPを検索したら、福岡はなく九州支部、大阪は近畿支部、神奈川は県独自のHPはありますが、一般的なことがかいてあるに過ぎませんでした。技術士の試験に受かるということは、広く深い知識を持つ高度な専門技術者であることを、国がお墨付きをしているわけですから、個人単位の相談窓口をもっと開設していただいてもいいと思います。そしたら、もっと技術士に憧れが持てるはずです。私も目指しているんですよ、、ですが、、はあ、、努力不足です、、、アラフォーを言われる(44まで!?)といわれるうちにとりたいなあ、、 

2010年8月26日木曜日

iPhone、iPad

 私が古いのか、どうもこの手のツールを買おうという意欲が起きません。携帯電話を買ったのも5年くらい前でしたし。windows XPは過ぐ買ったのですが(98に比べたらそりゃよかった)。iPadについては”携帯電話以上パソコン以下”みたいな感じがしないでもない。社内で買った人は、アルバイトさんも含めて1人だけです

 ただ、そんな私でも、iPhone, iPadについて、なるほどと思う記事がありました。

木村里美の是正勧告 iPhone, iPadにみるUIの威力
http://:it.impressbm.co.jp/e//2010/08/12/2623
実際、iPadを使って電子書籍のページをめくる時の感覚は、わくわくする。端的に違いをいえば、日本製の携帯電話には200~300ページくらいの取扱説明書が添付されているが、iPhoneは30ページくらい、iPadではあっけないほどマニュアル類がない。この違いを生んでいるのが直感的に操作でいるユーザーインターフェースである。

 民間や個人の方から依頼を受けるときは、報告書という紙媒体ではありますが、できるだけ親しみやすい表現を心がけるようにしています。でも、○○質○○岩ってつい言ってしまいます。この言葉の説明も難儀するところです。そして、今日オープンする予定だった BookWayは、書籍の有りようを大きく変えそうです。カラフルなガイドブックだったら、むし読みやすそう。以前連載した地盤からみた土地選びについての連載をまとめてみようかな。

※iPhoneにGPS組み込んで、クリノメーターにはならんのでしょうか。

2010年8月25日水曜日

文系と理系

理系は文系より年収が100万円高い 京大など調査
http://www.asahi.com/national/update/0824/OSK201008240090.html
 理系出身は文系出身より高収入――。京都大や同志社大などのグループが大卒の人たち約1600人を調査したところ、こんな傾向がわかった。「理系は出世も遅く給与も低い」との説もあるが、年代別でも大学の難易度別でも、いずれも理系出身の収入が上回ったという。
 京都大の西村和雄特任教授(経済学)は「技術系の就職が難しい文系より、理系のほうが選択できる職種の幅が広く、転職しても収入が下がりにくいからではないか」とみる。同志社大の浦坂純子准教授(経済学)は「文系卒のほうが収入が高いという説が理科離れの一因だとしたら、そんなことはないと言いたい」としている。

(関連記事としてこの記事を見つけました)
 http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000352

 文系・理系というテーマは、私たちの酒の肴として盛り上がる話題のひとつです。文系・理系に関しては、キャリア官僚でも強い区別があるくらいですから、根強いものがあるでしょう。
 ただ、私のいる世界はちょっと独特で、地理は文系の理系、地質は理系の文系と言われます。

 私の文系・理系の選択を迫られる高校時代はバブル絶頂期でした。だから文系といえば経済学部が主流で、理系から移ってくる人もいたほどです。私は地図や絵画など”描く”ことが好きでしたから、”地学”というより”地理”という選択、結果、地理は社会科に属するので文系の地理学部、あるいは地理の教職員になりたいと思ったので、文系の属しました。

 ところが、文学部地理学科に入ってみると、人文地理学・経済地理学にあまり魅力を感じる事が出来ませんでした。その理由は、既存のデータ処理がメインで、自分独自の考えを独自に表現する機会がないようにみえた(若造の私にはそう見えた)からです。

 いまでも、現場で地質構造をみたりして、自分の仮説を立て図面に起こすとき、その解釈がいかに難しくてもストレスは感じません。基礎調査や予算の都合で土砂量をあわせるような、理論的には簡単な理屈に型ハメするほうがストレスを感じます。だから、この業界”技師”という理系的肩書きをもっているのに安いのでしょうか、、、、!???

2010年8月24日火曜日

安ければいいのか - 発注者の無責任 -

 日経コンストラクションに「発注者の無責任」という、強烈なタイトルの記事が載っていました。まあ、かきたいことも合ったのだろうと他人事のように読んでいたのですが、いくつか当社に依頼されていた仕事が入札できませんでしたとの報告が、、、

 数百万円単位の仕事が、数百円単位の差で他社に持っていかれる。その地域の調査は、ずっと前からやっていたのに、聞いたこともない会社が、、、

 これはまるで、いままでお世話になっていた主治医から、治療費が10円~50円やすいからと言って別の医者に鞍替えし、カルテも全部もっていくようなものでしょう。それだけならまだしも、出来るかどうかは別問題で、とにかく発注機関に(空虚でも)実績をねじ込むために落札した、先のたとえで言えばその医者に腕があるかどうかもわからんが、、という次元です。

 それだけの費用を削ったために、品質劣化という結果を招き、みな損をします。災害になったらもうワヤです。個人差をなくす、誰がやっても同じ結果が出る計算技術がうたい文句になる昨今ですが、考えないことが仕事なんて、論理が破綻しています。

2010年8月23日月曜日

細々と大きな研究

 先だって参加した第四紀学会で、錦帯橋が有名な錦川が、かつて日本海側に流れていた時期があったという研究発表がありました。発表者は高校の先生でした。
 私も高校生のころまでは教師になりたいと思っておりまして、もし母校に不合格だったら教育学部に行くことになっておりました。ただ、生徒指導と専門分野を両立させたいと思っていて、自分にそれができるだろうかという不安も持っていました。
 この先生は、本当によく現場を歩いておられました。流域全域に分布する段丘の露頭を丹念に調べられ、テフラの分布に新しい見解を述べておられました。先生は、細々と、、、と謙遜しておられましたが、こういう骨太の地理学的研究こそ、高く評価されてほしいものです。

2010年8月22日日曜日

ファースト・ジオロジー - 子供へ与える夢から大人同士の夢を語る場へ -

                      アンモナイト・アクセサリー
 
 今日は第四紀学会のポスターサロンに行ってきました。ジオパーク花盛りといった感じですね。専門分野のアウトリーチが大きなうねりとなっていることを感じました。なんとか、地形学、地質学、第四紀学を一般社会に認知してもらいたい、そんな情熱が会場からほとばしっておりました。
 そんななか、深田地質研究所の女性の方が、ファーストジオロジー(地質学を知るきっかけ)の発表で、アンモナイト・アクセサリーというものを展示されていました。化石はファーストジオロジーで最もよくあるケースのひとつですが、こうして”かわいい”という形容詞を付け加えることで、一気に地質学が身近になります。特に女の子とそのお母様方に大好評だったと聞きました。ある意味、女性ならではの感受性かもしれませんが、私の目から大きな鱗が落ちました。私は地すべりの地形発達史を示した論文の図を作成したとき親しみやすくしたつもりでしたが
アクセサリーとして実際手に取ることができる親しみやすさには到底かないません。
 このように、一般の方や子供たちに地質の専門家の存在を示すという意味では盛況だったと思います。ただ、子供たちはその特権として、限りない未来があります。このような機会をきっかけに、ジオを目指してくれる子供たちはどれくらいいるでしょうか。現実に目を向けると、高校で地学が履修できないことが多いので、その時点で忘れる人も多いと思うのです。
 学会発表をする方々は、地学で飯を食っている人です。自分が地学の専門家になっていることの誇りとそれを続けられる意気込みが湯水のごとく出ていると思うのです。では、なぜ地学の専門家であることが誇らしいのか、続けられるのか、楽しいのか、今後どうありたいと思っているか、プロになろうと思ったきっかけ、プロで食っていけると自信を持ったきっかけなど、もう少し大人の話題を繰り広げてほしいのです。大人が夢を語らなければ、子供たちもピンとこないのではないでしょうか。
 私はというと、まず地形・地質を理解しなければ、私たちの暮らし・取り巻く環境が理解できないのではないかという思いがあり、調査結果を地図とスケッチにまとめ”見える化する”という作業がとても楽しかった。子供のころから絵が好き、自然描写あふれる詩が好きというものが根底にあったからでしょうけど。そして、大学の一般教養の時間に「水害地形分類図」や「土砂災害危険度マップ」というものがあって、それを作成する職業・会社がある、すなわち飯が食えることを知りました。地すべり、活断層、扇状地、、そういった既存資料の枠組みにとらわれず空中写真と地形図と目と足をフルに使って得た情報を描く、、こりゃあ楽しい。そして、これをもとに砂防計画や道路防災計画など、社会インフラ基盤を支えて行くための調査に携わることができたし、楽しんでいる上司や先輩がいる。だからこそ、今でも続けています。こういう思いをみんなで語りあえば、楽しいはずだし、肩肘張らないアウトリーチの機会にもなると思うのですが、、

2010年8月21日土曜日

避難のタイミング - 災害の記憶と想像力 -

 報道ステーションを見ていたら、いわゆるゲリラ豪雨を予測して携帯電話のメールで知らせるという技術が開発中であるとのことでした。一見便利なようですが、携帯メールに判断を委ね過ぎると、ともすれば自分の判断力・察知力が低下するのではないかと懸念します。佐用町では、避難勧告が遅すぎたとして裁判にまでなっているようですが、、

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防災専門家も注目、遺族が異例の提訴 佐用豪雨「避難勧告遅すぎ」 (8月11日 産経新聞) 兵庫県佐用町で昨年8月、18人が死亡、2人が行方不明となった豪雨災害で、死者・行方不明者5人の遺族9人が10日、「町の避難勧告の遅れが原因で犠牲になった」として、町に総額約3億円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。原告側弁護団によると、災害時の避難勧告の在り方をめぐる訴訟は異例という。
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牛山先生も、これまでに筆者が行った調査からも,避難勧告はたとえ空振りとなっても良いので早めに出して欲しいという意見が明らかに多数派となっていますが,避難勧告を出す時間をなるべく遅く,なるべく狭く,というニーズも強固に存在し,その結果の一つとして,災害が起こるたびに「避難勧告の遅れ」がいわれる状況が続いています.

というジレンマを述べられています。

私の父は、子供のころ川に挟まれた低地に住んでおり、たばこ屋だったので川の水位が上がると店の商品を棚上げする手伝いをしなければならないため、雲の出方や川の漂流物から”荒れるなという予感”を常に持っていたそうです。戦時中のことですから、まともなデータはありません。まさに、自分の災害の記憶と想像力です。父は今年(そういえば今日)76歳になりますが、筋肉、肌つやともに素晴らしいので、肉体的にも災害の察知力という意味でも「高齢だから弱者」ではありません。むしろ、イマドキの草食系男子よりも両方強いかもしれません。

2010年8月20日金曜日

ばたばた応用地質学会

 10月に行われる応用地質学会の原稿提出締め切りが迫っています。今年の発表テーマはとても大きなものにしてしまいました。おりもおり、国土交通省が深層崩壊推定頻度マップなど出すものですから、意外と注目を集めそうです。
 いつか現場にいって、もっとスケッチしてこようと思っていたら、あちこちから現場の助っ人要請がかかり、ばてばてになってしまったので、準備が全然進んでません。結局、こうじゃないかなあ、、、という実に推測的なものになってしまいました(もちろんこれから現場へ行って結論の高度化は目指しますけれど、、)
 このブログを読んでくださっていて、応用地質学会に参加される方は、ど~~かお手柔らかに

2010年8月19日木曜日

平安時代の理科離れ

 先に紹介した『「理科」で歴史を読みなおす』という本に、平安時代の理科離れという一節がありました。独特の表現がされています。

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 文化には波がある、というよりは倦怠期がある(略)。十世紀ごろになってくると新しい知識、文物が流入することもない。組織もまた老化する。算博士は世襲化し、教育にも熱気がなくなる。また、大衆も算術の割り算も忘れ、算師に敬意を払わなくなる。歴法も衰退する。
 国家を挙げて奈良の大仏を作った時代、天皇の敬虔な仏教信仰の時代を遠くなった。官営だった鉱業は店じまい、政府の後ろ楯を失った。京都を舞台とする最澄、空海の仏教も巨大な仏像を必要とするものではなかった。
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 平安と平成は一字違いですが、良く似ていると思います。気候が温暖なことも似ています。でも、このあとは寒冷な時代がきます。平安末期は乱世となり、武士の時代の到来というドラスティックな時代変化が訪れます。現代はどうなるのでしょう。

2010年8月18日水曜日

美味しんぼ論争

 ケンプラッツの記事で、料理マンガ『美味しんぼ』に対する日本建築学会の反論が大変な反響を呼んでいるようです。

 日本建築学会が木造禁止を巡り「美味しんぼ」に反論
 http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20100817/542859/
 http://www.aij.or.jp/jpn/databox/2010/20100726-1.htm

 日本建築学会は「木造建築全般の禁止を一律に求めたものではなく、危険の著しい地域を防災地域として指定し、この地域における建築制限の一つとして、木造禁止を提起した」と説明する。また、木造建築に関する技術書の発行などを継続的に行ってきたと主張している。
 「木造禁止」について冒頭のように記述した「美味しんぼ」が掲載されたのは、「ビッグコミックスピリッツ」の10年5月3日号だ。この中には「一級建築士の試験では木造について一切扱わないし、大学でも木造建築を教えない」との記述もあった。
 これに対して日本建築学会は次のように指摘した。「08年の一級建築士試験では木造に関する問題が3題あった。また、08年の改正建築士法では、一級建築士の受験資格要件として、大学などで国土交通大臣が指定する科目を修めて卒業していることが必要になった。この指定科目の例として『木構造』が挙げられている。現在では、『美味しんぼ』の記述は事実に合致していない

 国産材の利用拡大による木材自給率の向上を目的とした「公共建築物木材利用促進法」が10年5月19日に成立するなど、国内では木造建築に対する関心が高まっている。こうした状況下で、読者からの問い合わせを受けたことから、日本建築学会は「我々の取り組みをきちんと説明する必要があると判断した」とする。同会は「解説文を掲載したことについては、作者らに手紙を出して知らせた。返事や訂正などは求めていない」と説明。小学館は「手紙は受け取ったが、特に対応はしていない」とコメントしている。

 私は建築の分野は、建築学会がいろんな基準をリードしており、役所基準の土木の世界よりも個々の技術者が自立しているんだなあとは思っておりましたが、この記事や下山先生の記事をみる限り、http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/3b6f3e8a95496606517aa2ed5bf578ab
どうもそうではなかったようです。思考の軸がない技術者が考える住まいにも軸がなさそう、、、言いすぎでしょうか。
 

2010年8月17日火曜日

「理科」で歴史を読みなおす

 帰省の飛行機の中で読む本を探していたら、『「理科」で歴史を読みなおす』という本が目に止まったので、かって読んで見ました。

 理科で歴史を読みなおす
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100802/215680/?P=1

 例えば、縄文時代には、長さ35㎝程度の単位を基準とする縄文尺が存在し、六本柱という柱穴を正方形を2つつないだ長方形で、1辺の長さは4.2m。きっちり縄文尺の35cmで割り切れることから、六本柱建設技術には直角を作り出す技術が必要不可欠で、それにこの縄文尺とピタゴラス三角形と十二進法が応用されていたことを紹介されています。

 最近のいわゆるゆとり教育では、小学校で縄文時代の存在を教えなかったといいます。文献がないからといって歴史がないかのような扱いですが、縄文時代には有楽町海進があり、また寒冷化もあり、もちろん直下型地震もたびたびあったでしょう。そういった変化にとむ自然との共生を通した勤勉さが醸成され、いまの日本の発展の底力となっていることを教えるべきだと思います。

2010年8月16日月曜日

高校野球

 高校時代ブラスバンドに所属して、平和台球場で応援した経験があります。まさに、野球場の形だけ超ヒートアイランドになってしまいます。でも高校野球で唯一好きになれないのは金属バットです。金属音という言葉があまり好意的につかわれません。最高のバットの材質は、日高山脈のアオダモなんだそうです。しやなかで丈夫。高校球児は暑くて大変でしょうが、たまにはそういった生態系があることを知る余裕があっても良いかもしれません。

2010年8月15日日曜日

米軍がつくった戦争時の日本地図

 古今書院の月刊「地理」の今年1月号の特集号を紹介します。

 米軍がつくった戦争時の日本地図 http://www.kokon.co.jp/5501-m.pdf

 今年は戦後65年、戦後生まれの方々がいわゆる"高齢者”、"年金受給者”となっていきます。報道では、主に戦争の記憶を風化させまいとする論調です。
 月刊地理のこの特集号には、人の心で変化する「記憶」とは、文字通り一線を画した「記録」が掲載されています。私は、地形分類図や地質図を通して地図に自分の考えを表現する”色塗り”を職業としています。それを考えると、この特集号に掲載されている「爆撃図」は、自分が書くとなったら背筋が凍る想いです。
 特に残酷で冷厳な記事として印象に残ったのは、九州で地形が最も険しい祖母山・傾山周辺の地形図が”緊急戦闘図”として作成されていたこと。記事の筆者の赤木祥彦氏は、その目的は九州大学生体解剖事件との関係ではないかとしています。九州の山奥で戦闘とまったく関係ない地域が、地名を手書きにするほど緊急に地図が作成されているとのことでした。推定の域を出ないとされているものの、血で血(地)を洗うとはこのことです。

2010年8月14日土曜日

千木良先生の論文の現場

今日会社から連絡があり、群馬県の地すべり調査が入ったとのことでした。千木良先生の論文がある現場です。

http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=jjseg1960&cdvol=25&noissue=4&startpage=182&lang=ja&from=jnltoc

関東山地は日本列島形成に関わるドラマがあるので楽しみです。

2010年8月13日金曜日

Dmがきません

 この時代、仕事で地図を使うといえばデジタルです。その等高線の粗さといったら、、、、Dmがないと成果品になりませんということで、まちぼうけ、、、PCが発達して不便になりました。いま、尾根の上でこんなことつぶやいてますが、、、暑いなあ

2010年8月12日木曜日

深層崩壊

 国土交通省が、「深層崩壊危険度マップ」なるものを公開しました。各新聞でも大々的に紹介されたようですね。

 深層崩壊に関する全国マップについて http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000252.html

 このサイトに紹介されているPDFファイルをみましたが、結構突っ込みどころがあります

 別紙1深層崩壊推定頻度マップ 別紙2深層崩壊発生事例
 これは、あげだしたらきりがないのでしょうが、こういう確実な情報は綿密に調べてほしかった。例えば、昭和58年山陰豪雨による浜田市の崩壊は赤丸が付いていますが、昭和51年兵庫県一宮市の抜け山の崩壊は入っていません。こういうと昭和51年の抜け山の災害は”地すべり”だといわれそうな気もしますが、、大まかには「四万十帯に多いですよ」と言うことなのでしょう。
 それと、もう少し深層崩壊のメカ二ズムについても解説がほしかった。例えばアメリカの地質調査所では、深層崩壊をLandslideのひとつと位置づけて、A~Jの10タイプに分類して解説されています。

 LandSlide Types and Processes
http://pubs.usgs.gov/fs/2004/3072/fs-2004-3072.html
http://pubs.usgs.gov/fs/2004/3072/images/Fig3grouping-2LG.jpg

先日報道されたマップは、どうも専門的な内容を報道すると批判されるのを恐れて、いわゆる玉虫色になった感があります。専門分野の最新情報やどのような議論がなされてきたか、その”最深”情報まで示すのが本当の情報公開だと思います。

2010年8月11日水曜日

「盛土は徐々に固まる」の誤解

 日経コンストラクションに、「盛土は徐々に固まる」の誤解という記事が紹介されていました。まず、君が代の歌詞から記事が始まっていました。
 君が代に「さざれ石の巌となりて」という一節がある。実際に、長い年月の間には石灰質などの作用で小石が凝結した例は、全国各地でみられる。また、砂や泥などの堆積物が圧密やこう結作用によって固まれば堆積岩になる。しかし、盛土に関して同じようなイメージを抱いていたら的外れだ。わずか数十年という単位で維持管理を考える盛土とは、時間レベルが全くことなる。
 釜井先生は豪雨による盛土の崩壊で確認されたパイピングホールや基盤のシルト層が液状化して盛土内部に貫入している写真を紹介されていました。岩を造る時間スケールには、人間の感覚を大きく超えているということでしょうか

2010年8月10日火曜日

エコ疲れ

 武田先生や太田さんのブログに紹介されていました。

 世界に広がるエコ疲れ ニューズウィーク2010.8.4号
 http://newsweekjapan.jp/magazine/
 ”「環境に優しい政治」は無駄だらけの金食い虫──効果もプロセスも不透明な温暖化政策に、各国の政府や世論が背を向け始めた”

 私に限らず地質の専門家はとっくに背を向けていたと思いますが。いま、暑いけれど真っ青な空と入道雲を見ていますが、こんなさわやかな夏の情景も”温暖化”では、日本人の育んできた感性も貧しくなってしまいます。

2010年8月9日月曜日

明日からまた現場

 明日からまた現場です。今度は森林の調査です。下層植生も含めた植生社会学的な調査を行ってきます。道なき道を行くため大変な作業ですが、余力があれば根系と岩盤、地質との関係などみてきたいと思っています。

2010年8月8日日曜日

維持管理の時代はくるのか

 最近の政局の混乱を受け、国土交通白書がなかなかでないようです。そんななか、る6月16日に平成22年の国土交通白書2010の原案が政策会議分科会で公表されていたことを、いまさらながら知りました。それによると、平成37年(ですからあと15年)後に、社会資本の多くが建設から50年を経過し「致命的な損傷が発生するリスクが飛躍的に高まる」ので、「更新費は4.4兆円に増加。維持管理費や災害復旧費と合わせた額は8.3兆円を上回ると試算した」のだそうです。人口ピラミッドを見ても、丁度還暦前後の方々が一番多いわけだから、必然的な流れでもありますが、技術者としては先取りしていろんな提案を考えるのが仕事です。http://www.kankyo-c.com/maintenace.html

2010年8月7日土曜日

社会安全学部

 という学部が関西大学に今年からオープンしていました。文系用と理系用の入試制度があって、講義内容も幅広く学際的なものになっています。

 関西大学社会安全学部のHP  
 http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_ss/index.html
 カリキュラム             
 http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_ss/curriculum.html

 防災は本来学際的なテーマであって、縦割り行政の○○課に迎合した○○科は合いません。面白い試みだと思います。

2010年8月6日金曜日

費用対効果

 いま出張帰路の車中です。小規模ですが渋滞です。今年のお盆は最大規模の渋滞が予想されています。確かに1000円は安いですが、クタクタになることでその後、いろんなモチベーション、生産性が下がると思うのですが、、、やはりCO2を気にしている場合ではないです。

2010年8月5日木曜日

スケッチはアナログかデジタルか

 現在法面の岩盤スケッチの真っ最中です。スケールプロトラクターとペンを手に取りカニ歩きしながら、時々層理面や断層の走行傾斜を図るために、ねじり鎌ガリガリ、ハンマーでガサガサ、、滴る汗で図面が濡れる、、岩盤面に5mくらいのピッチでロープでマス目を作り、それを手がかりにスケッチし、全体図の上に配置し、CADで清書するといった感じで、、、 といった実にアナログな感じで進めていますが、いろいろと調べてみたら、なんと文字どおりこの作業を自動で出来るシステムが開発されていることを知りました。

 現場でトレース!デジカメ写真で岩盤スケッチを作成
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/it/column/20090708/533866/

 アナログとデジタルでは、スケッチの方法が逆になる面があるんじゃないでしょうか?。アナログは、まず全体の輪郭をかいて、そのあと地質境界、岩盤区分線、断層、節理などと詳細に入っていきます。デジタルスケッチは、細かいものを積み上げて全体を構成するというイメージです。
 でも、私はまだ経験不足で消しゴムゴシゴシかけますし、直感的(直”観”というべきか)なのでアナログ派ですが、、、また、ある特許情報で

”手書きスケッチ技術を熟達させて、迅速にかつ的確に、例えば露出する地層面などをスケッチする手書き技術を得るには、きわめて修練のための時間を必要とするため、近年公共事業が減少していることも相まって、こうした技術者が減少している傾向を招来している。”

 という指摘がありました。これを解決するには、実はもっとアナログなトレーニングの場数増やして、どんどんレベルアップさせる方が解決が早いと思うのです。下手に自動化を目指すとイレギュラーの処理だけで終わってしまいそうです。

2010年8月4日水曜日

昨日の続き

 いやあ、暑い日がつづきます。特にスケッチする手が真っ黒になってしまいました。黒いといえば、すべり粘土です。昨日ヒヤッとした写真を掲載します。これでは斜面も滑るはずですよ。

2010年8月3日火曜日

猛暑とそよ風

 やはりバテました。強烈な暑さです。真っ青な空に入道雲、絶好の海水浴日和に法面スケッチ、、たまに吹くそよ風に心地よいため息をつきます。法面からの湧水もひんやりしています(法面からこんなに湧水していると、いまもすべってるんでないかとこころもひやり?)

2010年8月2日月曜日

切土法面は地質の教科書

 今日も法面観察をしてきました。道路は供用開始前なので写真をUPすることは出来ませんが、切土法面は地質を観察するに当たって本当に勉強になります。これでもう少し涼しかったら申し分ないのですが、、、、
 関連する情報がないかと思ってネットをさがしていたら、宮崎応用地質研究会のギャラリーが目に留まりました。
 
宮崎応用地質研究会ギャラリー http://moyo2006.web.fc2.com/phot/phot.html
 
 このなかに、法面関連の写真がふたつありました。

 http://moyo2006.web.fc2.com/phot/jya-1.JPG
 蛇紋岩の切取斜面。上部の灰緑色部は蛇紋岩が風化して片状~土状である。下半分の黒色部も片状、塊状で、小断層も見られる。

 断層によって三つに切られた泥岩層 http://moyo2006.web.fc2.com/phot/dansou.JPG
 
 私が観察しているところは、多分後者の写真と同じ時代の地層だと思いますが、ここまで見事な断層は珍しいですね。
 道路造成だから直ぐに吹きつけされたり植生工が施工されたりと、”工事関係者”以外は、こういった露頭から地球の歴史を想像することができないのはもったいない気がします。

2010年8月1日日曜日

明日から現場です

 明日から能登半島の現場に行きます。幸いネットのつながるホテルが取れましたので、ブログを更新することは可能な状態です(私がばてなければ)。
 能登半島といえば、2007年に発生した地震後、さまざまな研究が行われました。私が最も興味を持った論文をいかに紹介します。このような、地形発達史の定性的なモデリングと、最新の観測技術のコラボレーションが、各地で行われてほしい。

 2007年能登半島地震に伴う地殻変動と能登半島の海成段丘
 http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/15602/1/IHO82410.pdf
 
 2007年能登半島地震の発生直前直後の航空レーザー測量による1m-DEMを比較することにより得られた鉛直地殻変動の様式は、同じ範囲の中位段丘の旧汀線高度分布からわかる変動様式と調和的であることが分かった。海成段丘の波状隆起は今回の地震と同様の地殻変動の累積と考えることが可能である。2007年能登半島地震の示差的隆起成分(0.45m)が中位段丘のそれ(37m)を生み出したと仮定した場合、中位段丘形成後に今回の対応と同じ地震が83回起きたことになり、平均活動間隔は約1,500年と推定される。

2010年7月31日土曜日

鉄の骨

 NHKのドラマの「鉄の骨」が最終回ということで見てみました。1回くらいしか見たことはないのですが、この業界の傍らで聞いたような話だし、途中でわからなくなるような複雑な話でもありませんし。。
ストーリーは予定価格の80%ラインの入札ガチンコ勝負。いわゆる営業マン、スーツ姿の人たちが下請け業者に頭を下げて回り、なんとか赤字の出ない積算に持ち込む。いったん、談合に屈したように見えた常務さん(陣内孝則)が、誰にも秘密で、そして自分も談合の全てをぶちまけ逮捕される。。。
 まあ、いかにもドラマだなあという感じではありましたが、その後の低入札合戦までドラマになるかどうかはわかりませんが、、、、1円でも安いほうが勝ちという状況は変わっていません。問題は決して、安いが”価値”ではないということです。ドラマで対象となっていた物件の額を聞いていると、私たちがやっている斜面点検、防災点検なんてのは、桁が4つも5つも違うことがあります。実はそこに、その後の投資額がどうなるかという鍵があったりしますので、そういうリスクを背負うことに対しては、もう少し価値を見出してほしいのですが、、、、

2010年7月30日金曜日

応用地質学会のHPが変わった … もう一息

 どうにかならんもんかなあと以前から思っていたことですが、応用地質学会のHPが様変わりです。

 応用地質学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jseg/index.html

 地層にこだわっているのか、茶色の縞模様がベースになっています。もう一息ですね。単に地味とか枯れた雰囲気(むちゃくちゃ言ってますが)というだけではなく、水や生態系、土壌、大気といった、私たちの暮らしの環境構成要素やその循環系といった視点をイメージさせてほしいのです。まだ、土木建設のアドバイザーの域を抜けていないような気がします

 でも、なによりうれしかったのは、過去の論文が創刊号からPDF化されていることです。
 
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnltop_ja.php?cdjournal=jjseg1960

 本当に社会に開かれた学会になるには、こういうところが重要だと思います。
 さて、あとは砂防学会ですが、、、、

2010年7月29日木曜日

CO2のほかにも、、

  車で長距離移動するときは、NAVITIMEを使う方も多いでしょう。こんど、自分の研究対象フィールドに行こうと思って検索したら、CO2の概算値が、、、う~む、、気にする人がいるんでしょうか。特に渋滞中に、おいやばいよ、Co2めちゃくちゃでちゃうよう なんて
 いまは、産業総合研究所が、GooGle mapとオーバレィした地質図を試験公開中ですが、ルート中最も古い地質の存在する区間を示してくれるとか、、、車窓から地球の悠久の歴史を思い浮かべるのは、地質を学んだ者の楽しみ方ではありますが、行き過ぎたダイエットじゃあるまいし1g単位でCO2減らしに躍起にさせられるようで、いかにも世知辛いです。

2010年7月28日水曜日

避難の大切さ

 上司が岐阜県の土砂災害調査から帰り、生々しい話をしてくれました。
  http://www.kankyo-c.com/Recent_investigation/2010_gifu/2010_gifu.html

 ある災害箇所では、谷頭表層崩壊を引き金にした土石流が民家を全壊しました。ある住民の方は、奥様が18:30、ご主人が19:00 ごろ避難をし、何を逃れたというお話を伺いました。奥様の話によると、先祖代々120 年間、何事もなく暮らしていたのですが、当日は18 時ごろから雨がひどくなり、上の小沢や斜面から土砂混じりの泥水が出るようになってきたので避難をされたそうです。そして、翌日家に着くと家は全壊で家の中の止まっていた時計の時刻が20:15 であったとのことでした。まさに、40mm 以上の豪雨の最終段階での土石流の発生であり、崩壊の予兆を的確に捉え、事前の避難を的確にすることが、いかに重要であるかということです。
 
 がけ崩れは確かに繰り返しますが、その場所、ピンポイントで崩壊する確率は数十年~数百年オーダーで、人生で一度あるか、ないかです。言い換えれば災害避難の"ベテラン”はいないということになります。気象情報、警報、避難勧告は参考にするべきですが、最終的には自分の判断力がものを言うだなあという印象です。

2010年7月27日火曜日

10年後必要な土木技術 - 河川・砂防 -本当に必要な技術とは? -

 ケンプラッツの記事で、10年後に必要な土木技術 - 河川・砂防 -という記事がありました。気になったところを抜粋して、コメントを添えます。

10年後必要な土木技術 - 河川・砂防
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20100723/542439/?P=1

・降雨災害の多様化によって、毎年発生する河川氾濫や土砂災害は依然として減少していない。

  降雨災害の多様化というのは、人々の生活の場の多様化と捉えた方が良いでしょう。そして、降雨観測技術の高度化に伴う情報の多様化もあるかもしれません。山が崩れて土砂が流れて扇状地や平野を作り、海に流れる。これは単純明快です。

・情報化社会の進展によって、いつでもどこでも情報が入手できる環境であることが想定される。その場合に、自分が所在している地域のピンポイントでの災害危険個所や避難場所の情報が求められる。個別の危険個所の危険度や災害発生予測技術を進展させておく必要があると考えられる。

 一番必要なのは、当事者の情報解釈能力です。まず、地図上で自宅と避難所の位置関係(微細な標高差も含めて)わからない人が多い。大縮尺と小縮尺を逆に解釈している人。メッシュ情報のなかでは、さらに困難。マスコミで流れる「どこでも大地震が起きる」「温暖化で深層崩壊が増える」という一般論に流されないこと。まさに、現場を知ること。これは10年じゃたりないでしょう。

・温暖化による河川区域での生育樹種の変化予測
????????????????????????????????????少なくとも第4紀後半の気候変動をみただけで、時間スケールの桁が4つ違う。

 もっとも気になるのは、PCのスペック向上への期待と温暖化の懸念が多く、”家族を守る”といったスケールの臨場感がないことです。地すべりの多発時期の解明や、それに基づく不安定な地すべりブロックの抽出には、地質学的な観点が必要です。

2010年7月26日月曜日

まだまだアウトリーチが足りない

 最近本当に宅地診断の相談が増えてきました。特徴的なのは、マスコミ報道や防災関連の諸機関が題している情報をインターネットでみて不安になった、という相談がちらほら出てきたことです。先日も書きましたが、土砂災害防止法に基づく危険箇所が各県で公表されているのをみて、沢山あるから自分の家も"危険地帯”に属するのではないか。県が公表している活断層図を見たら、自分の家の近くに「地質断層」がある。地質断層は本当に地震を起こさないのか、地震ではなくても家屋の建築にあたって問題はないか(実際近いといっても5キロ以上はなれた小規模な断層でしたが、、、といったら、なぜその断層が小さいとわかるのかと聞かれ、、、)
 少し地形・地質を学んだ技術者なら、ああ、穏やかな斜面だなあ、と特に調べなくてもわかるんですが、情報洪水によっていろんな不安要素が撒き散らされています。防災は心理学ですから、不安があおられるとトコトンまで質問したくなる気持ちもわかないではありません。特にNHKや役所の情報は正しいとの思い込みもあるところへ来て、それらの情報のスケール(縮尺)と現場とのすり合わせが出来ないと、説得に時間がかかってしまいます。地質断層とは、地質図ってなに?とかなりそもそも論的なところから突っ込まれてしまいました。
 このあたりは、私たち専門技術者にとってのビジネスであり果たすべき役割でもあるのですが、まだまだアウトリーチが足りないと思います。

2010年7月25日日曜日

自然は曲線を創り、人間は直線を創る

建築家の下山先生のブログに、Architecture without Architects に掲載されている出雲平野の写真がありました。ここでも引用したいと思います。その建築及び周辺の土地利用について、下山先生は、『冒頭の写真、道が曲っていますが、それが何故か、建築の人で考える人はきわめて少ない。それは「地理学」の話で建築ではない、というわけらしいです。』

日本の建物づくりでは、「壁」は「自由な」存在だった-8(了)・・・・「住まいの原型」の記憶

 この話を聞いて、湯川秀樹の言葉を思い出しました。
『自然は曲線を創り、人間は直線を創る』

 遠近の丘陵の輪郭、草木の枝の一本一本、葉の一枚一枚の末にいたるまで,無数の線や面が錯綜しているが、その中に一つとして真直ぐな線や完全に平らな面はない。これに反して、田園は直線をもって区画され、その間に点綴されている人家の屋根、壁等のすべてが直線と平面とを基調とした図形である」。「しかし、さらに奥深く進めば再び直線的でない自然の真髄に触れるのではなかろうか」。

  確かに、文明の発展は合理的かつ便利であることを求めてきた歴史であるともいえるでしょう。その結果として”直線的”になるのは自然だと思います。でも、直線”的”であることではなく「直線」にしてしまおうとするとき、無理が発生します(私は、作成・提示する図面が地質図、地形分類図であるときはイラストレーターを、対策工を提案する場合はCADを用いるようにしています)。そうえいば、昨日飲み屋で、渓流防災に関しては、コンクリートの砂防ダムで土石流とめようというよりは、滝という天然のスリットダム、あるいは床固工を参考にして、それをひとつかふたつ増やすという認識でいたほうが理解しやすいだろうと語っていたことも思い出しました。

2010年7月24日土曜日

新たな出会い

 今日は月1回恒例の同業者で構成する勉強会でした。懇親会にて、とても活発で(かなりラテン系な感じの)女性技術者との会話が弾みました(ホントに最近女性がパワフルだなあと感じます)。
 彼女は、地球環境学という名称の学位を取得していました。専門は水文学でした。氷河時代に閉じ込められた化石水や化石海水から地層の堆積環境を解析するのがテーマなんだんそうですが、循環する水のうち、最も見えにくい部分を想像するところにロマンと愉しみがあると、はじける笑顔で話してくれました。来月にはアフリカに井戸掘削に行かれるそうです。エネルギッシュな人でした。

2010年7月23日金曜日

車1台分の防災対策

 個人や民間の防災に関わる相談に関わっていると、本当にシビアです。今日は住宅リフォームのなかで、地盤補強ができないかという相談でした。当然、リフォームにかけられる予算には限りがあるわけですが、これが公共事業の急傾斜地崩壊危険箇所だと桁がふたつくらいは違うわけです。そして、規格にあっているかどうがが第一義として話が進められますので、どうしても一律、永久構造物となってしまいます。

 住宅リフォーム会社の方の話では、現在営業展開をするにあたり、少しは壊れるものをつくるがキーワードになっているのだそうです。永久建築物にすると高くつくので売れないし、買い手の理解も進んできたのだということなんです。特に住宅リフォームとなると、個別の物件ごとに損傷の度合い、周辺の施工条件、地形、地質、そして盛土の劣化など、ひとつとして同じ現場がないので、現地単品オーダーメイドになります。

 そして、公共事業と決定的に違うのは、予算の規模です。対策工の施工まで踏まえ、だいだい車一台分の予算だというのです。公共事業だと家1件分以上のことがざらです。そして、地表・地質調査費用はもっと少ない。そこで適切な結論をださねばならない。

 ただいえるのは、発注される額こそ違うものの、「技術者冥利」という意味では個人・民間の方がやりがいがあります。その辺は、私の論文に書いたところでもあります。

下河敏彦・稲垣秀輝(2010):市民社会にとっての地質技術とアウトリーチ,応用地質学会誌50(6),pp.345-349

2010年7月22日木曜日

法指定区域と危険(2)

 以前にも法指定区域(いわゆるレッドゾーン)と本当の災害の危険性にはずいぶんギャップがあるという記事をかきました。

 法指定区域と危険
 http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/2010/06/blog-post_20.html

 今日は、一般の方から、県のホームページをみると、自宅周辺が急傾斜地崩壊危険箇所のレッドゾーンがいたるところに存在している。だから、自分の家も危険にさらされているのではないか、という問い合わせがありました。できるだけ丁寧に解説はしました。一定の条件(傾斜30度、高さ5m以上)で、淡々と設定するだけで、実際の斜面の個性はわかりませんよ、、と、、なにかあったときの免罪符に使うにしては、この条件はあまりにもアバウトです。本当は"計り知れない脅威”に対して、道理に基づき説明するのが私たちの仕事です。また、深層崩壊の可能性や、活断層とそうでない断層の違いについても質問されました。マスコミは、安全なところは伝えないので、妄想が広がっているようでした。

2010年7月21日水曜日

斜面崩壊に関する33年前の議論

羽田野誠一地形学論集 234Pより
(画像をクリックすると拡大)
 上の表は、1977年の月刊地理22巻5号に「地くずれと危険斜面の調べ方」という、羽田野誠一氏と深田地質研究所の大八木先生と編集者の対談集に掲載されていた表です。ここでいう”地くずれ”とは、表層崩壊や土石流を含めた斜面の地形変化、土砂移動現象の総括した用語として用いられています。()書きで(Landslide)とありますので、現在の定義に近いものと言えるでしょう。さて、上の表の右側の列をよく見ると”基”とき記号があります。これは基岩崩壊の頭文字をとったもので、今でいう深層崩壊と同義と思われます。対談のなかで、このようなやりとりがありました。
編 集 :表をみるまでは、地くずれ災害がこんなに多く起きているとは思いませんでした
羽・大: 自然に対する人間の影響(切土、盛土、掘削、地表水・地下水流路の意図的及び無意識的 (山腹道路開設などのよる)森林伐採)がじわじわでてきて、被災対象も急増した。実際には数百年来大災害を受けていない地区が国内にたくさん残っている。そのなかには”免疫性” があるために崩れ難い地区のほか豪雨や地震などの誘因が与えられなかったために残されている地区もかなり多い。

編 集 :近年、豪雨や地震の誘因が強まったということはないか
 大  :専門家に聞いてみたい問題ですが、特に著しい変化を考えねばならない積極的なデータは聞いていません。山の中の観測地点が増えたので、記録的雨量が測られる機会は多くなったでしょうが、、
 むかしから、今と同じ議論があったことが伺えます。

2010年7月20日火曜日

常世の樹

 あのかつらの大樹の梢から、無数の川が音を立てて流れくだり、九州脊梁山系の胎中にある見えない鍾乳洞へ流れ込んでゆく幻聴が、わたしの耳の中に起った。樹は川の源流である。

 これは石牟礼道子さんが、大分県檜原山に訪れた際、『常世の樹』という作品に記された文章です。『常世の樹』を直接読んだわけではなく、最近出版された『不知火』のなかの解説文から引用しました。

 檜原山といえば、本耶馬溪のある山国川の上流域なのだろうと思います。耶馬溪火砕流は,約100万年前、九重山北方にある埋没し た猪牟田カルデラを噴出源とすることがわかっています。石牟礼産の詩文コレクション『渚』のうち、「海はまだ光り」というエッセイの中で、”人間の上を流れる時間のことも、地質学の時間のようにいつかは眺められるような日が、くるのだろうか”と述べられています。最近は20年~30年の時間スケールで起った経済災害の話しばかりで、世知辛い。たまには、このような深遠な感性の持ち主の文章に触れることも新鮮です。

2010年7月19日月曜日

内房線でのジオ鉄案

 先日会社の同僚が、房総半島に津波堆積物や旧汀線に関する巡検に行ってきました。私は別の用事があって行く事ができませんでした。聞けば、縄文海進時の地形面が30m隆起している箇所があるんだとか、、30mの地形面といえば、私の感覚で言えば、ややもすると武蔵野段丘面にも匹敵するとてつもない隆起量です。検索した結果、産総研の研究者の方のサイトがありました。

http://staff.aist.go.jp/m.shishikura/study.htm
房総半島南部鳩山荘付近で見られる2段の離水地形
高位が1703年元禄関東地震において離水した段丘,低位が1923年大正関東地震において離水した段丘.元禄段丘の方が大きく,広い範囲で離水していることから,大正関東地震時より隆起が大きかったことがわかる.

ふと思いました。これもしかして、内房線(外房線)にそって、かなり段丘地形があるのではないか。内房線の車窓からみるプレートテクトニクス。いいじゃなでいすか。

2010年7月18日日曜日

節約時代の斜面防災対策 - とくに大規模地すべりや災害対応に関連して -

  というタイトルの発表が、今年の地すべり学会でありました。過大設計を避けることができたはずの地すべり対策の実例が上げられています

・九州のY地すべりでは、安全率を2%あげるために十数本の深礎杭が施工された
 → 土工などの他の工種に切り替えることができれば復旧工事費を大幅に削減できた

・実際にはクサビ型崩壊であったが、円弧すべりとして計算され、切土、集水井、アンカー、杭工など多種の工法が用いられれた。

・その他、必要以上の法枠工(あつものに懲りてなますを吹くと表現されている)

結びとして、詳しい地質踏査に基づいた正確な地すべり機構の解明がなされていれば、工法の選択が自ずと絞られてくる。正確な地質踏査が継続されるには、それにみあった踏査の評価が必要であるとされています。

至極真っ当な正論だと思いますが、このような論議が平成の22年にもなって出てきたことがひとつ問題でしょう。これも地質リスクマネジメントのひとつだと思います。”節約時代”でなくても、議論が重ねられるべきでした。個人の調査以来を受けると、必要最小限の対策を求められますので、常に節約時代なのですが、、、

2010年7月17日土曜日

土石の旅路

 山は崩れ沢を通り、平野をつくり海へ注ぐ。未来永劫続く自然の脈動は、今年は異常だ、いや10年前とくらべ、生まれてこの方はじめて、、、云々の感覚をこえています。自然はそれが仕事です。「災害」はその仕事にとって都合が悪い場所にあったとき、人間が勝手に騒いでいるだけに過ぎません。

今年も中国地方で豪雨災害がありました。そして去年もありました。去年はその土石流災害に対して、地質学的な調査研究が行われました。私も関わりました。

平成21年7月 山口県防府市土石流災害 調査速報
http://www.kankyo-c.com/Recent_investigation/2009_yamaguchi/2009_yamaguchi.htm

福岡ほか(2009):平成21年7月中国・九州北部豪雨による山口県防府市土砂災害,自然災害科学,Vol.28,No.2,pp.185~201
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsnds/contents/shizen_saigai_back_number/ssk_28_2_185.pdf
・真尾地区の土石流堆積物には,しばしば周防変成岩の泥質片岩礫が見られた
・源流部には花崗閃緑岩と細粒花崗岩しか分布せず,周防変成岩はさらに数百メートル東方の上流域に分布する。このことは,過去の斜面崩壊などで沢にもたらされた土砂もまた,今回の土石流の母材となったことを示している。
・今回の土石流災害は花崗岩地区の地表に風化で生成されていたマサ土の土層が谷頭で小規模崩壊を引き起こし,飽和した渓床堆積物上に急速載荷することにより土量を増大させながら大規模土石流化した
・特別養護老人ホームは上田南川の出口に立地しており,大半の巨礫はその前の緩傾斜区間で停止し土砂のみが建物内に流入したが,避難に時間がかかる入居者が多かったため被害が大きくなったと思われる。市役所から避難連絡が来なかったため避難が遅れたとされているが,極端な気象条件では自治体も機能不全になることがあり,自主判断で避難するための指針,方策を考えるべき時に来ているように思われる。

そして、ずいぶん前でが、羽田野誠一氏による土地分類基本調査が行われています。これをみると、遷級線、旧河道、沖積錐など、洪水によって形成される地形が精細に表現されています。さらには、急斜面(変成岩類・谷密度小)など、厚い風化帯を示唆する凡例が設定されています。おそらく、土石流や崩壊の発生しやすい地域のひとつとして注目されていたのでしょう。
http://tochi.mlit.go.jp/tockok/inspect/landclassification/land/5-1/3501.html

先に紹介した、自然災害科学の論文ですが、地質学的にも防災的見地からも教科書になるような結果、提言となるでしょう。こうやって情報公開されているのですから、その存在をもっと知られ、議論の機会を増やさねばなりません。