2011年1月28日金曜日

全災害共用の指定避難場所への避難」が最善と言えるのか

 牛山先生の論文での提言です。

 牛山素行・高柳夕芳,2010:2004~2009年の豪雨災害による死者・行方不明者の特徴,自然災害科学,Vol.29,No.3,pp.355-364
 http://disaster-i.net/notes/2010JSNDS29-3.pdf

 一方,台風9号は,若年層への被害集中,屋外遭難者の多発,避難中の犠牲者の大量発生など,近年の豪雨災害事例とは異なる犠牲者発生形態が見られた.特に,避難中の犠牲者が大量に生じたことは深刻であり,このタイプの犠牲者は,「洪水」の際に目立つ傾向があらためて確認されたことになる.災害への対応行動として,「全災害共用の指定避難場所への避難」が最善と言えるのか,検討が必要になるだろう.

 現実的には、”ハザードのタイプ”にあわせたそれぞれの避難場所を設定することは、なかなか困難でしょう。自宅をハードにしておくことも必要ですし、物理的に遠回りでも”ハザード”の発生しにくい避難経路はどこなのか、案内版の設置や地図を囲んだ議論、様々なイメージングが必要です。
 そして、”災害弱者”の考え方を改める必要もあるかと思います。単純に子供とお年寄り、すなわち身体能力だけでいいのか。被災後の生活再建も含め、総合的な見方が必要でしょう。

2011年1月26日水曜日

地質リスク

 Googleアラートで知ったのですが「Geochemist?」というブログを開設している方がおられます。お名前を公表されていないのですが、内容的には高度で勉強になるブログです。

 このブログにも述べられているとおりの、ある種の”違和感”は、私も感じておりました。地質調査をすれば”いくらお得になりますよ”という視点が目立つように思います。自然現象はオーダーで変化し、相場ではありませんので、”閾値を用いたオーダーで”予測するいうコメントも妥当だと思います。

http://phreeqc.blogspot.com/2011/01/blog-post_25.html

2011年1月25日火曜日

砂防学講座「日本の国土の変遷と災害」から

 砂防学会誌63巻5号が手元に届きました。そのなかで、『日本の国土の変化(土地利用の変化)』という、そのまま地理の教科書に載せてもいいような講座が掲載されていました。このなかで、いまから100年以上前(1900)年の日本の土地利用状況と、1950年、1985年の土地利用の状況を示した地図が示されています。
 これで私が注目したのは「荒地」の変遷です。1900年の土地利用図では、西日本や長野県に多く「荒れ地」が分布しています。1950年ごろになると「荒れ地」は減ってはいますが、まだ”目立つ”程度にあります。ところが、これが1985年になると大部分が”森林に変化”しています。
 これは論文にも書いてあるとおり「中国、四国、九州で盛んに行われた杉や桧の植林」です。”荒れ地”であるよりは、確かに土砂流出の発生しにくい国土になっているということも出来ます。しかし、宅地化の進展で山すそに住まいが進出したことや、情報伝達の発達で「土砂流出」が「温暖化に伴い頻発している」という”ある種のイメージ”が最近あるように思います。このイメージを考え直すにはいい教材となる論文だと思います。

2011年1月22日土曜日

住まいに関するアンケート

 今日帰宅したら、住まいの市場調査なるものが届いていました。いまの住まいのきにいっているところ、不便だと思うところ、家賃はいくらか、など特にあたりさわりのない項目が並んでいます。
 私の場合、1.近い、2地盤、3.家賃といった優先順位です。安くて地盤が良くて会社が近いという理想卿はそうそうありません。通勤ラッシュは毎日定時に災害にあうようなものだと思っているのでまず避けたい。会社は多摩川デルタにある。となると、沖積層は避けられない。でも浸水履歴図はみて、水害の履歴はないことは確認しました。北東側と南西側それぞれ400mくらいいったところに大通りがあり、かたや川を埋め立てられた通り、かたや田んぼと池を埋めたたてた通り、その真ん中だからまあいいかってところです。

2011年1月17日月曜日

1月17日

 今日は1月17日、阪神・淡路大震災から16年目です。昨年は15年という節目ということもあって『神戸新聞の100日』(だったか?)というドラマが、嵐の桜井さんをメインキャストに話題となりましたが、今年はそれに比べるとやはり少ない印象です(NHKの番組はあるようですが)。ブログやツイッターなど、自分から情報発信をしていると2年半前の岩手・宮城内陸地震や2004年新潟県中越地震なども、はるか前のことのようです。
 さて、今日の新聞には、火災保険のうち地震保険を付帯した率が、7年連続で上昇しているとの記事がありました。さらに、この付帯率のベスト5、ワースト5の都道府県まで掲載されていました。さすがに地震の意識の高い高知県、宮城県、愛知県といったところがベスト3、長崎(特に大きな震源があるともおもえませんが)がワーストでした。でも、こういうのは”ベスト”とか”ワースト”とか、そういう表現はどうなんでしょうか。

2011年1月13日木曜日

緑の川


 後輩が”昭和初期の砂防の本にはまっている”と、たものしくもにくいことを言うので、いろいろと考えをめぐらしてみました。そうすると、伊藤正紀氏の「砂防特論」というのがあって(そういえば、旧ブログでも取り上げたことがありました)、砂防とはその終局において”緑化”を目的とする、という言葉を思い出してみて、ネットで検索をしてみました。
 いろいろ深く検索しているうちに、「堤防植林」と「緑の川」という記事をみつけました。
 こういういい記事は、自分のブログにも残しておきたいものです。原典にふれることは、やはり気持ちがいいものです。
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●将来は堤防は最小限のものにして河川沿いに堤防上は無論,堤内側,堤外側にまたがる帯状の森林帯を造成したらよいと思う.つまり森林自体が護岸であり水制であり一つの堤防であることになる.
●しかしそれには一定の条件が要るのであって,こうした理想は河川の上流部から下流に向かって実現して行かなくてはならない.まず山間から流出してくる土石に対する一応の処置を尽くし,次に渓流々路の改修にあたっては,堤防や護岸の代りに森林を両岸に育て上げるように考え,そしてこの方針を漸時下流に及ぼして行くのでなければなるまい
●新しい考え方,理論などについて筆者はとりたてて意見を述べ批判しようとは思わないのであるが,ただ砂防は昔から相も変わらぬ同じ事ばっかりやっていて全然進歩がないと一概にいわれる向も多い.
●しかし,昔からやっていることの意味をよく振り返って考えて見るだけの度量を持って戴きたいと思う.「何故そうやっているのか」その意味を現場で砂防をやっている人に直接聞いても十分によく説明し得ないことが多かろうけれども,われわれは昔からのやり方の意味を十分に理解し,慎重に検討してからこれから先のことを考えて行きたい.思いつきのようなことをいきなりやって失敗した例は,砂防などの場合にとくに多いのである.このような時慎重な態度をとることは「砂防の発展のために」決して邪魔になるものでないと思っている。
●しかしいつまでも,どこまでも,白い工事を続けて行ったのでは全く切りがないことは明らかであるから,早く根本方針を再考するか,少なくとも折衷する線ぐらいを出さなければ,下流の平野部は永久に救われないであろう.

2011年1月12日水曜日

地盤工学会誌59巻6号

 まず、斎藤迪孝先生の訃報が掲載されていました。私はお会いしたこともないし、雲の上の人という感じですが、斉藤先生の崩壊予測手法に関する考え方は、地すべり防止工事士の受験勉強でもよく読んでいました。
 
http://www.jisuberi-kyokai.or.jp/gijyoho/gijyutu/kaiseki/houkaiyosoku/houkaiyosoku.html

 次に、諏訪先生の「住宅の地盤紛争における地盤技術者の役割」という論文が強烈なメッセージがあって印象にのこりました。”一級建築士の地盤に対する無知があまりにも大きい”と”ドハッキリ”とかいてあります。先日依頼のあった宅地診断は、「深さ5m以浅に自沈する層がないからといって、沈下の発生がないという保証にはならないことを理解すべきである(略)締め固めもなにもしなければ、5~10%の圧縮・水浸沈下が発生」していた事例でした。周辺を歩いていたら溺れ谷+谷埋め盛土という土地で、切土・盛土の境界付近に擁壁の変状が見事に連続していました。いま、他の業務でものすごく忙しいのですが、こういった現場はできるだけいくようにしています。

2011年1月11日火曜日

大学入試センター試験

 私は共通一次試験が大学入試センター試験に変わった最初の年の受験生です。マークシートが大の苦手で不勉強もあったせいであまり良い思い出がありません。比較的得意であったのでは地理と地学ですが、その地学がマイナーなのです。当時、理科4科目のうち地学受験者は5%くらいではなかったでしょうか。同世代人口で考えると、大学入試センター試験を受けるのが大学進学希望者の半分くらい。大学進学希望者は同世代人口の半分くらいでしょうか。そう考えると地学受験者のマイナー振りが際立つのです。
 当時は、地球温暖化やオゾン層など、いまのエコにつながる環境論が芽生え始めた時期です。その時期に比べると、玉石混交ではありますが、地学に関わる情報は格段に増えていると思うのですが、考える機会は相変わらずマイナーのままです。

2011年1月10日月曜日

20年後

 今日は成人式ですが、TVの番組で、「今日、成人を迎えた人が40才になるころ、団塊の世代が80代前半に突入している」というコメントがありました。そしたら、第二の巨大世代である”団塊ジュニア世代”の私たちは、還暦前後ということになるわけです。
 今年成人した人たちが社会をリードするアラフォーになったとき、家や土地を買ったりという大出費(実際今年40になる私の周りにも家を建てる人が増えてきました)をします。そこに大規模な自然災害が発生したらどうでしょう。巨大な年配者~老人世代(多分高齢化の頂点でしょう)を支える世代が、災害の経済リスクがMAXになっています。私たちが未成年だった時代に急増した法面や擁壁の老朽化も一段と進んでいることでしょう。
 いまだに、防災はお上の仕事の構図がはびこっていますが、別の防災哲学を考えることが急務となっているのではないでしょうか。

2011年1月9日日曜日

またまた宅地調査依頼

 今日も宅地診断の相談の電話がありました。特に目立った災害があったわけでもなく、またテレビ番組があったわけでもないのに、ここ最近増えてきました。潜在的なニーズはやはりあるようです。でも、寒い、風邪気味です、、、、

2011年1月8日土曜日

Twitterはじめました

 このブログの左上あたりに、目立たないですがツイッターのリンクをはりました。ブログのカテゴリーとして”ぼやきつぶやき”ってのを設定した数ヶ月後にツイッターが登場したので、間が悪いなあと思っておりましたが、ふっとわいて消える揮発的な思いつきをメモするにはいいかと、、
 そういえば、現場を歩いているとき、GPSつきのツイッターがあれば便利でしょうね。あっ、、花崗岩の礫が、、、断層あるかも知れんなあ、、、円礫だ、地すべりじゃない、、、N30Eやや流れ目かなあ、、、いちいちメモしていると時間がないけど積み上げておきたい。しかしメモができないからどうしても忘れるし、基礎調査なんかでは、とにかく数をこなしたいと思って興味深い露頭があっても無視したり、、、
 さて、ツイッターの名前はfind_mapです。ツイッターの性格はマインド・マップにも通じるところがあるなあと思ったのですが、マインドマップはトニー・ブザン氏や今岡さんがスペシャリストであるし、情報を出すことで世界が広がる(大げさか)という意味もこめて、このような名前にしてみました。

2011年1月7日金曜日

寒波と温暖化報道

 この3連休寒波がやってきます。報道ステーションでは、灯油の値段が下がらないので雪国では大変だといる論調でした。そしたら、なんと、、寒いけど温暖化は防ぐよう、努力しましょうね、、、という論調に変わっていました。そして、寒い冬を灯油(石油)を使わずに暖かく過ごすために、木材チップを使ったストーブが(高いけど)いい。それは、木はもともとCO2を吸っているので、それを使えば温暖化防止にもなって地球環境にもよい、、と一気に話はショートしてしまいました。
 かつて化石燃料が台頭する以前は、薪をエネルギーとして使っていました。暖を取ったり火をおこしたり、、しかしその負の遺産として、いわゆる”はげ山”が出来ていきました。終戦直後の日本の山は、かなり植皮の悪い状態です。それに比べれば、森林管理の問題で多少流木が出やすくなったとはいえ、最も植皮は良い状態です。このような時勢で、あまり根拠のない森林保護論や環境論が出てくるのは、どこかが間違ってます。
 テリー伊藤さんは、最近のいわゆる”お笑い”は半径5mの笑いだ。目に見える範囲の客だけ相手にしていると批判していました。この報道のカンキョウロンもその程度かも知れません。

2011年1月6日木曜日

宅地相談2件

 今日は宅地擁壁と不同沈下に関する裁判案件の現場を2件見てきました。両者ともかなり古い時代の開発で、いわゆる既存不適格の擁壁に囲まれていました。
 このような問題を解決するためには、やはり、土地の成り立ちを確かめるために、宅地以外のところも歩く必要があります。それによって、切土と谷埋め盛土の境界が明らかになり、普段では老朽化した、あるいは雑な施工として見過ごしていた街角も、実は地盤の緩やかな動きを反映してとのこととなると”やっぱり専門家に見てもらうものだなあ”といわれるとうれしくなります。地質の現場は、本来同じものがありませんので”基準を当てはめる”という発想はありません。教科書にのらないからこそ、技術の発揮しがいがある、ということでしょうか。

2011年1月5日水曜日

ノートPC

 持っていたノートPCがずっじりと重たいし、そろそろ老朽化したので買い換えました。特になににこだわるでもなく、軽い方が良いかと思ってThinkPadにしました。まあ、やすくなったものです。といかにもネタがないような記事ですので、ツイッターでも始めてみようか、、

2011年1月4日火曜日

ある庭師の話 - やりがいのある仕事 -

 正月祖母の家を訪ねました。祖母と一緒に住んでいる叔父が定年後庭造りに懲りだして、庭石や紅葉を工夫して配置しなかなか美しい仕上がりでした。叔父と飲みながら、手伝ってくれた庭師の方の話を興味深く聞きました。

 叔父:最近はやはり不景気なんですかねえ
 庭師:いや、結構もうかっとるとよ
 叔父:どがんかお客さんが多かとですか?
 庭師:若か人に”ガーデニング”ちはやっとるやんね。あれたい。
 叔父:ええ!?、ばってん、今風の家に、和装の庭石とか、松とかにあわんでしょうもん
 庭師:そらあそげんたい、ばってんね、上質にこだわらんでよかけん、さっと仕上げた割には、よか金になるとたい。
 叔父:そら、ばってん、面白うなかでしょうもん
 庭師:そらあ面白うなかよ。腹んなかで、ごげんかとのなんがよかろか。いっちょん面白うなか。 てつぶやきよるとたい。逆に、あんたのごとこだわって、いろいろ調べて熱心か人の仕事は 面白かけん、庭石も割りびいたとたい。人間やっぱ、金よりやりがいにこだわらんとつまらん ばいた。

 (方言は変換しにくいですねえ)

 聞けば、昔気質の職人気質、叔父とは同い年だといいますから、私の丁度ふた周り上の方です。
 いま、公共事業を取り巻く状況をみると、一円でも安いほう、また、誰がやっても同じ結果になる調査を”定量的で高度”と称し、この庭師の方の話とは対極の方向に向かっています。この無力感・脱力感に浸っていてはグチしか増えませんので、40を迎える年でもあるし、やりがいのあるマーケット開拓にむけて行動できる1年にしようと思っています。 

2011年1月3日月曜日

ことばのあそびうた

ぼくは 跳ねる
ピョンピョン 跳ねる
たまに 切り株につまずいて
「う!」と転げることもあるけれど
それでもかまわず
ピョンピョン 跳ねる
昔 カメと競争したときに
あわてんぼうの新聞記者が
「うさぎ、跳ねる」を
「うさぎは、寝る」と誤報した
その記事読んで
「う!サギ!」と驚いた
ぼくは、いつでも全力疾走
ぼくは 跳ねる
ピョンピョン 跳ねる
ピュンピュン 耳をふりながら
どんな坂でも
かけ上がる!

小学校の恩師から年賀状が届きました。最後の2行がいい。私もどんな坂でも駆け上がりたい。

2011年1月2日日曜日

社内失業 企業に捨てられた正社員

 この業界の人は少なからず経験した人は多いと思います。

 社内失業 企業に捨てられた正社員
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4575153613/blogsoukcojp-22/ref=nosim/

 3月までは忙しいのですが、その後は予算編成まち、、、もう幾数十年といった感じでしょうか。

2011年1月1日土曜日

今年の目標

1年の計は元旦にありということで、、

・論文(報告)を2本くらい書きたい
昨年の報告は「地質技術のアウトリーチ」の提案でした。今年は、自分の研究テーマである地形発達史や土砂移動に関する報告を2本(要は、昨年の応用地質学会のテーマと丹沢の土砂災害調査報告を論文化したいということです。

・ネットブックで出版してみたい
 昨年はiPadやBOOKWAYなどのツールが台頭しましたので、一般向けかつ、なかなか気がつかない宅地や裏山の問題点などをまとめてみたいと思います。

 正月なので先祖の墓参りなどあります。携帯で書いてますので、このへんで、、、、