2010年12月9日木曜日

レーザー計測と地生態図

 地理学評論の2010年11月号に、地形と生態系に関する以下の論文が掲載されていました。

 佐藤浩ほか(2010):航空レーザー測量データ及びハイパースペクトルセンサーデータを用いた白神山地・泊の平地区における地生態学図の作成,地理学評論83巻6号,pp.638-649

 固有名詞がすごく長いのですが、航空ハイパースペクトルセンサーによって、地形や地表を覆う植生の状況が高精度にわかるというものです。
 地生態学の意義は社長が以前から論じていたところではありました。例えば

 応用地生態学  http://www.kankyo-c.com/geo_eco.html
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=jjseg1960&cdvol=47&noissue=5&startpage=297&lang=ja&from=jnlabstract

 地理学評論の論文では、先行研究の植生分布図、線的に行われている現地調査の結果をもとに作成されているため、一様な精度で面的に図化するのは難しいと指摘されています。これは難しいというよりは、企業の職員としてやるには時間がないといったほうが近いと思います。当然のことながら、頭の中では面的に把握しているわけです。現場を歩くときは調査側線をメインとはしながらも、周囲の地形、地質(転石、露岩、断層の有無、集水地形かどうか、、、)など、いろんな”系”を想像しながら歩くわけで、ルートマップは面的に作成していますし(メンタルにはもっと)、地理学評論が指摘するほど難しいわけではないと思います。この域に達するには、10年くらいは空中写真判読と地形図と現地調査のフィードバックを繰り返さなければいけませんが、地表・地質踏査の醍醐味でもあります。
 ただ、レーザー計測の精度はやはり圧倒的です。あくまでツールとして、強力な味方にはなります。うまくハイブリッドして、環境調査にも活かし、仕事にしてみたいところです。

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