2011年11月30日水曜日

就職活動”短期”戦!?

今日の神奈川新聞の1面は「就活不安な”短期”戦」という記事でした。写真は黒いスーツに実を固めた学生たちが大学OB・OGによる説明会の写真でした。就職率の厳しさは20年前と雲泥の差がありますが、風景はあまり変わっていないような気がします。
 私の勤める業界の人は、このような”就活”をしたという人はあまり聞きません。大学の先生の紹介というパターンが多いでしょうか、今ではホームページをみて応募することも多いのでしょうが、訪問する企業の数は両手あれば数え切れると思います。
 東日本大震災の影響で、私の会社はいま超人手不足です(といって人を雇うほど儲かってないのが悩みのタネですが)。ただ、大量の災害廃棄物・放射性廃棄物に代表されるように、新しい自然観、技術観が必要とされます。これまで公共事業でおこなってきた防災、環境保全が民間でやろうという新しい産業を立ち上げることが、”さしあたって就職”から”誇りをもって就職”に換えることも必要になってくるのではないでしょうか。

2011年11月22日火曜日

7件に1件、、、

今日のモーニングバードで「急増する空家」という特集をやっていました。7件に1件が空き家という衝撃の数字が示されました。空き家は急速に老朽化、都市斜面にある場合、ある種の崩壊予備物質です。そして急激に風化が進みます。崩落しやすい谷埋め盛土の調査法はもう確立され、有効な対策工も示されていますが、空家問題は場所の予測と急速な風化をなかなかとめられないという厄介な問題を含んでいます。

2011年11月21日月曜日

落葉の現場もいいけれど、、、

11月も後半になってくると、次第に葉が落ちて斜面の表層が見やすくなります。皆考えることは一緒で、この時期に現地調査をしたいと思う人が多いので、どうしてもいろんな現場が重なってしまいます。しかも日没がはやいので、なかなか進まず日程が重なる、、ということが多くなります。
 以前、羽田野誠一さんは、実は最も斜面がみやすいのは桜が咲く前である、よって桜前線巡検くらいは企画すべきだということを考えていたそうですが(日も長いし過ごしやすいし)、なんといっても年度末ですから反対が多かったのだとか、、

2011年11月20日日曜日

USGSの警告

なぜ日本ではなくてアメリカの地質調査所が警告するのかよく分かりませんが、不気味なニュースです(M9が1年に2度おきるんだろうかという気もしますが)

 http://www.tax-hoken.com/news_RcQDORcIi.html

 千葉沖の巨大地震はよく言われる話で覚悟は必要。津波は東京湾に来たときどのように挙動するのか、、、心配はつきませんが、房総半島の段丘の異常な高さをみると日本列島の自然にとっては普通のことだと認識しておく必要があります、

2011年11月19日土曜日

海外の自然のスケール感

 今日は同業者との勉強会で、昨日は応用地質学会の応用地形研究部会でしたので、懇親会と海外のレポートを連続して聞く機会がありました。
 昨日はヨーロッパと日本のスキー場の違いについての話を伺いました。意外と気がつかないのが、日本のスキー場はパウダースノーにとても恵まれていること。欧米では、1ヶ月前の雪がそのまま融けずにのこっていることが多いとのことでした。また、スキー場の立地として、ヨーロッパでは氷河が削った大規模なU字谷やその上部山岳を利用した大規模な山スキーが多く、日本は地すべりや火山麓の斜面(緩斜面)を利用したゲレンデスキーが多いこと、八方尾根などは地形的変化に富み山スキーとしても外国人の評判がよいことなどが述べられました。

 今日は、パキスタンとタジキスタンの天然ダムの話を伺いました。まあスケールが違う、上の写真は、タジキスタンの「現存する世界最大の天然ダム」で、1911年にM7.4の地震とそれに伴う地すべりでできたのだそうです。水量なんと170億m3、、、、

2011年11月18日金曜日

活性化させるべき世代は、、、

今日は飲みが入ったのであまり長い文章は書きません。応用地質学会で、シニア世代の活性化が叫ばれているそうです。逆だろう二、、、、

2011年11月17日木曜日

地形学らしい論文

以前私が書いた論文に丁寧な質問を下さった方が、「地形」に山地斜面の発達史に関する論文を投稿されていました。

 平石成美・千木良雅弘(2011):紀伊山地中央部における谷中谷の形成と山体重力変形の発生,地形Vol32,№4,pp.389-409

 まず、第一印象は、地すべりとは違い堆積物の残りにくい西南日本外帯の急斜面の発達史について、よく文献を精査しておられること、次に、遷急線、侵食前線の考えかたがよく整理されていて分かりやすい論文だと思いました。「谷中谷」という言葉は、おそらく新しい概念だと思いますが、我々が実務でいうChやCm級の堅岩が連続しているようなイメージでしょうか。
 私も実務ではレーザー計測地形図をみて、この論文にあるように下位遷急線がシャープに追跡できるところとそうでないところがあることは実感していました。「平成」と「明治」の十津川災害が、第四紀後半の地形発達史のなかでどう位置づけられるか、方向性と課題が示されました。急斜面の地すべりを勉強するにあたっても、充実した論文だと思います。

2011年11月16日水曜日

似たような委員会

最近応用地質学会と地すべり学会から、深層崩壊の定義づけやとレーザー計測地形図を用いた解析の方法を考えるといった趣旨の委員会の案内がありました。大きな土砂災害がありましたから、いろんな学会での議論が多くなるのはわかるのですが、ちょっと学会の数自体が多いような気がします、学会費も高くなるし、論文の審査は時間がかかるし、、あまり発展的ではない傾向です。

2011年11月15日火曜日

技術士夜話と災害現場

技術士夜話は、災害現場が3連載となっていました。

・災害のたびに現場に http://gijutsushiyawa.blogspot.com/2011/11/blog-post_09.html
・白河土砂災害 http://gijutsushiyawa.blogspot.com/2011/11/blog-post_11.html
 木の根が表土の下の地盤まで入らないような特殊な地質が原因だ。専門用語では低溶結火砕流堆積物である。このような木の根の減災効果が発揮できない特殊な地質は他にもあることがあとでわかってくる。

・飛騨川豪雨災害 http://gijutsushiyawa.blogspot.com/2011/11/blog-post_17.html
 広葉樹より植林地で表層崩壊が多く、特に、植生管理の出来ていないもやし林での崩壊が多いことがわかってきた。植生と表層崩壊の関係を研究しようと考えるきっかけになった現場である。論文も掲載し勉強になった案件であった。

2011年11月14日月曜日

水害地形分類図 - タイの洪水被害 -

防災科学技術研究所にはいい資料があります。そのひとつに水害地形分類図があります

 タイ中央平原水害地形分類図・タイ中央平原西部クラシオ川流域水害地形分類図について


  早稲田大学では大矢雅彦先生とその一門の方々によって、日本や東南アジアを中心とした水害地形分類図を作成してきました。その多くは河川事務所など行政機関に納められたので、一般に閲覧することがなかなか困難な状況にありました。ただ、その作成過程、地形発達史的背景に考えをめぐらせることに魅力を感じ、私は水害地形分類図の作成を卒論のテーマに選んだのでした。

  実際の洪水の範囲との対応はどうでしょうか
 

 来年、応用地形判読士という資格が創設されるようですが、日本ほど空中写真の整備された国はそうそうない。グーグルアースやランドサット等でどこまで地形が判読できるか、そういったことも応用(実技)として身に着けたいと思いました。

2011年11月13日日曜日

去年のテーマではありますが、、

去年の応用地質学会では、このようなテーマで発表してました。「大人のための修学旅行」と言ってましたので、娯楽性を地学の一般化の起爆剤に、、と考えていましたが、3.11以降ちょっと余裕がなくなっていました。

平野地域における歴史的街道沿いの地形条件―関東平野の中山道を事例に―
http://ci.nii.ac.jp/naid/130000298522
平野全体でみた場合,そのルートは比較的直線であり,台地をできるだけ通過し,山地や丘陵,沖積低地を避ける傾向があることである.また,地形分類でみた場合,以下の特徴が挙げられる.台地では開析谷を避け,面の分水界に沿う傾向があること,扇状地性の台地では等高線に平行する弧を描くルートをとること,沖積低地では自然堤防を伝い,旧河道や後背湿地,河川を可能な限り通過しないことである.これらの特徴からは,高低差を少なくする通行の容易性と,水害を避けるという安全性の両面に配慮していることが指摘できる.

2011年11月12日土曜日

防災格言205

http://yaplog.jp/bosai/archive/353
 神奈川新聞紙上に連載された『シリーズ裸の都市:迫る東海地震 昭和54(1979)年5月)』内のインタビューでは、東海地震予知について、当時 "焼け跡派" と称された開高氏の防災観とともに、日頃からこの格言を好んだことが伺える。
 (地震予知)空振り、大いに結構、備えあっても憂いある時代なんだから、警報が外れたらもうけもの、と思わなくてはいけない。警報段階のパニックを心配する人もいるようだが、私は、そんなパニックだったら大賛成。大地震に襲われてからのパニックに比べれば、タカが知れている。免疫注射と同じで、微量の"毒"を入れることで、巨大な毒に対抗するわけだ。人間が賢くなれるのは昨日に対してだけで、今日、明日に対しては愚かである、という言葉がある。ぴったりではないか。

2011年11月11日金曜日

防災格言 津波

http://yaplog.jp/bosai/archive/352
『 一、地震があったら津浪の用心せよ。
 一、津浪が来たら高い所へ逃げよ。 
一、危険地帯に居住するな。 』
「昭和八年三月三日 大海嘯記念碑(大槌町 昭和9年建立)」より。

東日本大震災による津波により甚大な被害を受けた岩手県上閉伊郡大槌町。大槌町は、明治29(1896)年の明治三陸地震津波(M8.5 死者21,953人)で4m近い津波が襲い死者900人、500戸を超える住居が押し流された。それから37年後の1933(昭和8)年3月3日深夜2時半すぎに発生した昭和三陸地震津波(M8.1 死者3,064人 家屋流失5,851棟)でも2mを超える津波により死者61人、倒壊・流失した家屋622戸という甚大な被害が生じた。たび重なる津波の記憶を忘れないように住民たちの手によって震災から1年後の1934(昭和9)年3月に「津浪災害記念碑」という石碑が大槌町吉里、赤浜など数ヶ所に建てられた。三陸海岸各地に約200基ほど建てられた過去の津波被害を伝える様々な石碑のうちの一つである

2011年11月10日木曜日

現場で染みる歌

ある日の現場へ向かう途中のカーラジオから、中島みゆきの「ファイト」が聞こえてきました。♪たたかう君のうたを~たたかわないヤツラがわらうだろー♪ 同乗していたパートナーが、ちょっとリアルですねといえば、最近シュミレーション結果の確認視察みたいな軽いノリの現場もあって、、、まあ、どちらがやりがいあるかといえば前者です。

2011年11月9日水曜日

表層調査の秋

 秋は食欲、スポーツ、読書だの、いろんな言い方をされますが、斜面調査にとってもなかなか良い季節です。木々の葉っぱが落ちて、斜面がとても見通しが良くなるからです。したがって土層強度検査棒(土検棒)による表層崩壊ポテンシャルの調査もはかどります。
 先月札幌で行われた応用地質学会は、東日本大震災と台風12号による紀伊半島の土砂災害のあとであしたので、深層崩壊の話題ばかりが目立ちましたが、実は斜面災害の9割は表層崩壊なのです。崩壊土砂量や被害規模を、”毎年の積算”で考えると、表層崩壊のほうが上回るということができます。応用地質学会では、わが社の若手ホープ、鵜沢君が土層強度検査棒(土検棒)を使った調査事例を沢山紹介してくれました。

  http://www.kankyo-c.com/happyo/2011/2011_oyo_oral_uzawa.pdf
  HPに載せるためにかなりはしょっています。

2011年11月8日火曜日

地盤工学会に寄せられた中学生のメール

 地盤工学会誌59巻11号 地盤工学会に寄せられた中学1年生からの1通のメール夏休みの自由研究で、一関市にくらべ平泉は東日本大震災より被害が少なかった。奥州藤原氏は平泉が地震につよいことを知っていてこの地に中尊寺を建てたのではないか?学会誌にも書いてあるとおり、さわやかな話題でした。
 平泉と地震との関係に興味を持った中学生と、地盤工学会が協力。結果は、奥州藤原氏は北上川の水運と農産物、砂金の産地、攻め込まれない地形構成が理由であった。結果的には平泉は地震に強い地盤であり、中尊寺は凝灰岩の上に立地しており、地震に対して強かった。この中学生は学校内で表彰されたのだそうです。
 同じ地盤工学会誌59巻11号には、「裁判例からみた地盤リスク」という講座が掲載されている。著者は、技術士、弁護士、不動産業者とさまざまでしたが、このような中学生が夢を持てる学会・業界になるのでしょうか。

2011年11月7日月曜日

応用地質学会は盛り上がりました

 ちょっとおそくなりましたが、会社のメンバーの応用地質学会は盛り上がりました。東日本大震災の平野と斜面の話題、崩壊跡地の植生、土層回復の話題、座長もまさに応用地質学的な発表と好評でした。詳しくはHPにて、、

 http://www.kankyo-c.com/topics/topic.html

2011年11月6日日曜日

内業泣かせの季節

 データを送るとき、ファイル名やフォルダ名に日付を入れます。ところが今月になって、20111101、20111108、、切れ目はどこ、、、11月11日には20111111となるわけですが、その日は金曜日、よってデータを送る可能性は高いわけです。災害の名前はほとんどに元号がついていて、明治と平成の十津川災害の比較なんていわれ方もします(19世紀と21世紀)。ややこしい季節です。

2011年11月5日土曜日

航空レーザー測量地形図でわかること

 最近は災害が発生するたび航空レーザー測量が行われ、超高精度の地形データが得られます。千木良先生は「地形調査の革命児」と称され、その価値を認められています。ですが、実際の判読作業者の立場から言うと、データ量、質ともに多いゆえに作業量も多い。というか、作成する主題図が「濃密」なことこの上ない。
 確かに線状凹地、微細なクラック、段差地形はよく見えるようになりました。高木に覆われているが、実は崩壊跡地であって、そろそろ不安定土砂がたまってきたかなあといった時系列的な予察もできるようになりました。でも、私が判読精度があがったと感じるのは、硬質な岩盤からなる急崖(多くは、CmあるいはCh級の岩盤か)です。安全側に評価されることが多いのであまり着目されませんが、従来の航空写真では日陰になって全然見えなかったので大きな進歩です。安全がわかるということは、危険箇所も自ずとわかろうというものです。

2011年11月4日金曜日

出張が多い

 今年はあちらこちらで出張が多い。大規模災害は多いことがその理由ですが、「現場」をやる人の比率が減っているような気がしてならない。人の配置と役所との折衝で忙殺されている人のほうが増えているような気がします。

2011年11月3日木曜日

あたり、はずれの議論を超えて

 京都大学防災研究所は、2005年に『1889年十津川崩壊災害の防災科学的総合研究(報告書)』をまとめています 。

 http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/147968

 全部で7章にわたり、詳細な研究がなされています。特に7章では二重山稜の発達する山地の具体例を挙げて、地形発達史的背景(地形輪廻)の観点から地震防災に関しても要注意とすべき,

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周期的に訪れる地震の影響を受け,長期にわたる徐動的なクリープによる斜面変動で作られた変動地形である可能性を示す事例として重要である.次に訪れる地震あるいは豪雨によって大規模な山体崩壊につながる可能性もあるので,今後の詳しい検討と十分な注意を要する.
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  と述べられており、実際「平成の十津川災害」で崩壊に至った箇所もあります。
 しかし、先日の記事で上げた岩松先生の提言は、またもや実現しませんでした。
 http://www.geocities.jp/f_iwamatsu/retire/hyperopia.html

 立山砂防では数年前、「平成の鳶崩れ」と称して大規模な避難訓練を行いました。低頻度大災害をイメージする良い機会となったと思います。深層崩壊の可能性のある斜面を抽出して”あたりはずれ”を議論するだけでなく、どのような行動をとるべきかまで踏み込んだ議論がそろそろ必要なのかもしれません。

2011年11月2日水曜日

2004年中越地震その後

 来年の応用地質学会は新潟だそうです。「ふたたび」という言葉を使われていました。実は、前回新潟で応用地質学会が開催されたのは2004年、新潟県中越地震直後であったそうです。当時は、こんな状況のなか学会を開催してよいものかどうか、迷ったこともあったとのことでした。
 2004年中越地震に関して、私は一本論文を書いています。

 2004年新潟県中越地震に起因する地すべりと土砂移動 
 日本地すべり学会誌, Vol. 45 (2009) No. 6 pp.435-440
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/jls/45/6/435/_pdf/-char/ja/

 この論文の図-6で、この地域における土砂流出の時系列的変化のイメージを示しました。地震によって一時的に大量の土砂がもたらされ荒廃するが、その後次期直下型地震まで安定した状態が続くというものです。先日の中村先生の言葉を借りると、2004年にもたらされた崩積土がそろそろ「資源」となりつつあるのではないかということです。私の図でいうところの「豪雨時一時的に土砂生産増加」も今年ありましたので、どのような状態になっているか、みてみたいところです。

2011年11月1日火曜日

技術士夜話と気になる記事

 社長のブログ「技術士夜話」では、技術士としての使命感、専門家のあり方などが、「夜話」というように一見ソフトな語り口で、しかも情熱的につづられています。私たち後背技術者にとってはとても参考になり、心温まる話です。 しかし、暗澹たる気分になる記事もあります。

 これからは大学中退者が激増する。
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20111026/223438/?P=5

 この記事では「ゆるゆるの入試制度」という表現が使われていますが、私たちが受験生だった大学入試センター元年もそういわれたので、よほどのことなのでしょう。「最高」ならぬ「再考」学府といったところでしょうか。