2013年5月29日水曜日

崩壊地のもつ土木工学的問題点

 今村遼平(2013):『地形工学入門』のなかに、崩壊地やそこから供給された崩積土の持つ建設計画上の着眼点として、

 既存崩壊地の分布状況は、将来の崩壊発生を考えるうえでの目安となる

 と述べられています。ここでいう”目安”とは、それ以上でも以下でもないと思うのですが、実際は崩壊跡地から算出された土砂量、崩壊地の手厚い斜面保護が”基準、指標”になっています。航空レーザー計測図を見ると、遠景では気がつかないがそろそろ崩壊予備物質がたまり始めた集水凹地があったり、微妙にコンターの乱れた斜面が危ないのですが、なかなか注目されません。
 表層崩壊ならまだしも”深層崩壊跡地””実績”といった、およそ安定した斜面をさがすことに躍起になる傾向があるのですが、やはり"目安”であって、夢中になってさがす程のことはないんだと思います。

2013年5月24日金曜日

同意した今年のサラリーマン川柳

76位 合理化の 資料作りで また徹夜

   調査のための調査、計画延長のための調査、同じ結果になってもいいから、重箱の隅々をつつき、だんだん本筋からはなれて、、、

93位 新入りを 待って幹事を 九年間

 手作業・判読、委員会では結構最年少時代がながかった、、

2013年5月23日木曜日

最先端

高校の教科書に載っている内容は

数学:17世紀まで。
化学:19世紀まで。
物理:20世紀初頭まで
生物:20世紀後半まで。

一方、地学は21世紀に展開中のプルームテクトニクスまでが扱われていて最も最先端が学べる教科です。地物出身者としてはもっと地学履修者が増えると嬉しいなあ。
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あるツイッターから

私は地学の応用分野に携わっていますが、こと防災事業に絡むこととなると、今もって1983年に発刊された『斜面と防災』高野秀夫著、『斜面災害の予知と防災』1985、『建設工事の地質診断と処方』1983、『羽田野誠一地形学論集』など、20世紀後半なのかもしれませ。いや、テルツァーギの、、という話になれば、もっとさかのぼるかも、、、

2013年5月22日水曜日

ご無沙汰しました

 風邪をこじらせてしまいました。咳が出るのでなかなかブログを書く気分になれず、、、
 そうこうしているうちに応用地質学会の申込期限が迫っていました、地すべり学会の投稿締め切りも迫っておりました。砂防学会も来週開催されるし、、
 ただ、このご時勢、応用地質学的なテーマは溢れんばかりなのに発表や投稿が激減し、東北地方太平洋沖地震による斜面災害・土石流災害は比較的目立たなかったのですが、砂防学会の発表は激増、、、
 2012年は地理評の論文から地形が(自然地理学がと言ってもいい)消えたともいってもいい。日本地理学会は3.11の津波浸水図など、後世に残る詳細で貴重なデータを作成する素晴らしい活動をしているのに、、、
 学会のありようがよくわからなくなってきました。

2013年5月11日土曜日

リアス式海岸

http://ir.iwate-u.ac.jp/dspace/bitstream/10140/1700/1/erar-v57n1p125-141.pdf 岩手大学教育学部の学生82名に,海岸線の屈曲を滑らかにした白地図を与えて,図上で「三陸リアス海岸」の範囲を示させた。その結果,幾つかのことが明らかになった。

まず,正解というべきものが少ないことで,地元出身の学生が多い(岩手県出身56名)にもかかわらず,適切な回答をしたものが僅か6名に過ぎなかった。これは,地理教育において地元の身近な事象について学習することがはとんどないこと,リアスという自然地理的事象を厳密に吟味して理解する機会が少ないこと,海岸線の屈曲をなくした白地図に本来の地形が示される地図を想起して重ね合わせることが難しいこと,などの理由もあろう。誤答の多くは南限を実際よりも北にしたもので,61名であった。その大半(51名)は大船渡・気仙沼付近すなわち岩手・宮城県境付近とした。次に多い誤答は北へはみ出したものである。北へのはみ出し42名のうち,青森県までのものは10名に過きず,多くは岩手県北部のみを含めたものである。

一部は,特有の地形景観であるリアス海岸と結び付いて,固有の地域名,つまり「三陸リアス海岸」が地名として用いられることが多くなったのである。 ところが,この名が美しい風景を有する海岸という印象を与えるために,三陸の岩石海岸一帯に拡大されがちになっている。地名は変化するものであり,その指し示す範囲が時代とともに変化することは当然で,三陸海岸の範囲が変わることは問題ではない。しかし,三陸リアス海岸という地形学的に明確な景観を示す術語を含むものが,その術語の定義に反するもの,つまりリアス景観ではないものも包括するようになることば間違いであろう。
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2013年5月5日日曜日

役立つ!!地盤リスクの知識

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