2010年8月31日火曜日

8月31日

 今日は8月31日です。まあ、ご他聞にもれず私も子供のころは宿題を大急ぎでやりました。間に合わなかったらさすがに起こられて、減点されもしました(現在の締め切りである、3月31日は減点どころではすまないのでしゃれになりませんが)。
 私の小学校のころの恩師は、5年生のときに目指せ3000ページ、6年生のときは4000ページの本を読み、読む本が偏らないように図書分類記号もかくように宿題を出しました。でも、不思議とストレスは感じていませんでした。このほか、水泳は1000メートルなど、身も心も鍛えていただきました。
 今考えてみると、読む本のページ数は少なくなったし、分野も偏ってしまっていますが、そのころの経験がなんとかこの不況にも持ちこたえているのかなあとふと思います。当時は、紙と鉛筆と元気があれば充実していましたが、いまは、Dmが来ませんから現場はまだですよ、と元請に言われ生気のないため息をつく生活です。まあ、明日から9月ですので、もう一度引き締めてかかりましょう。

2010年8月30日月曜日

迫力あるスケッチ

 Dmがきません(2)というタイトルにしようと思っていましたが、それではあまりにも生産性がないのでDmでは表現しきれない岩盤クリープ(最近この言葉は、使われなくなりつつあるようですが)に関する論文を紹介します。最近の論文ではこのような迫力あるスケッチを見なくなりました。高解像度の写真があればいいと訳ではない。伝えたいことがひしひしと伝わってきます。勉強になります。

2010年8月29日日曜日

それこそ涼しい議論を - 北海道と亜熱帯 -

 今日サンデーモーニングの「風」というコーナーで、、今年北海道で高温と豪雨があったことを取り上げ、「日本が亜熱帯化する」「北半球全体が高温化している。北半球先進国の主要都市が実は北海道と同じかそれ以上の緯度にあるので、国土政策も再考、、」などと言うコメントが相次ぎました。終いには「日本の亜熱帯化」と全員がうなずきますが、温暖化で何が問題になるのかということに関しは・・・。
牛山先生も論文でおっしゃっていた所の『何かのイメージ』があるようなないような、、
 ちなみに、私の仕事関連でいうと、北海道といえば砂防学の一大勢力です。頻度は少ないものの豪雨や土石流はあるし、崩壊、土石流、地すべりの研究は沢山あります。

清水 収・新谷 融(1990):1988年8月豪雨による留萌・空知地域の斜面崩壊と土砂生産,
北海道大學農學部 演習林研究報告,47(1)http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/21319/1/47%281%29_P177-189.pdf

橋本,幸一郎・ 宮下, 進治・ 長崎, 信次郎(1962):火山性荒廃地の土石流防止に関する研究:羊蹄山真狩ボチノ沢における1961年豪雨時の土石流について
北海道大學農學部 演習林研究報告,21(2)http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/20811/1/21%282%29_P465-477.pdf

 TVでは、今回の高温と豪雨が、あたかも”人類全体の課題”だなどと針小棒大を地でいくような言い方をしていましたが、多分それは、1989年(パリのアルシュ・サミットの主要課題の一つとして地球環境問題が取り上げられ、また、「地球環境保全に関する東京会議」が開催されるなど、環境関連の国際会議が相次ぎ「地球環境元年」と呼ばれた年)以降に形成された、”ある種のイメージ”が広まった結果でしょう。

2010年8月28日土曜日

事前の調査ができないものか

 ついに200歳も登場するなど、戸籍上の生存者が話題になっています。横浜などでは関東大震災や空襲などで、かなりわからなくなった分も結構あるんだとか。まあ、これに関する報道は次から次へと出てますねえ。私が違和感を持つのは、どこかの時点で調査するきっかけがなかったのかということです。防災もそうですが、対策は常に事後です。私は個人からの宅地・斜面点検の依頼を何件か受けていますが、そのままでも災害の心配はないのに対策を求める方、クラックやはらみ出しを見る限り手遅れだけどなんとか出来ることをしてくれという方も含め、予防を求める人は増えてきたように思います(以前、住宅雑誌に連載していた記事を紹介します)
http://www.kankyo-c.com/column/NHJ/color/2009.8.jpg

2010年8月27日金曜日

頼りになる技術士さん

 今岡さんのブログで、島根県技術士会のHPに技術士の方の氏名(フリガナつき)、専門事項、勤務先及びその連絡先まで明記された会員名簿があることを知りました。民間会社はもとより、行政機関の方の技術士の多さにも驚きました。これまで、行政機関とは甲乙関係でした仕事をしたことがなかったので、びっくりしました。

 島根県技術士会 会員名簿
 http://peshimane.s3.zmx.jp/modules/tinyd2/index.php?id=25

 市民目線でいうと、これはとても頼りになります。官民一体となって努力されていることがわかります。また、専門分野の表現も具体的でわかりやすい。これは、その分野の高度な知識だけでなく、現場経験も豊富なのだろうということが想像できます。それに、電話番号がかいてあるのがいい。今日、キッチンの電気が故障し、近所の電気屋さんに相談しましたが、そういう感じにできる可能性も広がります。
 ちなみに、私のゆかりのある府県(福岡、大阪、神奈川)の技術士会のHPを検索したら、福岡はなく九州支部、大阪は近畿支部、神奈川は県独自のHPはありますが、一般的なことがかいてあるに過ぎませんでした。技術士の試験に受かるということは、広く深い知識を持つ高度な専門技術者であることを、国がお墨付きをしているわけですから、個人単位の相談窓口をもっと開設していただいてもいいと思います。そしたら、もっと技術士に憧れが持てるはずです。私も目指しているんですよ、、ですが、、はあ、、努力不足です、、、アラフォーを言われる(44まで!?)といわれるうちにとりたいなあ、、 

2010年8月26日木曜日

iPhone、iPad

 私が古いのか、どうもこの手のツールを買おうという意欲が起きません。携帯電話を買ったのも5年くらい前でしたし。windows XPは過ぐ買ったのですが(98に比べたらそりゃよかった)。iPadについては”携帯電話以上パソコン以下”みたいな感じがしないでもない。社内で買った人は、アルバイトさんも含めて1人だけです

 ただ、そんな私でも、iPhone, iPadについて、なるほどと思う記事がありました。

木村里美の是正勧告 iPhone, iPadにみるUIの威力
http://:it.impressbm.co.jp/e//2010/08/12/2623
実際、iPadを使って電子書籍のページをめくる時の感覚は、わくわくする。端的に違いをいえば、日本製の携帯電話には200~300ページくらいの取扱説明書が添付されているが、iPhoneは30ページくらい、iPadではあっけないほどマニュアル類がない。この違いを生んでいるのが直感的に操作でいるユーザーインターフェースである。

 民間や個人の方から依頼を受けるときは、報告書という紙媒体ではありますが、できるだけ親しみやすい表現を心がけるようにしています。でも、○○質○○岩ってつい言ってしまいます。この言葉の説明も難儀するところです。そして、今日オープンする予定だった BookWayは、書籍の有りようを大きく変えそうです。カラフルなガイドブックだったら、むし読みやすそう。以前連載した地盤からみた土地選びについての連載をまとめてみようかな。

※iPhoneにGPS組み込んで、クリノメーターにはならんのでしょうか。

2010年8月25日水曜日

文系と理系

理系は文系より年収が100万円高い 京大など調査
http://www.asahi.com/national/update/0824/OSK201008240090.html
 理系出身は文系出身より高収入――。京都大や同志社大などのグループが大卒の人たち約1600人を調査したところ、こんな傾向がわかった。「理系は出世も遅く給与も低い」との説もあるが、年代別でも大学の難易度別でも、いずれも理系出身の収入が上回ったという。
 京都大の西村和雄特任教授(経済学)は「技術系の就職が難しい文系より、理系のほうが選択できる職種の幅が広く、転職しても収入が下がりにくいからではないか」とみる。同志社大の浦坂純子准教授(経済学)は「文系卒のほうが収入が高いという説が理科離れの一因だとしたら、そんなことはないと言いたい」としている。

(関連記事としてこの記事を見つけました)
 http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000352

 文系・理系というテーマは、私たちの酒の肴として盛り上がる話題のひとつです。文系・理系に関しては、キャリア官僚でも強い区別があるくらいですから、根強いものがあるでしょう。
 ただ、私のいる世界はちょっと独特で、地理は文系の理系、地質は理系の文系と言われます。

 私の文系・理系の選択を迫られる高校時代はバブル絶頂期でした。だから文系といえば経済学部が主流で、理系から移ってくる人もいたほどです。私は地図や絵画など”描く”ことが好きでしたから、”地学”というより”地理”という選択、結果、地理は社会科に属するので文系の地理学部、あるいは地理の教職員になりたいと思ったので、文系の属しました。

 ところが、文学部地理学科に入ってみると、人文地理学・経済地理学にあまり魅力を感じる事が出来ませんでした。その理由は、既存のデータ処理がメインで、自分独自の考えを独自に表現する機会がないようにみえた(若造の私にはそう見えた)からです。

 いまでも、現場で地質構造をみたりして、自分の仮説を立て図面に起こすとき、その解釈がいかに難しくてもストレスは感じません。基礎調査や予算の都合で土砂量をあわせるような、理論的には簡単な理屈に型ハメするほうがストレスを感じます。だから、この業界”技師”という理系的肩書きをもっているのに安いのでしょうか、、、、!???

2010年8月24日火曜日

安ければいいのか - 発注者の無責任 -

 日経コンストラクションに「発注者の無責任」という、強烈なタイトルの記事が載っていました。まあ、かきたいことも合ったのだろうと他人事のように読んでいたのですが、いくつか当社に依頼されていた仕事が入札できませんでしたとの報告が、、、

 数百万円単位の仕事が、数百円単位の差で他社に持っていかれる。その地域の調査は、ずっと前からやっていたのに、聞いたこともない会社が、、、

 これはまるで、いままでお世話になっていた主治医から、治療費が10円~50円やすいからと言って別の医者に鞍替えし、カルテも全部もっていくようなものでしょう。それだけならまだしも、出来るかどうかは別問題で、とにかく発注機関に(空虚でも)実績をねじ込むために落札した、先のたとえで言えばその医者に腕があるかどうかもわからんが、、という次元です。

 それだけの費用を削ったために、品質劣化という結果を招き、みな損をします。災害になったらもうワヤです。個人差をなくす、誰がやっても同じ結果が出る計算技術がうたい文句になる昨今ですが、考えないことが仕事なんて、論理が破綻しています。

2010年8月23日月曜日

細々と大きな研究

 先だって参加した第四紀学会で、錦帯橋が有名な錦川が、かつて日本海側に流れていた時期があったという研究発表がありました。発表者は高校の先生でした。
 私も高校生のころまでは教師になりたいと思っておりまして、もし母校に不合格だったら教育学部に行くことになっておりました。ただ、生徒指導と専門分野を両立させたいと思っていて、自分にそれができるだろうかという不安も持っていました。
 この先生は、本当によく現場を歩いておられました。流域全域に分布する段丘の露頭を丹念に調べられ、テフラの分布に新しい見解を述べておられました。先生は、細々と、、、と謙遜しておられましたが、こういう骨太の地理学的研究こそ、高く評価されてほしいものです。

2010年8月22日日曜日

ファースト・ジオロジー - 子供へ与える夢から大人同士の夢を語る場へ -

                      アンモナイト・アクセサリー
 
 今日は第四紀学会のポスターサロンに行ってきました。ジオパーク花盛りといった感じですね。専門分野のアウトリーチが大きなうねりとなっていることを感じました。なんとか、地形学、地質学、第四紀学を一般社会に認知してもらいたい、そんな情熱が会場からほとばしっておりました。
 そんななか、深田地質研究所の女性の方が、ファーストジオロジー(地質学を知るきっかけ)の発表で、アンモナイト・アクセサリーというものを展示されていました。化石はファーストジオロジーで最もよくあるケースのひとつですが、こうして”かわいい”という形容詞を付け加えることで、一気に地質学が身近になります。特に女の子とそのお母様方に大好評だったと聞きました。ある意味、女性ならではの感受性かもしれませんが、私の目から大きな鱗が落ちました。私は地すべりの地形発達史を示した論文の図を作成したとき親しみやすくしたつもりでしたが
アクセサリーとして実際手に取ることができる親しみやすさには到底かないません。
 このように、一般の方や子供たちに地質の専門家の存在を示すという意味では盛況だったと思います。ただ、子供たちはその特権として、限りない未来があります。このような機会をきっかけに、ジオを目指してくれる子供たちはどれくらいいるでしょうか。現実に目を向けると、高校で地学が履修できないことが多いので、その時点で忘れる人も多いと思うのです。
 学会発表をする方々は、地学で飯を食っている人です。自分が地学の専門家になっていることの誇りとそれを続けられる意気込みが湯水のごとく出ていると思うのです。では、なぜ地学の専門家であることが誇らしいのか、続けられるのか、楽しいのか、今後どうありたいと思っているか、プロになろうと思ったきっかけ、プロで食っていけると自信を持ったきっかけなど、もう少し大人の話題を繰り広げてほしいのです。大人が夢を語らなければ、子供たちもピンとこないのではないでしょうか。
 私はというと、まず地形・地質を理解しなければ、私たちの暮らし・取り巻く環境が理解できないのではないかという思いがあり、調査結果を地図とスケッチにまとめ”見える化する”という作業がとても楽しかった。子供のころから絵が好き、自然描写あふれる詩が好きというものが根底にあったからでしょうけど。そして、大学の一般教養の時間に「水害地形分類図」や「土砂災害危険度マップ」というものがあって、それを作成する職業・会社がある、すなわち飯が食えることを知りました。地すべり、活断層、扇状地、、そういった既存資料の枠組みにとらわれず空中写真と地形図と目と足をフルに使って得た情報を描く、、こりゃあ楽しい。そして、これをもとに砂防計画や道路防災計画など、社会インフラ基盤を支えて行くための調査に携わることができたし、楽しんでいる上司や先輩がいる。だからこそ、今でも続けています。こういう思いをみんなで語りあえば、楽しいはずだし、肩肘張らないアウトリーチの機会にもなると思うのですが、、

2010年8月21日土曜日

避難のタイミング - 災害の記憶と想像力 -

 報道ステーションを見ていたら、いわゆるゲリラ豪雨を予測して携帯電話のメールで知らせるという技術が開発中であるとのことでした。一見便利なようですが、携帯メールに判断を委ね過ぎると、ともすれば自分の判断力・察知力が低下するのではないかと懸念します。佐用町では、避難勧告が遅すぎたとして裁判にまでなっているようですが、、

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防災専門家も注目、遺族が異例の提訴 佐用豪雨「避難勧告遅すぎ」 (8月11日 産経新聞) 兵庫県佐用町で昨年8月、18人が死亡、2人が行方不明となった豪雨災害で、死者・行方不明者5人の遺族9人が10日、「町の避難勧告の遅れが原因で犠牲になった」として、町に総額約3億円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。原告側弁護団によると、災害時の避難勧告の在り方をめぐる訴訟は異例という。
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牛山先生も、これまでに筆者が行った調査からも,避難勧告はたとえ空振りとなっても良いので早めに出して欲しいという意見が明らかに多数派となっていますが,避難勧告を出す時間をなるべく遅く,なるべく狭く,というニーズも強固に存在し,その結果の一つとして,災害が起こるたびに「避難勧告の遅れ」がいわれる状況が続いています.

というジレンマを述べられています。

私の父は、子供のころ川に挟まれた低地に住んでおり、たばこ屋だったので川の水位が上がると店の商品を棚上げする手伝いをしなければならないため、雲の出方や川の漂流物から”荒れるなという予感”を常に持っていたそうです。戦時中のことですから、まともなデータはありません。まさに、自分の災害の記憶と想像力です。父は今年(そういえば今日)76歳になりますが、筋肉、肌つやともに素晴らしいので、肉体的にも災害の察知力という意味でも「高齢だから弱者」ではありません。むしろ、イマドキの草食系男子よりも両方強いかもしれません。

2010年8月20日金曜日

ばたばた応用地質学会

 10月に行われる応用地質学会の原稿提出締め切りが迫っています。今年の発表テーマはとても大きなものにしてしまいました。おりもおり、国土交通省が深層崩壊推定頻度マップなど出すものですから、意外と注目を集めそうです。
 いつか現場にいって、もっとスケッチしてこようと思っていたら、あちこちから現場の助っ人要請がかかり、ばてばてになってしまったので、準備が全然進んでません。結局、こうじゃないかなあ、、、という実に推測的なものになってしまいました(もちろんこれから現場へ行って結論の高度化は目指しますけれど、、)
 このブログを読んでくださっていて、応用地質学会に参加される方は、ど~~かお手柔らかに

2010年8月19日木曜日

平安時代の理科離れ

 先に紹介した『「理科」で歴史を読みなおす』という本に、平安時代の理科離れという一節がありました。独特の表現がされています。

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 文化には波がある、というよりは倦怠期がある(略)。十世紀ごろになってくると新しい知識、文物が流入することもない。組織もまた老化する。算博士は世襲化し、教育にも熱気がなくなる。また、大衆も算術の割り算も忘れ、算師に敬意を払わなくなる。歴法も衰退する。
 国家を挙げて奈良の大仏を作った時代、天皇の敬虔な仏教信仰の時代を遠くなった。官営だった鉱業は店じまい、政府の後ろ楯を失った。京都を舞台とする最澄、空海の仏教も巨大な仏像を必要とするものではなかった。
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 平安と平成は一字違いですが、良く似ていると思います。気候が温暖なことも似ています。でも、このあとは寒冷な時代がきます。平安末期は乱世となり、武士の時代の到来というドラスティックな時代変化が訪れます。現代はどうなるのでしょう。

2010年8月18日水曜日

美味しんぼ論争

 ケンプラッツの記事で、料理マンガ『美味しんぼ』に対する日本建築学会の反論が大変な反響を呼んでいるようです。

 日本建築学会が木造禁止を巡り「美味しんぼ」に反論
 http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20100817/542859/
 http://www.aij.or.jp/jpn/databox/2010/20100726-1.htm

 日本建築学会は「木造建築全般の禁止を一律に求めたものではなく、危険の著しい地域を防災地域として指定し、この地域における建築制限の一つとして、木造禁止を提起した」と説明する。また、木造建築に関する技術書の発行などを継続的に行ってきたと主張している。
 「木造禁止」について冒頭のように記述した「美味しんぼ」が掲載されたのは、「ビッグコミックスピリッツ」の10年5月3日号だ。この中には「一級建築士の試験では木造について一切扱わないし、大学でも木造建築を教えない」との記述もあった。
 これに対して日本建築学会は次のように指摘した。「08年の一級建築士試験では木造に関する問題が3題あった。また、08年の改正建築士法では、一級建築士の受験資格要件として、大学などで国土交通大臣が指定する科目を修めて卒業していることが必要になった。この指定科目の例として『木構造』が挙げられている。現在では、『美味しんぼ』の記述は事実に合致していない

 国産材の利用拡大による木材自給率の向上を目的とした「公共建築物木材利用促進法」が10年5月19日に成立するなど、国内では木造建築に対する関心が高まっている。こうした状況下で、読者からの問い合わせを受けたことから、日本建築学会は「我々の取り組みをきちんと説明する必要があると判断した」とする。同会は「解説文を掲載したことについては、作者らに手紙を出して知らせた。返事や訂正などは求めていない」と説明。小学館は「手紙は受け取ったが、特に対応はしていない」とコメントしている。

 私は建築の分野は、建築学会がいろんな基準をリードしており、役所基準の土木の世界よりも個々の技術者が自立しているんだなあとは思っておりましたが、この記事や下山先生の記事をみる限り、http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/3b6f3e8a95496606517aa2ed5bf578ab
どうもそうではなかったようです。思考の軸がない技術者が考える住まいにも軸がなさそう、、、言いすぎでしょうか。
 

2010年8月17日火曜日

「理科」で歴史を読みなおす

 帰省の飛行機の中で読む本を探していたら、『「理科」で歴史を読みなおす』という本が目に止まったので、かって読んで見ました。

 理科で歴史を読みなおす
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100802/215680/?P=1

 例えば、縄文時代には、長さ35㎝程度の単位を基準とする縄文尺が存在し、六本柱という柱穴を正方形を2つつないだ長方形で、1辺の長さは4.2m。きっちり縄文尺の35cmで割り切れることから、六本柱建設技術には直角を作り出す技術が必要不可欠で、それにこの縄文尺とピタゴラス三角形と十二進法が応用されていたことを紹介されています。

 最近のいわゆるゆとり教育では、小学校で縄文時代の存在を教えなかったといいます。文献がないからといって歴史がないかのような扱いですが、縄文時代には有楽町海進があり、また寒冷化もあり、もちろん直下型地震もたびたびあったでしょう。そういった変化にとむ自然との共生を通した勤勉さが醸成され、いまの日本の発展の底力となっていることを教えるべきだと思います。

2010年8月16日月曜日

高校野球

 高校時代ブラスバンドに所属して、平和台球場で応援した経験があります。まさに、野球場の形だけ超ヒートアイランドになってしまいます。でも高校野球で唯一好きになれないのは金属バットです。金属音という言葉があまり好意的につかわれません。最高のバットの材質は、日高山脈のアオダモなんだそうです。しやなかで丈夫。高校球児は暑くて大変でしょうが、たまにはそういった生態系があることを知る余裕があっても良いかもしれません。

2010年8月15日日曜日

米軍がつくった戦争時の日本地図

 古今書院の月刊「地理」の今年1月号の特集号を紹介します。

 米軍がつくった戦争時の日本地図 http://www.kokon.co.jp/5501-m.pdf

 今年は戦後65年、戦後生まれの方々がいわゆる"高齢者”、"年金受給者”となっていきます。報道では、主に戦争の記憶を風化させまいとする論調です。
 月刊地理のこの特集号には、人の心で変化する「記憶」とは、文字通り一線を画した「記録」が掲載されています。私は、地形分類図や地質図を通して地図に自分の考えを表現する”色塗り”を職業としています。それを考えると、この特集号に掲載されている「爆撃図」は、自分が書くとなったら背筋が凍る想いです。
 特に残酷で冷厳な記事として印象に残ったのは、九州で地形が最も険しい祖母山・傾山周辺の地形図が”緊急戦闘図”として作成されていたこと。記事の筆者の赤木祥彦氏は、その目的は九州大学生体解剖事件との関係ではないかとしています。九州の山奥で戦闘とまったく関係ない地域が、地名を手書きにするほど緊急に地図が作成されているとのことでした。推定の域を出ないとされているものの、血で血(地)を洗うとはこのことです。

2010年8月14日土曜日

千木良先生の論文の現場

今日会社から連絡があり、群馬県の地すべり調査が入ったとのことでした。千木良先生の論文がある現場です。

http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=jjseg1960&cdvol=25&noissue=4&startpage=182&lang=ja&from=jnltoc

関東山地は日本列島形成に関わるドラマがあるので楽しみです。

2010年8月13日金曜日

Dmがきません

 この時代、仕事で地図を使うといえばデジタルです。その等高線の粗さといったら、、、、Dmがないと成果品になりませんということで、まちぼうけ、、、PCが発達して不便になりました。いま、尾根の上でこんなことつぶやいてますが、、、暑いなあ

2010年8月12日木曜日

深層崩壊

 国土交通省が、「深層崩壊危険度マップ」なるものを公開しました。各新聞でも大々的に紹介されたようですね。

 深層崩壊に関する全国マップについて http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000252.html

 このサイトに紹介されているPDFファイルをみましたが、結構突っ込みどころがあります

 別紙1深層崩壊推定頻度マップ 別紙2深層崩壊発生事例
 これは、あげだしたらきりがないのでしょうが、こういう確実な情報は綿密に調べてほしかった。例えば、昭和58年山陰豪雨による浜田市の崩壊は赤丸が付いていますが、昭和51年兵庫県一宮市の抜け山の崩壊は入っていません。こういうと昭和51年の抜け山の災害は”地すべり”だといわれそうな気もしますが、、大まかには「四万十帯に多いですよ」と言うことなのでしょう。
 それと、もう少し深層崩壊のメカ二ズムについても解説がほしかった。例えばアメリカの地質調査所では、深層崩壊をLandslideのひとつと位置づけて、A~Jの10タイプに分類して解説されています。

 LandSlide Types and Processes
http://pubs.usgs.gov/fs/2004/3072/fs-2004-3072.html
http://pubs.usgs.gov/fs/2004/3072/images/Fig3grouping-2LG.jpg

先日報道されたマップは、どうも専門的な内容を報道すると批判されるのを恐れて、いわゆる玉虫色になった感があります。専門分野の最新情報やどのような議論がなされてきたか、その”最深”情報まで示すのが本当の情報公開だと思います。

2010年8月11日水曜日

「盛土は徐々に固まる」の誤解

 日経コンストラクションに、「盛土は徐々に固まる」の誤解という記事が紹介されていました。まず、君が代の歌詞から記事が始まっていました。
 君が代に「さざれ石の巌となりて」という一節がある。実際に、長い年月の間には石灰質などの作用で小石が凝結した例は、全国各地でみられる。また、砂や泥などの堆積物が圧密やこう結作用によって固まれば堆積岩になる。しかし、盛土に関して同じようなイメージを抱いていたら的外れだ。わずか数十年という単位で維持管理を考える盛土とは、時間レベルが全くことなる。
 釜井先生は豪雨による盛土の崩壊で確認されたパイピングホールや基盤のシルト層が液状化して盛土内部に貫入している写真を紹介されていました。岩を造る時間スケールには、人間の感覚を大きく超えているということでしょうか

2010年8月10日火曜日

エコ疲れ

 武田先生や太田さんのブログに紹介されていました。

 世界に広がるエコ疲れ ニューズウィーク2010.8.4号
 http://newsweekjapan.jp/magazine/
 ”「環境に優しい政治」は無駄だらけの金食い虫──効果もプロセスも不透明な温暖化政策に、各国の政府や世論が背を向け始めた”

 私に限らず地質の専門家はとっくに背を向けていたと思いますが。いま、暑いけれど真っ青な空と入道雲を見ていますが、こんなさわやかな夏の情景も”温暖化”では、日本人の育んできた感性も貧しくなってしまいます。

2010年8月9日月曜日

明日からまた現場

 明日からまた現場です。今度は森林の調査です。下層植生も含めた植生社会学的な調査を行ってきます。道なき道を行くため大変な作業ですが、余力があれば根系と岩盤、地質との関係などみてきたいと思っています。

2010年8月8日日曜日

維持管理の時代はくるのか

 最近の政局の混乱を受け、国土交通白書がなかなかでないようです。そんななか、る6月16日に平成22年の国土交通白書2010の原案が政策会議分科会で公表されていたことを、いまさらながら知りました。それによると、平成37年(ですからあと15年)後に、社会資本の多くが建設から50年を経過し「致命的な損傷が発生するリスクが飛躍的に高まる」ので、「更新費は4.4兆円に増加。維持管理費や災害復旧費と合わせた額は8.3兆円を上回ると試算した」のだそうです。人口ピラミッドを見ても、丁度還暦前後の方々が一番多いわけだから、必然的な流れでもありますが、技術者としては先取りしていろんな提案を考えるのが仕事です。http://www.kankyo-c.com/maintenace.html

2010年8月7日土曜日

社会安全学部

 という学部が関西大学に今年からオープンしていました。文系用と理系用の入試制度があって、講義内容も幅広く学際的なものになっています。

 関西大学社会安全学部のHP  
 http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_ss/index.html
 カリキュラム             
 http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_ss/curriculum.html

 防災は本来学際的なテーマであって、縦割り行政の○○課に迎合した○○科は合いません。面白い試みだと思います。

2010年8月6日金曜日

費用対効果

 いま出張帰路の車中です。小規模ですが渋滞です。今年のお盆は最大規模の渋滞が予想されています。確かに1000円は安いですが、クタクタになることでその後、いろんなモチベーション、生産性が下がると思うのですが、、、やはりCO2を気にしている場合ではないです。

2010年8月5日木曜日

スケッチはアナログかデジタルか

 現在法面の岩盤スケッチの真っ最中です。スケールプロトラクターとペンを手に取りカニ歩きしながら、時々層理面や断層の走行傾斜を図るために、ねじり鎌ガリガリ、ハンマーでガサガサ、、滴る汗で図面が濡れる、、岩盤面に5mくらいのピッチでロープでマス目を作り、それを手がかりにスケッチし、全体図の上に配置し、CADで清書するといった感じで、、、 といった実にアナログな感じで進めていますが、いろいろと調べてみたら、なんと文字どおりこの作業を自動で出来るシステムが開発されていることを知りました。

 現場でトレース!デジカメ写真で岩盤スケッチを作成
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/it/column/20090708/533866/

 アナログとデジタルでは、スケッチの方法が逆になる面があるんじゃないでしょうか?。アナログは、まず全体の輪郭をかいて、そのあと地質境界、岩盤区分線、断層、節理などと詳細に入っていきます。デジタルスケッチは、細かいものを積み上げて全体を構成するというイメージです。
 でも、私はまだ経験不足で消しゴムゴシゴシかけますし、直感的(直”観”というべきか)なのでアナログ派ですが、、、また、ある特許情報で

”手書きスケッチ技術を熟達させて、迅速にかつ的確に、例えば露出する地層面などをスケッチする手書き技術を得るには、きわめて修練のための時間を必要とするため、近年公共事業が減少していることも相まって、こうした技術者が減少している傾向を招来している。”

 という指摘がありました。これを解決するには、実はもっとアナログなトレーニングの場数増やして、どんどんレベルアップさせる方が解決が早いと思うのです。下手に自動化を目指すとイレギュラーの処理だけで終わってしまいそうです。

2010年8月4日水曜日

昨日の続き

 いやあ、暑い日がつづきます。特にスケッチする手が真っ黒になってしまいました。黒いといえば、すべり粘土です。昨日ヒヤッとした写真を掲載します。これでは斜面も滑るはずですよ。

2010年8月3日火曜日

猛暑とそよ風

 やはりバテました。強烈な暑さです。真っ青な空に入道雲、絶好の海水浴日和に法面スケッチ、、たまに吹くそよ風に心地よいため息をつきます。法面からの湧水もひんやりしています(法面からこんなに湧水していると、いまもすべってるんでないかとこころもひやり?)

2010年8月2日月曜日

切土法面は地質の教科書

 今日も法面観察をしてきました。道路は供用開始前なので写真をUPすることは出来ませんが、切土法面は地質を観察するに当たって本当に勉強になります。これでもう少し涼しかったら申し分ないのですが、、、、
 関連する情報がないかと思ってネットをさがしていたら、宮崎応用地質研究会のギャラリーが目に留まりました。
 
宮崎応用地質研究会ギャラリー http://moyo2006.web.fc2.com/phot/phot.html
 
 このなかに、法面関連の写真がふたつありました。

 http://moyo2006.web.fc2.com/phot/jya-1.JPG
 蛇紋岩の切取斜面。上部の灰緑色部は蛇紋岩が風化して片状~土状である。下半分の黒色部も片状、塊状で、小断層も見られる。

 断層によって三つに切られた泥岩層 http://moyo2006.web.fc2.com/phot/dansou.JPG
 
 私が観察しているところは、多分後者の写真と同じ時代の地層だと思いますが、ここまで見事な断層は珍しいですね。
 道路造成だから直ぐに吹きつけされたり植生工が施工されたりと、”工事関係者”以外は、こういった露頭から地球の歴史を想像することができないのはもったいない気がします。

2010年8月1日日曜日

明日から現場です

 明日から能登半島の現場に行きます。幸いネットのつながるホテルが取れましたので、ブログを更新することは可能な状態です(私がばてなければ)。
 能登半島といえば、2007年に発生した地震後、さまざまな研究が行われました。私が最も興味を持った論文をいかに紹介します。このような、地形発達史の定性的なモデリングと、最新の観測技術のコラボレーションが、各地で行われてほしい。

 2007年能登半島地震に伴う地殻変動と能登半島の海成段丘
 http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/15602/1/IHO82410.pdf
 
 2007年能登半島地震の発生直前直後の航空レーザー測量による1m-DEMを比較することにより得られた鉛直地殻変動の様式は、同じ範囲の中位段丘の旧汀線高度分布からわかる変動様式と調和的であることが分かった。海成段丘の波状隆起は今回の地震と同様の地殻変動の累積と考えることが可能である。2007年能登半島地震の示差的隆起成分(0.45m)が中位段丘のそれ(37m)を生み出したと仮定した場合、中位段丘形成後に今回の対応と同じ地震が83回起きたことになり、平均活動間隔は約1,500年と推定される。