2012年10月31日水曜日

災害百選

 防災科学技術研究所の井口さんが、「災害百選」という企画をされています。

T.INOKUCHI / 井口 隆 ‏@nied_inok

#災害百選 の意義について私がもう一つ言いたいのは、現在の防災に対する関心は直近の大災害と来る来るとマスコミ等で騒がれる幾つかの災害(首都直下・富士山噴火など)で、それ以外は注目されない。災害は全方位で来るので、特定の災害だけ注目されると他は備えが手薄になる傾向も見られるため。
https://twitter.com/search?q=%23%E7%81%BD%E5%AE%B3%E7%99%BE%E9%81%B8&src=hash

私があげたいのは以下の2災害。個人的な思い入れのある災害です。

1982(昭和57)年7月長崎大水害
長与町役場で記録した時間雨量187㎜。この記録は他の追随を許さない記録です。最近の報道では豪雨のたびに「記録的な」「経験したことのない」という、災害の記憶と想像力をかき消すような言葉が連呼されますが、記録も経験もあるよ、、といいたいのです。

1959(昭和34)年伊勢湾台風
昭和46年生まれの私ですが、人文地理の授業で「地図は悪夢を知っていた」という中日新聞の見出しがあったことを知りました。安全・危険は地形発達史的背景を踏まえた場所の特性を考えるべき、、なぜ、いまこの職業についているのか、、これが原点です。そして、この見出しは自然災害の本質を的確に捉えていると思うからです。

2012年10月29日月曜日

Eテレ サイエンスZERO 深層崩壊

・最近急増しているんです。
 今年の風邪はしつこいと毎年言っているようなものです。昭和42、47年は、いわゆる災害の当たり年でしたが、同じような議論がなされていました。ただ、議論の内容の深さは、昔の方が深いような気がします。
 http://design-with-nature-simogawa.blogspot.jp/2010/07/33.html
 専門家に聞いてみたい問題ですが、特に著しい変化を考えねばならない積極的なデータは聞いていません。山の中の観測地点が増えたので、記録的雨量が測られる機会は多くなったでしょうが、、(大八木則夫先生談)

・眉山や荒砥沢地すべり も「深層崩壊?」
 突発的で大規模な崩壊だったら、なんでも深層崩壊にしそうな雰囲気(誤解かもしれませんが)。表現は表面的にならないでほしい。

・千木良先生が解説してくださった模型。流れ盤の構造。踏査風景(ハンマーで軽くたたいて崩れる)。地盤が浮力をうけて軽くなってすべる。とてもシンプルでわかりやすい。

・南アルプスの崩壊。自然の摂理を”危機”とよばなくても、、、
・筑波大学の西井研究員の映像モニタリングはとても面白かった。大内先生の模型実験も興味深いものでした。

・航空レーザー計測による深層崩壊の前兆現象としての小崖地形の抽出。学会のポスターセッションに向けて、いま地形分類図作っていた、、、超リアルタイム

以上、感想でした。

2012年10月25日木曜日

「活断層」というタイトルの論文

タイトルが「活断層」とだけ銘打たれた論文がありました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaqua1957/7/4/7_4_188/_pdf

これによると、活断層の定義としては1927年に多田文男先生が「きわめて近き時代まで地殻運動を繰り返した断層であり、今後もなお活動す可き可能性の大いなる断層」とあります。

”きわめて近き”をどう考えるか、いまだそこが論議されているといっても良いでしょう。46億年からみれば、最終間氷期も完新世も殆ど一瞬だからです。

2012年10月18日木曜日

崩壊跡地は崩壊しにくい

ひさしぶりにネットが使える環境に降りてきました。すっかり浦島太郎状態です。お気に入りに登録していたブログやサイトもひととおり目を通すことができました。そのなかで、まったくもって同感したのが、太田さんの記事です。

http://blog.livedoor.jp/ohta_geo/archives/51712590.html
侵食は、古くなった表層土砂(地表の垢のようなもの)を雨で流す行為です。古い垢が落ちるので、落ちた場所は一番新鮮で健全です(と中略)木が根返りをしているけれど「まだ崩壊していない」場所が一番弱い

自分の野帳のメモを見たら、ほぼ同じことを書いていたので、”よっしゃ”と地震になりました。でも調査や対策は、跡づけ、、なんですねえ

2012年10月7日日曜日

利用しやすい土地に人は住む

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121006-00000036-asahi-soci.view-000
 日本の人口の3割にあたる約3800万人が、地震で揺れやすい軟弱な地盤の上に住んでいることが分かった。軟弱な地盤は首都圏や大阪圏を中心に都市部で広がっており、巨大地震に見舞われると甚大な被害が生じる可能性がある。分析した独立行政法人の防災科学技術研究所(防災科研)が11月、東京で開かれる日本地震工学会で発表する。
 地盤が軟らかいと地震による揺れが増幅しやすく、地中の水が噴き出したり家が傾いたりする液状化現象が起きることもある。防災科研の研究グループは、地震波の伝わり方などで調べた地盤の固さと国勢調査に基づく人口分布を重ね合わせて算出した。
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 この図面は沖積層、洪積層、前期更新世~第3紀にかけての丘陵、小起伏山地、固い岩盤からなる山地がとても分かりやすく表示されています。まあ軟弱地盤に3800万人といわれても、谷埋め盛土か切土かによって全然違うし、、、津波34mにもにた数字の一人歩きが心配です。

2012年10月5日金曜日

地形の把握と評価

内田ほか(2010)レーザー測量データが表層崩壊発生斜面予測及び岩盤クリープ斜面抽出に及ぼす効果に関する検討
http://ci.nii.ac.jp/els/110007880823.pdf?id=ART0009555428&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1349393380&cp=    この文献では、レーザー計測地形図がどのように活用してこられたかということを表にまとめられています。主に地すべり地形などの”自動抽出”、植生に隠されて見えなかった微細な凹凸などの”把握”に利用されているということですが、その気になれば浮石・転石等も見えます。  ただ、それだけに”記載”に時間がかかりそれで終わってしまう可能性もあるので、やはり従来の空中写真判読と併用して、広域的な地形発達史を踏まえた災害の地形場を考えて行かなければなりません。定性的モデリングを高度化させないと、数値の一人歩きを防げません。

2012年10月2日火曜日

7300年前の液状化跡、鹿児島・大崎で発見

 http://kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/history/20120929-OYS8T00391.htm?from=tw
   大崎町の永吉天神段、荒園の両遺跡で、約7300年前の鬼界カルデラ噴火によって生じた液状化現象の跡が1か所ずつ見つかった。専門家は噴火に伴う地震で起きた現象とみており、「南海トラフの巨大地震など、今後の地震に対する防災、減災を考える上で重要な基礎資料となる」としている。
  県立埋蔵文化財センターが発表した。アカホヤ火山灰層と呼ばれる噴火で放出された軽石と、火山灰でできた地層の間で確認された。液状化跡は幅各20センチだが、深さは調査範囲を超えているため分かっていない。深い地下にあったシラスの堆積層が地震で地層の割れ目から噴き出し、形成されたものと考えられるという.
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   小説「死都日本」では、鬼界カルデラや姶良カルデラ、阿蘇カルデラといった、いわゆるスパーボルケーノが起こす火砕流に対する知識・想像力が不足している、といったことが書かれていたと思います。ほぼ100年以下の人間のライフスパンに比べるとあまりにも長いため、実感がないのが実情ですが、地球にとっては、比較的いつものことです。だからこそ過去の地球の振る舞いを知ることが重要です。

2012年10月1日月曜日

学会とツイッター

牛山先生のブログからですが、興味深い記事が掲載されていました。

日本自然災害学会災害情報委員会によるツイッタ—活用の試み
http://disaster-i.net/notes/2012JSNDS-y2.pdf

 学会で最もフォロワーが多いのが日本数学界とのこと。自然科学の基本でありひらめきやロマンにあふれる学問だけに、つぶやきのなかに発見もあるといったところでしょうか(違うか?)。いずれにしても開かれた学会、そして学会員の高齢化を防ぐことによる活性化にも期待したいところです。私の主戦場である応用地質学会や砂防学会も続いてほしい、、