2012年12月30日日曜日

何が変わったか

 出張が多すぎてブログの更新もままなりませんでした。昨年は大災害が多かったので、その関連業務はもちろん、それ以前からの代わり映えのしない業務も、、、
 そんななか、砂防学会誌、地すべり学会誌、応用地質学会誌に報告を投稿することができました。このうち地すべり学会誌と応用地質学会誌に投稿した報告は、私の専門でもある応用地形学に関するものでした。航空レーザー計測による斜面地形分類と東日本大震災による低地の微地形と液状化に関する調査結果をまとめたものです。
 以下に示した論文は、応用地形学の原典とも言うべきものです。笹子トンネルの事故で、高度経済成長期の産物の維持管理が問われていますが、こういった定性的な自然観のモデリング、空中写真判読、粒さな現地調査を重視する姿勢が問われているのだと思います。私の報告は地形図の精度以外なにも変わっていません。

羽田野誠一;最近の地形学 : 8.崩壊性地形(その1),土と基礎 22(9), 77-84
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003965935

式正英:浅層地質学と微地形学の応用 (都市地盤図の作成の方法) (都市地盤調査特集)
建築雑誌 77(919), 688-693, 1962-11-20

門村浩;航空写真による軟弱地盤の判読-1-微地形の系統的および計測的分析による判読法の適用について-1-   写真測量 4(4), 182-191, 1965-10
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsprs1962/4/4/4_4_182/_pdf

門村浩;航空写真による軟弱地盤の判読-1-微地形の系統的および計測的分析による判読法の適用について-2- 写真測量 5(1), 10-25, 1966-02 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsprs1962/5/1/5_1_10/_pdf

門村浩;空中写真による軟弱地盤の体系的解析https://www.jstage.jst.go.jp/article/grj1925/41/1/41_1_19/_pdf

平野昌繁他;1889年8月豪雨による十津川災害の再検討-とくに大規模崩壊の地質構造規制について-,京都大学防災研究所年報 (27B-1), p369-386, 1984-04
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/70635/1/a27b1p31.pdf

2012年12月9日日曜日

見よう見まねの手描き

 建築家の下山先生のブログに、笹子トンネル事故の感想が述べられていました。

http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/868b80d3b1b3fd4bec7aed547e73a35e
人びとの持つ感性を信じること、人びとの感性を埋没させるような動きから撤退すること、そして、多くの実体験の機会に恵まれるようにすること、ではないかと思っています。たとえば、建築の仕事の場合で言えば、ソフトに頼らないこと!先ず手仕事:手描き、見よう見まねの手描き、次いで習熟したらソフト、この手順が必要なのではないでしょうか。何のことはない、これは、はるか昔、ものごとの修得について、世阿弥が語っている要諦です。

 私は、まず地形分類図のトレースから仕事を始めました。地表・地質踏査の経験が決定的に少ないのが弱点なんですが、地形発達史的背景とか斉一観など、おぼろげながらも持っているのは、先人達がどのように地形を見て図面を描いたかというところに考えをめぐらすことが出来たからです。後氷期開析前線や地すべり地形の階層性の理解などは、羽田野誠一さんの図面の見よう見まねの手描きからはじめたのです。

 http://www.kokon.co.jp/h1406.htm

 いわゆる”五感”に基づく判断というものは、数値化できませんが非常に信頼できると思います。笹子トンネルで取りざたされた”打音検査”ですが、これだってとてもシンプルな方法ですが、数値化する手法ではありません。計算で設計し、感性で点検する?なんだか妙な話ではあります。

2012年12月7日金曜日

地震に対する意識

 今日夕方、東北から関東地方にかけて地震がありました。M7.3で、私が住んでいた川崎ではそれほど激しい揺れではなかったのですが、みんな揺れ方に敏感になって「長いね、、もう1回きた、でかいぞ」「連動したかな」などの言葉が飛び交ってました。それでなくても関東では地震が多かったので不気味ではありました。
 ただ、NHKのアナウンスは強烈だった。ただ事ではないことがおきた印象を与えるには効果的だったと思います。でも、安全な津波はないとはいえ、東日本大震災を思い出してくださいはどうただったのでしょう。片田先生の言うところの、「住民の心をとらえながら『逃げる』という行動を導くためのコミュニケーションプロセスの研究であり、社会技術の開発」には、まだ経験と想像が必要と感じました。

【第12回】 逃げない人を逃がすには 群馬大学大学院教授 片田敏孝氏
http://www.jsce.or.jp/contents/engineers/backnum/bn12.shtml