2012年1月31日火曜日

科学2012年2月号

岩波の「科学」2012年2月号は、特集「日本列島をおそった歴史上の巨大津波」です。

 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo201202.html

 目次をみていると、日本は北から南まで巨大地震・津波が繰り返し発生していることがわかります。このうち最初の論文を執筆されている平川一臣先生は、私は「十勝平野の地形発達」地理評などの論文で代表されるように、周氷河地形と段丘地形のイメージが強かったのですが、最近では洪水氾濫堆積物や津波堆積物の発達史・工学的研究もされていることを知りました。
 特集論文のほか、広辞苑を3倍楽しむ〈48〉腹黒い など、面白そうなコラムも多そうなので、早速注文しました。

2012年1月30日月曜日

寒い、、、

この1年というもの、地震・豪雨・豪雪、、全て桁違いです。寒い寒い。そろそろ完新世も終わりかいなと思ってしまうというのは大げさですが、九州出身の私としては、ちとつらいですね。

 寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

2012年1月29日日曜日

”ほこたて”という番組をみて

今日のフジテレビ「ほこたて」面白くみました。最強の壁(道路の待ちうけ擁壁でみるやつです)と何でも破壊する鉄球の対決。擁壁を造った方はGeoBANK研究会の方々。

http://www.geo-bank-sr.com/video/index.html

ゴルーデンタイムのバラエティ番組に、Geoという名のつく同業者が出ることはあまりないのです。結果は5tの完全球体の鉄球をクレーンで15m持ち上げ34回ぶつけられて上部が損壊。番組的には”擁壁の負け”になったが、自然の落盤・落石が完全球体で同じところに当たり続けるということがそもそもないので、、でも斜面防災業界の技術者にとっては、存在感を示す面白い番組だったと思います。

2012年1月28日土曜日

最近の微地形判読手法

このブログでも何度か書きましたが、最近航空レーザー計測データを用いて地形判読を行うことが多くなっています。その際に撮影された空中写真や斜め写真もすごく精細で、節理や地層も判読することができます。ただ、あくまで測量成果としての扱いなので、地形発達史や地質構造を明らかに出来る点を付加価値としてアピールしていく必要があります。
 従来の地形判読とのもうひとつ大きく違う点は、”清書”という作業段階が存在しません。等高線図や陰影図を紙に印刷して判読結果を書き込むことはできなくはないのですが、何しろ時間がかかるし、PC状で縮尺を1/100以上ににしても等高線を明確に判読できるので、PCで記載することになります。空中写真の画像データだったら、web上に保存した画像に直接書き込むソフトもweb上に、、という時代がくるかもしれません(セキュリティが問題ですが、、、)

2012年1月27日金曜日

PCが落ちて考えてみたこと

会社で使っているPCがどうにも立ち上がらんので、いろいろあがいた結果、OSの再インストールというはめに、、、幸いデータはローカルには置いていなかったので被害は少なかったのですが、アプリケーションは最初からインストールせんといかんしめんどくさい。昨年の計画停電の際にも感じたことですが、現在の仕事は、PCがないとできないことになっていることが多い。平面図や断面図を現場で書いて、手作業できれいに(ビジュアルも論理構成もきれいに)したところで、成果品として受け付けてくれません。GISがないおと調査すらできないということになっている業務も存在します。
 (いまブログを書いているのは、やっとネットにはつなげたが、ワードやらエクセルやらこれからインストールしないかん、、あ~めんどくさい。その前にちょっと一服的に、、、です。)
 そのうち技術革新が進んで、OSやらアプリがディスクを介さずにネット上で編集も保存もできるようになれば、こんな面倒もなくなるんでしょうか。
 人生23年目で阪神・淡路大震災から続く地殻変動活動期、40年目にしてM9.0という千年紀の日本列島大変動時代に突入したわけですが、WIN95が出てwebの活用が活発化した時代と地殻変動活動期とほぼ一致しています。だとすれば???webをめぐる環境も大変動時代突入でしょうか。ナイフや砥石で鉛筆をけずったようなアナログ時代を知る私ですが、ついていけるのかちょっと不安だったりしています(いまOFFICE入りました)。

2012年1月26日木曜日

バァーチャルなもの

今岡さんのブログに掲載されていた資料に、ネットはバーチャルではないという指摘がありました。30代以上は、Webをバーチャルと呼んでしまう世代とのこと。確かに私なんかは多感な高校・大学生のときに、携帯もインターネットも全然普及していませんでしたから、ある意味"違う世界”の感覚はもっていました。別の顔を作ってしまえるという衝撃もあります。
 この感覚の原因をもう少し考えてみると、基本的にパソコン主導の機能であることにあると思います。シミュレーション(ある現象を模擬的に現出すること。現実に想定される条件を取り入れて、実際に近い状況をつくり出すこと。模擬実験)がPCの台頭によって身近になり、数値化することによって体を張って答えを探求するよりは一見正確でスマート(にみえる)ことになりました。ですから、PCで行う作業と体を張る(自分で考える)作業に一線を引きたいという心理ができ、Webもその抵抗感をもって迎えられたという一面もあったのでしょう。
 ただ、斜面や土石流の動きなどは、現実の描写、観察される歴史など、定性的な作業をこつこつと積み上げていく他はなく、バーチャルな計算結果が一人歩きすることは防災をミスリードしかねないとおもっています。

2012年1月25日水曜日

地域に密着した防災活動と研究資料

このブログを読んでくださっている方から、富山県の地すべりに関する資料をご紹介いただきました。ほこりをかぶった古い書籍だったということで、貴重な資料をご紹介いただいたこと、感謝にたえません。

氷見市八代の地滑り(現況と対策)
http://www.ctt.ne.jp/~myama/pdf/yashiro.pdf

縦書きでなかなか骨のある書物ですが、まさに動くこと山の如しとういうような臨場感を持って書かれています。これは、著者が警察官であったことが反映されています。つまり、事前でも事後でも解説ではなく、現場に急行する立場であるということです。

地滑りの運動様式による分類や土地利用の歴史まで詳細に調べられています。地滑り対策の章では、地滑りを防止するものではなく、土地が動きつつある状態のままでいかに有効利用するか、ということにちても文献を猟補しながら述べられています。地滑り地帯は土壌が肥沃であり水田に適するということもよく言われるのですが、労働条件のつらさ(特に女性にとってはとも書いてある)についても言及しておられ、まさに地域に密着した防災のあり方を考えさせてくれる文献となっています。

2012年1月23日月曜日

4年で何ができるか

すでに報道されたとおりです。
 M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120122-00000800-yom-sci(普段の5倍の地震があるので、)この地震活動に着目。マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した。

 東日本大震災の”いい意味での驚愕”は、M9.0という規模に対して建物の損壊が少なかったことですす。谷埋め盛土の滑動崩落や液状化などの大きな被害は、”地盤の都合により”けりでした。ところが直下型となるともうすこし話が違ってくるように思います。私の自宅周辺にも古い、狭い路地はたくさんあるし、横浜・川崎は”谷埋め盛土・石積擁壁”が集中しています。滑動・液状ではなく、まさしく”破壊”そのものは頻発するでしょう。”4年で”という言葉は切迫感がありすぎます。

2012年1月22日日曜日

島根県の津波

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120122-00000178-mailo-l32&1327210311
 ◇高さ10~20メートルも 「防災意識高めて」 
 東日本大震災を機に結成した県技術士会(林秀樹会長)の津波研究会の研究発表が21日、松江市のホテルであり、過去約1000年の間に県内エリアで確認された8件の津波について報告された。研究者は「山陰地方に津波が来ないというのは迷信」と、防災を呼びかけた。【宮川佐知子】 

 研究会は昨年5月、地質などを専門とする20人が結成した。
 地域の伝承や古文書、神社の由緒書きといった文献の収集、現地視察をして、津波の到達地点や被害を探っている。県内では1026年、益田地域に大きな被害をもたらした万寿津波から、1993年の北海道南西沖地震で隠岐や島根半島に到着した津波まで、大小8件の記録が見つかっているという。 なかでも万寿津波は、収集した記録によると、10~20メートルの高さがあり、被害は山口県萩市から大田市鳥井町まで広範囲に及ぶ。研究会は、「過去に津波があったという話があったら、教えてほしい」と情報の提供を呼びかけた。 会員のほか行政関係者らも含め約150人が参加。津波研究会代表の児島秀行さんは、「これを機に避難経路の確保など防災意識を高めてほしい。今後も研究を発展させ、役立ちたい」と話していた。

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私もなんとなく山陰の津波のイメージは薄かったので、目から鱗でした。海岸線と真向かいに対面するプレート境界がないこと、東海・東南海・南海のイメージが強すぎることが要因でしょう。これを技術士会が提言したのがいい。地質技術者の存在感を示されました。

2012年1月21日土曜日

防災格言

『 自然災害は、過去の歴史を知ることが、最高の予防対策につながることになる 』

 房総(千葉)から品川(東京)、三浦半島(鎌倉)、小田原、伊豆(熱海、下田)にかけ10mを超える津波が襲来した元禄地震(1703(元禄16)年 M8.2 大正関東大震災の一つ前の海溝型地震で規模は大正時代よりも大きかった)では、江戸時代の伊東地方の経済中心地だった豆州志稿和田村(現伊東市)は、大津波により163人が亡くなり壊滅している。
 古文書には『 これより別して寒村たり(震災以降、村はすっかりさびれてしまった)』と記されている。元禄の大津波は、伊東平野の川に沿って津波がさかのぼったとあり、現在の伊東温泉競輪場(静岡県伊東市岡 伊豆急・南伊東駅)にある俗称「船ヶ洞」と呼ばれる洞は、この時の津波によって船がここまで運ばれて来たからだと伝えられている。

2012年1月20日金曜日

13歳のハローワーク

という番組がテレビ朝日で放送されていました。主人公が1990年バブル絶頂期にタイムスリップして未来を変えようとして奮闘するという、ありがちですがなかなか面白い番組です。
 考えてみればバブル時代(一応1985~1990年までとして)には、M7.0以上の地震は、日本では発生していなかったように思います。1984年長野県西部地震で御岳伝上崩れ(いまならこれも深層崩壊といわれてしまうのでしょうか)が発生し、死者・不明者29名をだしました。そして、この伝上崩れは長い間山地の地形学、土砂移動の研究対象とされました。1987年の千葉県東方沖地震は、関東の戦後初の被害地震とも言われました。
 バブル後の20年は、北海道の3大地震、阪神・淡路大震災から東日本大震災と地殻変動が活発な時期でした。人間活動と地震活動は、やはり相関があるのでしょうか。

2012年1月19日木曜日

防災格言

『 自分のごみは自分で、というのが廃棄物処理の原則だが、被災地内だけでの処理は無理。 』高橋壽正(1938~ / 元社団法人・全国産業廃棄物連合会技術部長)

格言は読売新聞(1995(平成7)年6月13日)より。各県や各市によってがれきの扱い方が違うため域外処理調整が難航していることに触れた発言。阪神淡路震災から5ヶ月が経った1995(平成7)年6月、連日、ビル解体などが行われている被災地では、郊外の処分場に、がれきを満載したトラックが連なっていた。トラックは処分場の閉門直後から翌朝の順番待ちで長い列をつくり、運転手は徹夜で順番待ちという状態だった。
一刻も早い倒壊家屋の処理が求められる一方で、処分地不足や権利調整の難航などといった震災によって初めて経験した課題も多かった。震災後の兵庫県のまとめでは、県内の全半壊・焼失家屋は200,162棟、うち半分超の122,037棟は解体が必要とされた。震災から5ヶ月間で70,370棟が解体または業者への発注を終えたものの、埋め立て、焼却などの最終処分まで完了したのはまだ一割程度に過ぎなかった。そのため、約13,000社が加盟する全国産業廃棄物連合会が1995(平成7)年4月17日に対策本部を設置、下部組織の兵庫県産業廃棄物協会(約700社)を中心に全国規模の域外処理の検討をはじめた。

2012年1月18日水曜日

海溝型地震と海岸砂防の議論

砂防学会でも地すべり学会でも東日本大震災をうけ、海溝型地震と斜面災害との関連を議論する場が設けられています。前にも書きましたが、東日本大震災はその規模に対して斜面災害が意外なほど少ないというのが事実だと思います。紀伊半島でも東南海地震でも大規模な斜面崩壊・地すべりが発生した、、とは聞きません(それよりも明治と平成の十津川水害です)
 さて、海溝型地震に対して砂防の立場から議論するのであれば、海岸砂防の議論はどうでしょう。飛砂防止、海岸侵食防止、景観保全、防風林としての機能があり、砂防にしては人目につくにも関わらず、マイナーであったような気がします。
 これに関して、参考になるブログがありましたので、勝手ながら引用しておきます。

 「白砂青松」の功罪---「震災の社会哲学」に向けた一つの試み
 http://hiroshige724.blog22.fc2.com/blog-entry-124.html
 このように、広葉樹の機能に関する点で、小田氏と宮脇先生の見解は一致しています。ただし、小田氏の全体的な主張は、「白砂青松」と呼ばれる景観を、防災に留意しながら可能なかぎり維持していこうという立場です。したがって宮脇先生の「常緑広葉樹主体の防災林を!」という立場とはかなり隔たりがあります。
 しかしながら、防災林の再生は、地質や気象条件、地形などによってきわめて多様なものとならざるを得ないでしょうし、何より地域の人たちがその姿を主体的に決めていくべきものです。その際には「前線部分は景観を重視してクロマツの純林とし、内陸部は防災機能を効果的に発揮させるための上層クロマツ、下層広葉樹の複層とすべき」(241-2)という小田氏の提案も検討に値するでしょう。ただし小田氏自身が認めておられたように、「複層林として維持していくにはかなり濃密な管理が要求される」(242)ため、コストの面も含めれば一般的な指針としては宮脇方式のほうに一分の理があると、筆者個人は考えています。
 いずれにしましても、現在、こうした反省を踏まえ、林野庁の「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会」(座長・太田猛彦東大名誉教授)でも、その中間報告(2011年7月)において、「植栽木については、マツだけでなく、広葉樹についても考慮し、これら苗木の供給体制とともに地域住民等の参画による植栽や保育等についても検討すべき」と報告されています(※5)。それは今回の津波に学び、従来の価値観からの転換という意味も内包する、新しい人と自然とのかかわりかたへ向けての意義ある提言だと評価できます。今後は私たちがそれを、どこで、どういうかたちで具体化していくかについて考えていくことが求められているといえるでしょう

2012年1月17日火曜日

1.17と3.11

今日で阪神・淡路大震災から17年です。毎年書いていますが、大阪で揺れを経験しました。当時は、活断層の活動という地形学的時間スケールでおこる現象が、まさか自分の人生のなかで、しかもこれから社会人になろうかというタイミングで経験するとは思ってもみませんでした。
 東日本大震災では、これからおこるであろう東海・東南海・南海地震、富士山の噴火なども含め、日本列島の骨格を造ってきた地質学的時間スケールで起こる現象を、自分の人生の中間・後半にわたり経験するだろうという感覚を抱きました。
 ただし、地震動による暮らしの影響といえば、阪神・淡路大震災の方が強烈であり、モノの壊れ方が東日本大震災よりも凄まじいと思います。強烈なボディブロー(海溝型地震)とアッパーカット(直下型地震)といったところでしょうか。地すべり・斜面崩壊をとってみても、中越地震や岩手・宮城内陸地震のほうが強烈です。

2012年1月16日月曜日

平和な時代ではなくなった

テレビ朝日のスクープという番組で、寒川旭先生は、平安時代の大地動乱に良く似たパターンであるということをおっしゃっていました。順番からいくと、首都直下型、東海~南海三連動、どどめの富士山噴火というシナリオでしょうか、怖いのですが、生きている間にみてしまうのかも

2012年1月15日日曜日

地形の読み・書き・ソロバン

鈴木隆介先生が土木学会誌2012.1月号の「特集」に寄稿された論文が送られてきました。先生は、応用地質学会応用地形研究部会に参加されるたび、地形の成因の分かる用語を用いることや読図の重要性をとかれている方です。”崖崩れ””土砂崩れ”など、マスコミで頻繁に用いられる用語は、なぜそのような現象がそこで起こったかなど、背景の分かるような表現ではないため、"アマチュア用語”であるとも言われます
 さて、先生の論文では、ほとんどの土木屋さんは地形や地質の初歩的知識すら全くないので,土木工学科(名称は多様ですが)で,「土木地学(応用地形学~地形工学~地質工学)」という内容の講義を通年(2日程度の巡検付)で開講すべきであると確信している。と述べられ、私信では、「土木地学(応用地形学~地形工学~地質工学)」という内容の講義を通年(2日程度の巡検付)で開講すべきであると確信しています.いわゆる地質学科でも地形学の講義は不可欠でしょう。とのことでした。
 全ての基本が”読み””書き””ソロバン”であるように、読図(空中写真判読)、図化(地形分類図作成:手作業で)、土木的時間と空間の拡張といったところでしょうか。

2012年1月14日土曜日

大学入試センター試験「地理」

私が地理学科に属して今年で20年目ということで、昨年のセンター試験「地理」をやってみました。昨年はサッカーワールドカップ南アフリカ大会があったせいか、アフリカの経済地理に関する問題が多く出題されていました。私が受験生のころはベルリンの壁が崩壊するなど東西冷戦構造が終わる大転換期でした。その後20年経ちますから時事問題はさすがに分かりませんでしたので72点でした。平均点ぐらいでしょうか。この職業にして平均ではやばいか、、、自然地理的な内容がちょっとすくなかったような印象があります。今年は「地理」の問題は、世界地図に間違いがあったのだとか、、、
 昨年は東日本大震災とエネルギー問題が脚光を浴びました。別の記事では理系学部が人気で、私が受験生だった時代に隆盛を極めた社会科学系の人気が落ちているとのこと。これからの20年はどうなっていくのでしょうか。大地動乱の時代であることは確実でしょうから、地理・地学がが黄金パターンになってほしいのですが、、、

2012年1月13日金曜日

たった60年間災害がなかっただけで安全と断じることはできない

群馬大学片田先生の講演
 http://mainichi.jp/area/gunma/news/20120113ddlk10040148000c.html
 県は「群馬は災害も少なく、震災でも直接的な被害は軽微だった」として、首都直下型地震の発生に備え、首都機能の県内誘致を進めている。しかし、片田教授の考えは異なる。「たった60年間災害がなかっただけで安全と断じることはできない」
 群馬では浅間山の爆発(1947年8月、死者11人)とカスリーン台風(同年9月、死者592人)以降、半世紀以上にわたり、大規模な災害が起きていない。東日本大震災では、館林市で女性(当時88歳)の頭に屋根瓦が落下し死亡したが、最大震度6の西埼玉地震(1931年、死者5人)以来80年間、地震での死者はなかった。
 「100年、150年間隔で大災害が起きることを想定すべきだ」。そう話す片田教授が群馬で最も危険視するのは、土砂災害と火山災害。特に土砂災害は喫緊の課題と指摘している。

2012年1月12日木曜日

応用地形判読士

今年度新設される資格ですが、ついに一般的なサイトに紹介されました。

 資格試験の日程&難易度
 http://sikennews.seesaa.net/article/241450141.html
 地形を判読することで、地滑りの危険地域であることや以前に河川、沼を埋め立てた地域であることが分かれば、地震で液状化が起きやすいことも分かるため、開発事業等の危険性を低減でき、公共事業の調査・計画段階では重要な作業です。しかし、現状では判読士の資格制度がなく、能力にばらつきがあり一定のレベルを確保できないことなどから制度が創設されることになったものです

 私は学部生2回生から地形判読に携わっていますから、今年が20年目なのです。落ちるわけにはいかんというプレッシャーがあります。しかし、基岩崩落につながる緩み岩盤、地すべり地形でさえ個人的にばらつきがあるし、若い地形面の活撓曲など心眼に近いものもある。つまり、正解がいくとおりもあるのです。どうやって採点するのでしょうか。

2012年1月11日水曜日

富士山はいつまで日本1位でいられるか

最近富士山の近くの現場が多くなっています。何度みても美しい成層火山であるとともに、活火山でありながら300年以上大きな噴火がないことに一抹の不気味さを感じます。

守屋以智雄(1979):日本の第四紀火山の地形発達 と分類,地理学評論
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=grj1925&cdvol=52&noissue=9&startpage=479  
 これによると、群馬県の赤城火山に火山地形発達史のプロセスが集約されており、類型化できるとされています。富士山は、現在成長段階にある火山ですが、赤城火山も山体崩壊を復元すると富士山に匹敵する高さになると聞いた事があります。
 ところで、上記の守屋(1979)の論文ですが、火山地形を考えるうえで教科書ともいべき論文です。ひとつひとつの地形の分類・描写が精緻で、直感的で分かりやすい。私もこんな論文をかいてみたいものですが、、、、、、、、
 さて、発達史的スパンでみると、富士山が山体崩壊を起こし、日本一の座から崩れ落ちることがあるのでしょうか。あるいは宝永噴火のように側部から徐々に崩壊してくのでしょうか。それが、私が生きているうちにおこったら、、、うわあ

2012年1月10日火曜日

初詣

 遅ればせながら初詣に行きました。人ごみは嫌いだし何度行っても飽きない江ノ島神社で、今年のささやかな幸せを祈ってきました。いま地震がきたら津波から逃げ切れるだろうか、あの日以来そんな事が頭をよぎります。

2012年1月9日月曜日

成人の日

私の本棚に「史・地91-65」と書かれた本が出てきました。史学・地理学科に91年に入学して五十音順で65番目という意味です。そうかあ、あれから20年たったのか、、
 20年前といえば、超田舎もんの私はパソコンを始めて触りました。そんな私がいまはブログとツイッターやっているのだから変わったものです。そして、社会人となった年に阪神・淡路大震災が発生し、40代になる年にM9.0の東日本大震災、低迷する経済活動をあざ笑うかのように大地は活発でした。テレビのイアンタビューで「東日本大震災は、我々世代への挑戦状」と頼もしいコメントをした人がいましたが、その上司に当たる私の世代にとっても新たな挑戦です。

2012年1月8日日曜日

震源のタイプと土砂災害

砂防学会のHPにシンポジウムのお知らせがありました。

 社)砂防学会特別シンポジウム「海溝型地震による土砂災害を考える」のお知らせ
 http://www.jsece.or.jp/news/2011/symp20120117.html
 平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震により発生した土砂災害に関するこれまでの調査結果を報告するとともに、海溝型地震による土砂災害の特徴と対策の手法について検討する。

 これまで大規模な土砂災害、あるいは地形変化を伴った地震といえば、直下型地震が主体です。それは歴史時代でもそうですし、昨年でも東日本大震災の翌日に発生した長野県北部の直下型地震、4月11日のいわき市の内陸地震でもそうでした。四国の加奈木崩れは海溝型の地震で発生したと思うのですが、どちらかといえば大規模な構造線に沿っているという地質構造的な素因が大きい。中央構造線から遠ざかるにつれ地すべり地形の面積が狭くなるという研究もあります。

 http://www.jstage.jst.go.jp/article/jls/44/4/241/_pdf/-char/ja/
 
 どういう話になっているのか分かりませんが、敢えて"海溝型”と銘打っているところに時流迎合的なものを感じてしまいました。もっと客観的に、地震で崩壊しやすい斜面はどういう素因があったかという点に絞ったほうが、素直な知的好奇心がもてます。

2012年1月7日土曜日

命だけでなく経済活動を守る防災論へ

東日本大震災では、「釜石の奇跡」として語り継がれる津波からの避難行動がありました。約10ヶ月たった今でも記事になっています。

 「奇跡」の授業(1)小学校低学年編
 http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000811201050001
 釜石市の防災教育は、義務教育期間を通して「タウンウオッチング」を重視する。自分の足を使って見て歩かなければ、いざというとき役に立たないからだ。 1~6年の班によるマップ作りも、低学年に防災を教えることの難しさに悩んだことから生まれた。 
 片田教授は子ども同士の関係を活用した。幼い児童はお兄さんお姉さんから防災を学び、年長の児童は責任感が自然に身についたと思うと話す。先人たちが築いた石碑には「津波が来たらこの地点より上に逃げろ」といった教訓が書かれている。
 幼いうちに見て回り、真剣に学ぶ効果を期待している。

 命だけをを守るための防災なら、このような取り組みはとても良いでしょう。多くの地域でモデルケースとされていくことでしょうし、それはそれで望まれることです。
 しかし、自然災害はなにも津波だけではありません。さすがに津波の破壊力はいかんともしがたいところがありますが、土砂災害(特にいま”はやり”の深層崩壊は)のソフト対策でも、まず"命”をという発想ですが、その後の経済活動の停滞も大きな問題です。体ひとつあっても生産的な活動がある程度残っていないと"減災”とは言い切れないでしょう。
 この記事で取り上げられた子供たちが社会の主役になるときまでに、私たちに課せられたテーマかもしれません。

2012年1月6日金曜日

現役世代の活性化と不連続

橋本市長の話を聞いていました。当人自身が現役バリバリ世代なので、現役世代を厚く、強くして、その結果としての社会保障という考えかたには賛成です。私も所属する学会・委員会で8年ほど前からずっと最年少のままでしたので、我が意を得たりと思いました。大御所の方は確かに多くを語るしk、含蓄も多いためになる話をされるのですが、立場的にも”たたき台”を生産されることはほとんどありません。最近はやりの深層崩壊やレーザー計測に関しても”額に汗して””手を汚して”、できれば現場で議論するという活力がほしい。
 不連続はいわずもがな、前例至上・書類物量主義はそろそろやめて、廃棄物処理をはじめ今日的な課題に取り組む時間を確保したいものです

2012年1月5日木曜日

今年の抱負

昨日まで里帰り、今日から仕事とブログはじめです。昨年は人生観・自然観を根底から覆す出来事があったので、忙しさにかまけ毎日をモットーにしていたのですが、237/365に留まり、どうでもいいことも多くなりました。書く力、頭を鍛えねば、、、
 さて、正月は寝正月でしたが、少しは頭くらい動かさねばと思い、応用地質学会に投稿する論文を書いていました。過去の事例と比較すること、災害は場所を選ぶこと、なかなか面白いことになりそうだと自分でも楽しみにしています。