2010年6月13日日曜日

日本の景観 - ふるさとの原型


 最近の経済状況もあると思いますが、住まいの新築よりもリフォームを選択することも多いようです。また、先日の総理の所信表明演説でもあったように、社会保障・福祉政策に重点が移るようです。
 ただ、バリアフリーなり断熱効果なり、”そのときだけは快適な”方向に行っているのが気がかりです。日本の家屋はもともと段差が多いことから高齢者にやさしくないといった論調もあるようです。
 しかし、どうでしょうか。長い間精神的な快適さを考えるのであれば、むしろ多少しんどいことでも"鍛えること≒長生きすること”ととらえ、かつ庭があればその土地の風土に応じたリフォームがあってもいいのではないでしょうか。最近の新興住宅も、どうも画一的な”コピペ感”が否めません。樋口忠彦先生の『日本の景観 - ふるさとの原型』を読みながら、そう思ったのでした。

樋口忠彦『日本の景観 - ふるさとの原型』
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480080349/

人間はだれしも、人間の生活とまわりの環境とがしっくりと適合したときの風景を理想の風景として心の中に懐かしく抱いている。近代以降の現実の風景の激変は、二つの風景のずれを大きくしたといえるかもしれない。しかし心の中の風景に閉じこもって現実の風景を荒れるにまかせておくだけでは、私達の未来の幸福は壊されてしまう。人類は、現代以上の風景の激変を何度もくぐりぬけてきたのである。その都度、心の中の風景に耳を傾けながら、新しく美しい代償風景を生みだし、環境に適合してきたのである。p.21)

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