2010年6月9日水曜日

宅地開発と地盤 (3) - ing -

 棚田が広がるところは本来とてものどかな里山であり、小川が流れそこに多様な生態系が発達します。棚田はひとつひとつは三日月あるいは魚の鱗のような地形となっています。そのフォルムは”曲線美”です。そこが無造作に宅地開発されるとどうなるか、、、
 この写真は、地すべり地帯のど真ん中に住宅が造成されたあと滑り出した土地の例です。案内してくれた方に話をきいたら、なんとこの駐車場、最初は水平だったんだそうです。クリノメータで傾斜をはかったら14°傾いていました。ここは地すべりの末端に位置し、押し出された結果こんな地形になりました。おそらく造成された住宅の荷重とバランスするまですべり続けるでしょう。物理現象はとても正直なんです。右の写真は”地すべりの滑落崖”がアスファルトのひび割れとして現れたものです。住民の方は、これが地すべりの痕跡だなんて思いもしなかったとのことでした。 
  無造作な開発は単純に景観や生態系だけでなく、自分たちの暮らしを支える土地の背景を考える機会、観察する場所を奪ってしまいます。観察は自然科学の基本です。理科離れの原因はこのへんにもありそうです。

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