2011年1月25日火曜日

砂防学講座「日本の国土の変遷と災害」から

 砂防学会誌63巻5号が手元に届きました。そのなかで、『日本の国土の変化(土地利用の変化)』という、そのまま地理の教科書に載せてもいいような講座が掲載されていました。このなかで、いまから100年以上前(1900)年の日本の土地利用状況と、1950年、1985年の土地利用の状況を示した地図が示されています。
 これで私が注目したのは「荒地」の変遷です。1900年の土地利用図では、西日本や長野県に多く「荒れ地」が分布しています。1950年ごろになると「荒れ地」は減ってはいますが、まだ”目立つ”程度にあります。ところが、これが1985年になると大部分が”森林に変化”しています。
 これは論文にも書いてあるとおり「中国、四国、九州で盛んに行われた杉や桧の植林」です。”荒れ地”であるよりは、確かに土砂流出の発生しにくい国土になっているということも出来ます。しかし、宅地化の進展で山すそに住まいが進出したことや、情報伝達の発達で「土砂流出」が「温暖化に伴い頻発している」という”ある種のイメージ”が最近あるように思います。このイメージを考え直すにはいい教材となる論文だと思います。

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