2011年11月3日木曜日

あたり、はずれの議論を超えて

 京都大学防災研究所は、2005年に『1889年十津川崩壊災害の防災科学的総合研究(報告書)』をまとめています 。

 http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/147968

 全部で7章にわたり、詳細な研究がなされています。特に7章では二重山稜の発達する山地の具体例を挙げて、地形発達史的背景(地形輪廻)の観点から地震防災に関しても要注意とすべき,

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周期的に訪れる地震の影響を受け,長期にわたる徐動的なクリープによる斜面変動で作られた変動地形である可能性を示す事例として重要である.次に訪れる地震あるいは豪雨によって大規模な山体崩壊につながる可能性もあるので,今後の詳しい検討と十分な注意を要する.
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  と述べられており、実際「平成の十津川災害」で崩壊に至った箇所もあります。
 しかし、先日の記事で上げた岩松先生の提言は、またもや実現しませんでした。
 http://www.geocities.jp/f_iwamatsu/retire/hyperopia.html

 立山砂防では数年前、「平成の鳶崩れ」と称して大規模な避難訓練を行いました。低頻度大災害をイメージする良い機会となったと思います。深層崩壊の可能性のある斜面を抽出して”あたりはずれ”を議論するだけでなく、どのような行動をとるべきかまで踏み込んだ議論がそろそろ必要なのかもしれません。

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