2011年5月10日火曜日

震災を語る - 1999神戸新聞 故藤田和夫先生の記事 -

自然観
研究の第一人者である藤田さんは、六甲周辺をはじめとする近畿の断層帯が現在も地殻変動の最中にあるとして警告を発してきた。しかし、兵庫県南部地震の発生まで「近畿は地震が少ない」という誤った思い込みが、行政や建設関係者にまで広がっていたが危機感にはつながらなかった。その後、「日本列島砂山論」(共著)などの著書でも、六甲山にかかる東西の圧縮の力で断層ができ、本来固いはずの花崗(こう)岩の岩盤が砂山のようにぼろぼろになっていることを指摘した。神戸市でも土木の担当職員を対象に研修会を何度も開き、活断層について話した。勉強している若い技術者は理解していただろう。トップは土石流には敏感だったが、地震には関心が向

防災への提言は
防災は貯蓄だということ。六甲にトンネルを通して淀川の水を運んでいるが、断層で切れたら供給が止まる。年に一つでも小学校の地下に貯水池を造っていくなど毎年の蓄積が大切だ。活断層の分布を知ることは大事だが、そこだけ対策を行えばいいのではない .活断層は地震環境を示す最もはっきりした指標であり、それを取り巻く地盤、建築構造に気配りすることが大切なのだ
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一部を抜粋して紹介しました。首都圏にまでこの提言は届いていなかった。逆に、釜石市など津波の防災教育が進んでいたところでは、知識と現場での判断力が「防災への貯蓄」としてたまっていたのだろうと思います。この、防災への貯蔵庫がどこにあるのか、鍵のあけ方を多くの人に知ってもらうにはどうすれよいか、専門家の有りよう(私たち技術者も含めて)問われているような気がします。

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