2010年5月30日日曜日

斜面の一生

  今年の10月に島根で行われる応用地質学会での発表要旨をこの間送信したばかりですが、その後高野秀夫論説集「斜面と防災・別記」を読んでいたら、いま私が考えていることと似たテーマの文章を目にしました。

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『地すべりと地形』一部抜粋
  かつて地すべり地形をみて、幼年期・壮年期・老年期というように分類しようと考えたことがあるが断念した。それは、この分類は流水によるほぼ一定した削剥が行われるからこそいえることであって、地すべりのように各々まちまちの移動量を示し、かつ流水の影響を受けるような地形では、この区分法は不可能であると考えたからである。
  地すべり地形を調べるうえで重要なことは、同一地点がどれだけの距離どのように変位してきたか、また変位しつつあるかということであって、永く停止している地すべりに対しては侵食された分を加えて考えねばならない。特に断面的にどのような変位をしたかということが重要で、現地形から活動以前の地形や地下構造を推定することが求められる。
  地形解析においても単に亀裂・陥没・湿地など文応を明らかにしそこからなんらかの結論を得ようとすることが順序が逆で、地形から何を得ようとするのするのかをまず決めておいて、それに沿った事象を抽出するべきである。
  買い物をする場合には普遍目的をもってモノを買うが、何もかも手当たり次第に買いあされば目的が得られるであろうという道楽息子的な調査方法は改められるべきであるが、国の技術基準や仕様書の類もこの道楽息子的な考え方に拍車をかけている。
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私は昨年地すべり地形の発達史に関する論文をかきましたが
http://www.kankyo-c.com/landslide/hensen_kaseki.jpg 
確かに高野氏の論説にあるように、道楽的な表現でした。今度の応用地質学会でも大筋は似たようなテーマですが、”同一地点がどれだけの距離どのように変位してきたか”にスポットを当ててみようと思います。

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