2013年9月3日火曜日

応用地形判読図の一例

 でかい画像ですが、、、地すべり学会誌に投稿した微地形分類図です。論文には「微地形分類図」と書きましたが、斜面防災を強く意識したので「応用地形判読図」といえましょう。
 さて、上の図でいう崩落崖と1990年空中写真の崩壊地の縁辺は、ほぼ後氷期侵食前線に該当すると考えています。それを示すためには、大河川まで広範囲に至る判読図を作成する必要があり、投稿に間に合わないため割愛しました。また、初生的な地すべりは地すべりブロックⅠであり、その地すべりの滑動に対応する段丘地形も残されています。
 不安定土塊のなかにはクラックや段差地形が多く認められますが、これは2年前の台風により発生した崩壊によって生じた応力解放に伴うものと考えられます。よって、この範囲は、地すべりの地形発達史の段階がひとつ進んだことになると考えています。不安定土塊内のガリーやクラックの分布状況から、今後豪雨によって地すべり(深層崩壊)がどの程度の規模で発生するか、推定することもできます。
 このように地すべりであれば、その発生から安定化に至る過程を推定できるような情報図を作成することが、応用地形学図、ひいては応用地形判読士にも求められるのではないでしょうか。

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