2011年6月7日火曜日

自然のペースと生活のペース

 地形・地質にかかわる人は、東日本大震災で、石巻市や牡鹿半島が沈下したという事実にちょっとした違和感を感じた人も少なくなかったと思います。三陸海岸には、最終間氷期(約12万年前)の海成段丘が形成されている、つまり隆起海岸だからです。このことについて、静岡大学の新妻先生の記事に、以下のような説明がありました。

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速報9)歴史地震とプレート沈み込み
http://www.niitsuma-geolab.net/archives/404#more-404
三陸海岸の沈降について多くの専門家が安易に口にしないのは三陸海岸にも海岸段丘が在るからである.日本列島に広く海岸段丘が形成された約12万年前の最終間氷期の下末吉海岸段丘が三陸海岸にもある.ただし,その高度は25-35mと福島県浜通の30-50mよりも低い.海岸段丘高度は,形成時の海水準と形成以降の地殻変動によって支配されているので,三陸海岸は福島県浜通よりも沈降していると言える.三陸海岸の位置は,北上山地の隆起と日本海溝の沈降の均衡によって支配されている.今回の東日本巨大地震による日本海溝側への沈降によって海岸部は沈下したが,北上山地の隆起によって回復するものと予想される.国土地理院資料によると牡鹿半島は既に隆起を開始している.
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そのうち自然は”いつものペース”で隆起を開始するでしょう。でも人々の生活にとっては”いつものペース”とはいかないので難しいところです。

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