今日はNHKスペシャルで、「深層崩壊が日本を襲う」という番組が放送されました。台湾で発生した深層崩壊を深く掘り下げて特集していました。それにしても台湾で発生した崩壊は、深層崩壊という言葉だけでは言い表せない規模でした。日本で言えば、稗田山大崩壊や大谷崩れに匹敵する、あるいはそれ以上の巨大崩壊ではなかったでしょうか。 番組では、京都大学防災研究所の千木良先生が、典型的な岩盤クリープであることを説明されました。長期にわたり重力変形した斜面は地層が湾曲し、それに伴って地表に亀裂、線状凹地が形成され、豪雨によって緩んだ地層・岩屑層が水の浮力によって浮き上がりすべりおちる。これら一連のメカニズムをCGを使ってわかりやすく説明されていました。
ただ、どうしても気になるのはナレーションです。地球温暖化に伴う豪雨の増加によって発生する「新たなタイプの災害」と番組では説明していました。地球温暖化というキーワードは何回も出てきました。
日本の災害史をひもとくと、このタイプの災害は過去何度となく発生しています。というか、このような岩盤クリープ斜面があることによって、西南日本の山岳景観が形成されました。今回紹介された台湾の巨大崩壊は、幅1km、最大深さ87mといいますから確かに巨大ですが、明治22年に発生した十津川村の豪雨災害は、天然ダムを形成する深層崩壊が群発しています(千木良先生の「群発する崩壊」では表層崩壊が扱われていますが、深層崩壊も群発することもあります)。生産土砂量の総量が、十津川豪雨災害の方が多いと思います。私は数年前、日本の深層崩壊のカタログを作成したことがありますので、”新しいタイプの災害”という言葉に違和感を覚えるわけです。
※ちなみに十津川災害については、このサイトに詳しく解説されています↓
http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/totukawa/totukawa2/totukawasuigai2.htm
2010年6月28日月曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿