今日は月に1回行われる地質調査業の同業者の勉強会でした。だんだんと平均年齢が下がり、20代の人も発表がしやすい雰囲気になってきました。3題の研究発表があったのですが、そのうち2題は私が学生時代から考え続けている地形発達史や空中写真判読に関する内容でしたので、思わず議論に熱を入れてしまいました。特に、山地斜面の侵食前線に関する議論にはのめりこんでしまいました。
侵食前線を斜面地形の新旧を区分する指標として取り入れたのは、私の知る範囲ですが(もっと詳しい方がおられたら教えてください)、羽田野誠一氏が1970年に長崎県北松浦地すべりで侵食前線を沖積世、洪積世と分類したことや、中~硬岩の急斜面では土地条件図「神戸」の斜面分類や羽田野(1979)の砂防学会発表概要集あたりが皮切りだったと思います。その後千木良先生の風化フロントの考え方などが出てきましたが、まだ”これだあ”とひざを叩くレベルまで達していないような気がします。
段丘地形の発達史は、堆積物が残りますのでC14年代や火山灰編年などにより研究が進んでいます。しかし、斜面の地形発達を示す痕跡は崩壊であり、”物証”が流れ去ってしまいますので、まだまだ研究を蓄積させる必要があります。発表者の方は、斜面地形の発達史の研究は”私の夢”という表現を使われました。その夢は、私も追いかけています。
0 件のコメント:
コメントを投稿