母校の同人誌に寄せた文章を、数回に分けて連載します。
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2011年は自分にとって大きな節目となるという想いがいくつかつのり、千里地理通信に思いを馳せることになりました。その想いに至った背景には、もちろん東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)があります。日本の地形がどのように形成されたか、防災に対する考え方がどうあるべきか、これから様々なことが見えてくるでしょう。また、バブル世代の私は、モノがない、電気がないという事態がおこるなど考えもしなかった。地球科学的にも社会情勢的にも、日本の21世紀は実質的に2011年3月11日にはじまったのではないかと思えたほどでした。
私が大学に入学した頃、図書館の新着コーナーに「新編:日本の活断層」がありました。卒論を提出した3日後の朝、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が発生しました。そして、地理学教室の門戸をたたいてちょうど20年目の今年、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生しました。むしろ2000年から2001年に変わったときには驚くほど変化がなかった。
私は今でこそ地形解析や地質調査の仕事に携わっていますが、その興味の原点は、自然科学や地球科学的なものではありませんでした。
はじめて受けた地理学の講義で、地理学が多彩であること、現地で考えることが基本であることなどを学びました。一般教養「人文地理」の講義で、「地図は悪夢を知っていた」という伊勢湾台風の被害と地形との関係を学んだ時、“ああ、これだ”と膝をポンとたたく想いがしました。これはライフワークにできると。地図帳や地球儀を眺めていると時間を忘れる少年でしたので、自分で調べ得た情報や考えを地図に表現することで“飯が食える”と。
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