2010年8月12日木曜日

深層崩壊

 国土交通省が、「深層崩壊危険度マップ」なるものを公開しました。各新聞でも大々的に紹介されたようですね。

 深層崩壊に関する全国マップについて http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000252.html

 このサイトに紹介されているPDFファイルをみましたが、結構突っ込みどころがあります

 別紙1深層崩壊推定頻度マップ 別紙2深層崩壊発生事例
 これは、あげだしたらきりがないのでしょうが、こういう確実な情報は綿密に調べてほしかった。例えば、昭和58年山陰豪雨による浜田市の崩壊は赤丸が付いていますが、昭和51年兵庫県一宮市の抜け山の崩壊は入っていません。こういうと昭和51年の抜け山の災害は”地すべり”だといわれそうな気もしますが、、大まかには「四万十帯に多いですよ」と言うことなのでしょう。
 それと、もう少し深層崩壊のメカ二ズムについても解説がほしかった。例えばアメリカの地質調査所では、深層崩壊をLandslideのひとつと位置づけて、A~Jの10タイプに分類して解説されています。

 LandSlide Types and Processes
http://pubs.usgs.gov/fs/2004/3072/fs-2004-3072.html
http://pubs.usgs.gov/fs/2004/3072/images/Fig3grouping-2LG.jpg

先日報道されたマップは、どうも専門的な内容を報道すると批判されるのを恐れて、いわゆる玉虫色になった感があります。専門分野の最新情報やどのような議論がなされてきたか、その”最深”情報まで示すのが本当の情報公開だと思います。

2 件のコメント:

  1. 大体、「深層崩壊」ってなんなのでしょう?
    最近分からないことのひとつです。
    広義の地すべり(日本地すべり学会、2004)とどこがどのように違うのでしょうね。
      日本地すべり学会(2004):地すべり―地形地質的認識と用語、地すべりに関する地形地質用語委員会編、pp.3-4


    初めは、花崗岩体が深部にまでマサ化していることがあるように、そういう深部にまで風化した土塊・岩塊で発生した地すべりかと理解していましたが、結局は、岩盤に発生した地すべり、あるいは、古い用語でいえば、山崩れや崩壊と違いはなさそうです。
    ご指摘のメカニズムも、それらと一緒でしょ。

    「深層崩壊」は天然ダムを形成する可能性があるなど、その危険性をアピールするのは必要でしようけれど…、新しい術語(?)を用いることで新しい災害であるかのように、やたらに恐怖をあおるだけにならないようにしてほしいものですね。鬼面人を驚かす、というのでしょう。

    役所が予算獲得のために…、なんて考えてしまうのは下司の勘繰りでしょう(是非そうあってほしいです)。

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  2. 悲しいかな”役所が予算獲得のために…”が、”真相”です。新しい「術語」というよりは、むちゃくちゃな拡大解釈といったほうが良いかも知れないのです。

    もう少し絞って言えば、”岩盤クリープを素因として天然ダムや大規模土石流の発生する可能性のある斜面”ということでしょうか
    http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/collapse_r.html

    いずれにしても、ここに発表されている「深層崩壊」の定義については。本当に悲しいかな”深く考えない”ことになっているような気がしてなりません。

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