『DMがきません(その3)』というタイトルにしようと思いましたが、我が意を得たりに近いコラムがありました。大成建設の木内里美氏の記事です。
システムコストが惹き起こす主客転倒
http://it.impressbm.co.jp/e/2010/11/15/3034
これによると、りそなホールディングス(HD)傘下の3銀行が、大学などと提携して通常の教育ローンより低い金利で入学金や学費などの資金を貸す「提携教育ローン」の新規取り扱いをやめた理由が、銀行は所管の経済産業省に業者として登録し、立ち入り検査も受ける。また、カード・信販会社が加盟する信用情報機関に、融資先のローン残高などを定期的に報告しなければならず、新たなシステム構築に数千万~数億円の費用がかかる場合もある。こうした手続きや負担を避けるため提携ローンをやめたケースが多いとみられる、ことだというのです。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20100818-OYT8T00643.htm
これは、いまの土砂災害基礎調査にもそっくり当てはまります。本来、土砂災害の原因となる地すべり・崩壊・土石流といった諸現象は、地形発達史・地質的背景に関する知識・経験を持った技術者が地図を片手に踏査して、地域社会の諸事情も念頭に置きながら考えぬくという”数値化も圧縮も出来ない経験知を用いる調査”です。ところが、いまのやり方は、地すべり・崩壊・土石流といった土砂移動現象にたいしてそれぞれ個別のGISを導入しなければなりません。ですから、”本来の経験”を持っている人も、「地すべりはできません(システムコストがかかるから)」という人も少なくありません。そうしているうちに、本来の経験を持つ未来の人材が失われていくのではないかと懸念されます。
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