先日紹介した「地質と調査」に、『近年の豪雨災害にみる情報防災の課題』という論文がありました。上に示した図は、災害情報共有化をめぐる主なボトルネック と題されています。高齢者を中心にITに触れる機会の少ない方の情報格差の問題や、人間はとかく忘れやすい存在であるため、ソフト対策は根気よく続けなければならないことが指摘されていました。
同じ号に掲載されている(先日紹介した)牛山先生の記事では、『ソフト対策を”なんとなく簡単でかっこよくて、役立ちそうなどど甘くみてはいけない。造りさえすれば効果を発揮するハード対策と異なり、(途中略)整備者、受益者双方が、かなり努力しないと効果を発揮しない、人にやさしくない防災対策である』と述べられています。この論文では、『ソフト対策は「竣工」「概成」と呼べる時点がない』と表現されていました。
渓流や斜面防災に関しては、”何かが起こりそうな気配”のない平常時、斜面・渓流に関心をもち、実際に歩いてみて豪雨でどう動くかをイメージトレーニングして、”さしあたりのハード対策”でも打っておくことが大事と思っています。地震に関しては震度7の体験車などを通して揺れを疑似体験し、まわりのモノがどう動くのかイメージする機会もあります。また、固定していない家具はすぐに倒れますが、さいあたり止め金具でもしておけば相当倒れにくくなります。土石流に関しては、過去に動いた痕跡がどこに、どのように、どれだけ残っているか、崖崩れに関しては表土層がいかに”やわらかい”かを知っておくことで、どういう手を打つべきか、自主防災組織くらいの単位で巡検をしておくのもよいかと思います。日曜大工ならぬ、日曜防災です。そして、私たち専門家がアドバイザーに加わるべきです。
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