2015年1月18日日曜日

岩松先生の文章から

1986年、「片状岩のクリープ性大規模崩壊」という論文を書いたことがある。その中で、宮崎県椎葉村本郷地区の山腹に凸地形(いわゆる胎み出し地形)があり、その下部に末端崩壊がある。この末端崩壊は大規模崩壊の前兆現象であって、やがて崩れるであろうと述べた。その写真を鹿児島大学のホームページ「かだいおうち」にも載せておいた。ところが、2005年9月6日、台風14号により、まさにその場所が大規模崩壊を起こしたと、メールを頂戴した。さて、20年前の予言が当たったとして胸を張って良いのであろうか。過疎地のため、人的被害がなかったからよいものの、もしも人命が失われていたら、恐らく責任を追及されたに違いない。学術雑誌の片隅に書いておいただけで、住民にも行政にも警告しなかったからである。その後、崩壊地頭部に林道が建設されたことも知らなかったが、当然、ルート変更を提案すべきだった。なぜ、積極的に働きかけなかったのか。「やがて崩れる」というだけで時間の目盛が入っていないことが示すように、遠い将来と考えていたからである。活断層の話でも、明日動いても不思議ではないし、1,000年後かも知れないなど言って、地質家はひんしゅくを買っている。われわれの世代の地質学では、人間の寿命のオーダーでの予知予測が出来なかったのである。次の世代の方々にはぜひ土砂災害でも短期予知が可能になるくらい学問を進歩させていただきたいと願っている。
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http://www.geocities.jp/f_iwamatsu/retire/hyperopia.html

岩松先生はこのあとの文章で、若手に託したい夢として
① 切り土地すべり、地震地すべりの研究は依然として必要
② 三次元解析・GPS応用のさらなる発展
③予知予測の精度向上
④ 住民参加、地すべりとの共生
⑤ ロングライフ工法
 
を挙げられています。ロングライフはいま長寿命化としてキーワードになっています。気になるのは、「全国地すべりポテンシャルマップを人工衛星やレーザプロファイラ、GISなどを駆使して研究することが必要であろう。ただし、基本は現地踏査である。」というところ、ハサードマップの整備状況は国土交通白書にも詳しく掲載されていますが”ポテンシャルマップ”となると、、、

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