少し古い記事ですが、治水地形分類図の更新に関する報告がありました。 http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h21giken/program/kadai/pdf/innovation/inno2-03.pdf
しかしながら、現行の治水地形分類図の基図となる1/25,000 の地形図が約 30 年経過していることに加え、・地形と微地形区分が混在していること、・微高地旧河道等の微地形表示が不十分、などの課題があり、現状、あまり利活用されていない状況にあった
と言い切ってしまうところはなかなかできません。私も地形分類を仕事としており、旧河道の判読は平野の災害地形を考えるキーポイントです。そして、最も個人差ができる部分でもあります。それこそ、催眠術といわれたこともあります
後氷期開析前線を提唱した羽田野誠一さんも、あんたにしかみえない、心眼だ、となんども言われたそうですが、地質学の斉一観や斜面の安定(不安定)を診断する観察眼は、”そう思ってみないと”なにも見えません。だから、断層に関する誤判読も必要以上に責めるでなく、むしろそのようなことをあると認めたことを冷静に受け止めるべきでしょう。
2013年3月27日水曜日
17名 - 応用地形判読士
私は受験していませんが、応用地形判読士の合格発表があって、受験番号を数えてみたら二次試験合格者は、17名でした。率に直すと数%でしょうか。17名のうち、4名は応用地形研究部会で知る方ですから、実に濃いメンバーだと思います。
空中写真判読をしていてよく言われるのは人によって解釈が違うので正解がないということです。部会のメンバーと話していたのは、これ資格試験問題をつくることができるのか、、ということでした。であれば、ある程度(せめて20%)くらいは合格者を出さないと資格として衰退する一方、、、登録料も含めると1年で5万円もかかる。認知度もとても低い段階なのに、これだけハードルをあげてしまえば受験者は増えないし、、、応用地質学会誌も投稿が激減しているそうですが、その要因に、ある種の厳格主義があるようです。
空中写真判読をしていてよく言われるのは人によって解釈が違うので正解がないということです。部会のメンバーと話していたのは、これ資格試験問題をつくることができるのか、、ということでした。であれば、ある程度(せめて20%)くらいは合格者を出さないと資格として衰退する一方、、、登録料も含めると1年で5万円もかかる。認知度もとても低い段階なのに、これだけハードルをあげてしまえば受験者は増えないし、、、応用地質学会誌も投稿が激減しているそうですが、その要因に、ある種の厳格主義があるようです。
2013年3月26日火曜日
砂防関係就職説明会
という記事が砂防学会誌65巻6号に掲載されておりました。そのなかで、「将来砂防関係への就職を考えている・少しは思っている」という回答が、”昨年の97%から86%に下がった”という記事がありました。これは下がったいうより殆どかわらんと言った印象です。参加者の専攻分野の83%が農学系であったり、理学部にも案内を出してほしかったという、独特の狭さを何とかするべきでしょう。学部の垣根をとるというよりは、応用地質学会、土木学会、地すべり学会など関連学会などとの合同、都会の斜面問題等に本気で取り組まないと広がっていかないし、そもそも”若手人材育成委員会”と言った時点で若手が入りにくいという逆説もありそうです。
2013年3月22日金曜日
想定と記録
先日南海トラフ地震に関する被害想定が発表されました。
南海トラフ地震:被害想定220兆円 避難者950万人
http://mainichi.jp/select/news/20130319k0000m040015000c.html
一方で、東日本大震災による津波詳細地図が古今書院の書籍や関連学会から公表されています。この津波詳細地図を作成した原口・岩松両先生は、「記念碑の類はいずれ忘れ去れてしまい、あまり役にたちません。正確な科学的事実を残すことこそ、後世の減災につながる」と記されています。
http://www.city.kesennuma.lg.jp/www/contents/1253258421312/files/shinsuimap_coment.pdf
先に述べた被害想定は、科学的ではありますが手法(定量的手法)です。パラメータでいかようになるともいえます。ただ、数字のインパクトは絶大で、既成事実化することもあるでしょう。原口先生の科学的事実は努めて定性的です。でも、政府の被害想定の数字の前にいまひとつ目立たなくなっているような気がします。
南海トラフ地震:被害想定220兆円 避難者950万人
http://mainichi.jp/select/news/20130319k0000m040015000c.html
一方で、東日本大震災による津波詳細地図が古今書院の書籍や関連学会から公表されています。この津波詳細地図を作成した原口・岩松両先生は、「記念碑の類はいずれ忘れ去れてしまい、あまり役にたちません。正確な科学的事実を残すことこそ、後世の減災につながる」と記されています。
http://www.city.kesennuma.lg.jp/www/contents/1253258421312/files/shinsuimap_coment.pdf
先に述べた被害想定は、科学的ではありますが手法(定量的手法)です。パラメータでいかようになるともいえます。ただ、数字のインパクトは絶大で、既成事実化することもあるでしょう。原口先生の科学的事実は努めて定性的です。でも、政府の被害想定の数字の前にいまひとつ目立たなくなっているような気がします。
2013年3月15日金曜日
社内高齢化とある「習慣病」
先日ある会社の方と、社員が高齢化しているという話になりました。聞けば80人前後の社員の平均年齢が47歳に達するのだとか。これは、いわゆる失われた20年の間に、不景気のため若い人の採用を控えたことや、そもそも若い人がこの業界に魅力を感じなかったことなどいろいろあるでしょう。しかし、その方がさらに言ったひとことで、気付かされたことがありました。
「このままでは毎年、ほぼ1年づつ物理的に平均年齢があがってしまう」
その話を聞いた帰りにAmazonからのメールで、【習慣病」になったニッポンの大学―18歳主義・卒業主義・親負担主義からの解放 (どう考える?ニッポンの教育問題】
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4284304453/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
という本が紹介されました。この本の著者は別の論考で、「日本的特質は、「18歳主義」「卒業主義」「親負担主義」の3つであり、この3つが、日本的家族システムの影響を強く受けて、ワンセットになっている。加えて、この日本的大学が、日本的雇用システムと深く連動している。つまり、日本の大学と新人は、日本的家族と日本的雇用に羽交い締めにされ、身動きが取れなくなっている。と述べておられますが、この状態でマニュアルやシミュレーションで自然現象に対する見方・観察眼をさらに羽交い絞めにされてしまったら、平均年齢を下げたところで思考が柔軟にならないということにもなりかねません。しなやかな樹は根っこからというところでしょうか。
「このままでは毎年、ほぼ1年づつ物理的に平均年齢があがってしまう」
その話を聞いた帰りにAmazonからのメールで、【習慣病」になったニッポンの大学―18歳主義・卒業主義・親負担主義からの解放 (どう考える?ニッポンの教育問題】
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4284304453/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
という本が紹介されました。この本の著者は別の論考で、「日本的特質は、「18歳主義」「卒業主義」「親負担主義」の3つであり、この3つが、日本的家族システムの影響を強く受けて、ワンセットになっている。加えて、この日本的大学が、日本的雇用システムと深く連動している。つまり、日本の大学と新人は、日本的家族と日本的雇用に羽交い締めにされ、身動きが取れなくなっている。と述べておられますが、この状態でマニュアルやシミュレーションで自然現象に対する見方・観察眼をさらに羽交い絞めにされてしまったら、平均年齢を下げたところで思考が柔軟にならないということにもなりかねません。しなやかな樹は根っこからというところでしょうか。
2013年3月11日月曜日
あの日の今頃
丹沢の現場を午後五時過ぎに出発しました。凄まじい渋滞、壊滅、M8.8(後9.0)、悲しいニュースを淡々と繰り返すカーラジオ、、いま2330ですが、あの日の今頃はようやく横浜市内をのろのろと走っておりました。家路につく凄まじい人波に、あたらめて東京一極集中の怖さを感じました。これは防災に対する考え方、価値観の大転換が起こると予感していました。
でも実際のところは、"防災に関わる事業”がナンボでもでてきて、明らかに忙しくなりました。予算を工期内に消化するという事業のあり方はかわっていません。ただ、忙しいなかでも個人から依頼は増えたし、問い合わせてこられる方のリテラシーも増えました。やりがいのある仕事も、ぼちぼち増えてきました。
でも実際のところは、"防災に関わる事業”がナンボでもでてきて、明らかに忙しくなりました。予算を工期内に消化するという事業のあり方はかわっていません。ただ、忙しいなかでも個人から依頼は増えたし、問い合わせてこられる方のリテラシーも増えました。やりがいのある仕事も、ぼちぼち増えてきました。
2013年3月10日日曜日
2013年3月1日金曜日
東大の地理の入試問題
昨日有名大学の入試問題が掲載されていました。そのなかで東京大学の地理の問題に、興味深いものがありました。ある意味、今流行の”深層崩壊”に関する問題です。
問題:http://nyushi.yomiuri.co.jp/13/sokuho/tokyo/zenki/chiri/images/mon.pdf
解答例:http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/tokyo/zenki/chiri/images/kai.pdf
http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/13/t01-53a.pdf
解答例はいくつかあるでしょうけれど、日経新聞社の解答例の方がオーソドックスでしょう。ちなみに、この問題に使用された地形図は、1984年長野県西部地震によって発生した木曽御岳伝上崩れです。ただ、この問題は文系学部用の問題であって、私達の業界に入ってくるような学生が受験してはいないでしょう。そして、防災の面で、このような低頻度大規模災害にどのように対処するかは、まだ解答がえられていません。
問題:http://nyushi.yomiuri.co.jp/13/sokuho/tokyo/zenki/chiri/images/mon.pdf
解答例:http://www.yozemi.ac.jp/nyushi/sokuho/recent/tokyo/zenki/chiri/images/kai.pdf
http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/13/t01-53a.pdf
解答例はいくつかあるでしょうけれど、日経新聞社の解答例の方がオーソドックスでしょう。ちなみに、この問題に使用された地形図は、1984年長野県西部地震によって発生した木曽御岳伝上崩れです。ただ、この問題は文系学部用の問題であって、私達の業界に入ってくるような学生が受験してはいないでしょう。そして、防災の面で、このような低頻度大規模災害にどのように対処するかは、まだ解答がえられていません。