噴火というものは、風上と風下とでは、まさに天国と地獄の差がある
生れて初めて空からバラバラと降ってくる火山礫を見たとき、私たちはみんな外に飛び出して、ワイワイいいながらわれ先に珍しい火山礫を拾った。しかし、間もなく歓声は、悲鳴に変わっていった。降灰礫はさらにどんどん続いた。そして雨になった。雨混じりの火山灰は、空から生コンが降ってくるようなものだった。車という車は、みんなフロントガラスをやられ使えなくなっていた。
それにしても、除灰とは除雪の何倍も困難なものである。大体、重量が違うし、ドロドロで雪のようにあっさりしていない。それでも日ごろ除雪の経験体制があったから迅速な除灰も可能なのだった。それにしても、八日、一晩中は住民は生きた気もしなかったろう。バラバラとしじゅう火山礫が降りつづき、中には屋根を貫通してくるものもある。私たちは、避難命令を出すにも出せない。道路が通れなかったからだ。』
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