2014年1月11日土曜日

地形判読記号 - 一般斜面にこそ災害要因があるのに

応用地形判読士関連ですが、地形判読記号の事例が掲載されていました。

http://www.zenchiren.or.jp/ouyouchikei/chikeihandoku.pdf

凡例の書き方については個人差があるので、これで一般的かどうかは分かりませんが(みているとどうも今村氏の1970年代半ばの応用地質学会誌に掲載された論文に似ているような気がする)、どうも斜面地形において違和感があります。

例えば、遷急線は△の記号を付与することになっています。私の周辺にいる方は、土木地質に深く関わっている方がこれに近い記号を使う傾向にあります。おそらく遷急線の奥に露岩や地質・岩相の境界をみているので断片的な分布になるのでしょう。

ところが、私のように地理・地形屋は最終氷期後半の”連続的な地形変化”を”追跡”しようとする者は、遷急線は連続するものと考えます。したがって、△マークをつけていると手が疲れて仕方がありません。よって、ケバを”ちょんちょん”とつけます(新しい時期の侵食前線は2本ケバ、古い遷急線は1本ケバなど)。

そして、この事例では、一般斜面は記号を表示しないと書いてあります。一般斜面ってなんでしょうか。おそらく遷急線下部で崩壊地でも地すべり地でも崖錐でもない斜面といいたいのでしょうが、実はそこに”崩壊予備物質”があるといえないでしょうか。ここに掲載されている地形記号(記号とはまさにある程度定着して化石となり過去形である)、災害が発生してしまった後の状態を表していて、実は災害要因は一般斜面にこそあるのではないでしょうか。

そうすると白い部分のない地形判読図を作らなければならなくなるので大変ですが、なにも書かなくてよいといってしまうと見えるものも見えなくなってしまいそうです。

私は昨年度の応用地質学会で、この点をなんとか解決しようと思ってポスターセッションしました(相当うまくやらないと見苦しいことを実感しました)


http://www.kankyo-c.com/topics/2013oyogakkai/p21_01.jpg
また、白い部分のない地形判読図に近いイメージとして、以下のような論文も見つけました。

仙台周辺の丘陵地における崩壊による谷の発達過程 宮城豊彦、地理学評論Vol. 52 (1979) No. 5 P 219-232 この論文の第3図が近い(ただし、広域で作成するのはとてもしんどい)

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