三保の松原が世界遺産に登録されました。観光客も増えて警備員も増員するのだとか。もちろん富士山の見え方とセットなのですが、灯台下暗しとならないよう、三保の松原の地形・表層物質がどのようなものか、文献を調べてみました。
吉河秀郎・ 根元謙次(2008):静岡県清水海岸沖の表層 堆積層の分布 と土砂移動の変遷史
海岸工学論文集,第55巻,土木学会,601-605
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00008/2008/55-0601.pdf
usa_hakaseのツイッター(ユーエスエーではありません)
http://togetter.com/li/498350
報道レベルでは、あまり安倍川からの土砂供給について言及されません。吉河・根元(2008)は、海底の音波探査結果やト レンチ調査、年代測定結果から、S3層最上部は台風の暴浪時より大き
な営力を持っ海岸から沖方向へのマスムーブメン トによって形成 された、その時期は西暦1730~1810年頃と推定されるとしています。
それは、1707年の宝永地震とその津波、富士山噴火、安部川源流の大谷崩れによる大量土砂供給という一大イベントを意味します。三保の松原の土台はこのような、富士山そのものの形成過程と密接に関わる自然現象によって形成されているのです。
そして、砂防や治山工事、砂利採取によって、土砂供給が減り、海岸侵食が始まり、『景観』で部物議をかもす消波ブロックの造成へと繋がっていきます。
三保の松原は文化的価値だけでなく、地形・地質遺産の意味合いからも、防災・環境保全を考える必要があります。
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