砂防学会でも地すべり学会でも東日本大震災をうけ、海溝型地震と斜面災害との関連を議論する場が設けられています。前にも書きましたが、東日本大震災はその規模に対して斜面災害が意外なほど少ないというのが事実だと思います。紀伊半島でも東南海地震でも大規模な斜面崩壊・地すべりが発生した、、とは聞きません(それよりも明治と平成の十津川水害です)
さて、海溝型地震に対して砂防の立場から議論するのであれば、海岸砂防の議論はどうでしょう。飛砂防止、海岸侵食防止、景観保全、防風林としての機能があり、砂防にしては人目につくにも関わらず、マイナーであったような気がします。
これに関して、参考になるブログがありましたので、勝手ながら引用しておきます。
「白砂青松」の功罪---「震災の社会哲学」に向けた一つの試み
http://hiroshige724.blog22.fc2.com/blog-entry-124.html
このように、広葉樹の機能に関する点で、小田氏と宮脇先生の見解は一致しています。ただし、小田氏の全体的な主張は、「白砂青松」と呼ばれる景観を、防災に留意しながら可能なかぎり維持していこうという立場です。したがって宮脇先生の「常緑広葉樹主体の防災林を!」という立場とはかなり隔たりがあります。
しかしながら、防災林の再生は、地質や気象条件、地形などによってきわめて多様なものとならざるを得ないでしょうし、何より地域の人たちがその姿を主体的に決めていくべきものです。その際には「前線部分は景観を重視してクロマツの純林とし、内陸部は防災機能を効果的に発揮させるための上層クロマツ、下層広葉樹の複層とすべき」(241-2)という小田氏の提案も検討に値するでしょう。ただし小田氏自身が認めておられたように、「複層林として維持していくにはかなり濃密な管理が要求される」(242)ため、コストの面も含めれば一般的な指針としては宮脇方式のほうに一分の理があると、筆者個人は考えています。
いずれにしましても、現在、こうした反省を踏まえ、林野庁の「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会」(座長・太田猛彦東大名誉教授)でも、その中間報告(2011年7月)において、「植栽木については、マツだけでなく、広葉樹についても考慮し、これら苗木の供給体制とともに地域住民等の参画による植栽や保育等についても検討すべき」と報告されています(※5)。それは今回の津波に学び、従来の価値観からの転換という意味も内包する、新しい人と自然とのかかわりかたへ向けての意義ある提言だと評価できます。今後は私たちがそれを、どこで、どういうかたちで具体化していくかについて考えていくことが求められているといえるでしょう
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