2011年10月31日月曜日

岩松先生の記事より - 予測が当たればよいのか -

少し前の岩松先生の記事を引用します。

http://www.geocities.jp/f_iwamatsu/retire/hyperopia.html
 1986年、「片状岩のクリープ性大規模崩壊」という論文を書いたことがある。その中で宮崎県椎葉村本郷地区の山腹に凸地形(いわゆる胎み出し地形)があり、その下部に末端崩壊がある。この末端崩壊は大規模崩壊の前兆現象であってやがて崩れるであろうと述べた。その写真を鹿児島大学のホームページ「かだいおうち」にも載せておいた。ところが2005年9月6日台風14号で、まさにその場所が大規模崩壊を起こしたとメールを頂戴した。

 実はこのメールを出したのは私です。もう5~6年前になるでしょうか。岩松先生はさらに以下のように続けておられます。

さて、20年前の予言が当たったとして胸を張って良いのであろうか。過疎地のため、人的被害がなかったからよいものの、もし人命が失われていたら恐らく責任を追及されたに違いない。学術雑誌の片隅に書いておいただけで住民にも行政にも警告しなかったからである。崩壊地頭部に林道が建設されたことも知らなかったが、当然ルート変更を提案すべきだった。なぜ、積極的に働きかけなかったのか。「やがて崩れる」というだけで時間の目盛が入っていないことが示すように、遠い将来と考えていたからである。

 先日の応用地質学会でも平成の十津川災害に対し、事前の判読結果があたったか否かという会話が飛び交っておりました。地震にしても「やがておきる」というあやふやな時間軸のなかで、自分の人生のうちには来ないだろうというバイアスも働き、、と言っていたら堂々巡りになりそうです。
 岩松先生の提言のなかで、以下のようなものがありました。

④ 住民参加、地すべりとの共生 
 住民が判断できる資料を提供し、住民が参加できる対策の立案などを行うことが重要である。住民に居住地の危険性を知ってもらうことで、対策工の選定に住民の意見が反映でき、アンカーに受圧盤と言った高価で景観的にも配慮しない構造物を作る箇所が減る可能性があるのではないだろうか。

⑤ ロングライフ工法 
 高度成長期に造ったコンクリートや鉄骨の構造物が一斉にメンテナンス期に差しかかり問題になっている。将来的にはメンテナンスフリーの工法を開発する必要があろう。
 
 ④は相変わらず、⑤はこれからの防災技術の大きなテーマでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿