平川一臣先生の研究グループが、気仙沼で去約6000年間で6回の大津波に襲われたことを示す地層を発見したとの記事がありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110822-00000003-khks-ent
平川氏は4月、津波の痕跡高調査で大谷海岸を訪れた際、切り立った崖に津波で運ばれた海岸の石などの堆積物の層を発見した。
湿った黒土層や泥炭層が重なる幅約7メートル、高さ約2.5メートルの範囲に、6層の津波堆積物を確認。上から5層目の下に5400年前ごろの十和田火山噴火による火山灰の層があり、火山灰の下の6層目の痕跡を約6000年前と推定した。
見つかった土器の年代から、3層目は約2000年前の津波による堆積物と特定。津波堆積物の間の黒土層の厚さを基に、平川氏は最も上の層は1611年の慶長三陸津波、2層目は貞観地震津波と推測する。 十和田火山は915年にも噴火しており、2層目より上にこの火山灰が確認されれば、2層目は貞観地震津波の可能性が高くなる。目視では火山灰と思われる物質があったという。
岩手県宮古市田老の標高約17メートルの谷底でも、過去の津波堆積物を調査。まだ年代の決め手はないが、津波堆積物の一つは貞観地震津波の可能性もあるという。
平川先生は、このほかにも津波堆積物の研究をされており、伊豆半島の南端で安政東海地震時の津波堆積物の痕跡と思しき堆積物の調査もされています。
伊豆半島南端の入間に伝承された1854年安政東海地震による津波堆積物の掘削調査,歴史地震 (24), 1-6, 2009
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_24/HE24_001_006_01Fujiwara.pdf
平川先生は、気候地形学の大家でもあり、私は学生時代にどちらかといえば氷河地形・週氷河地形で平川先生の論文を読み、勉強していました。私たちが「災害」と呼んだり「恩恵」と呼んだりしている自然現象は、第四期の気候変動・地殻変動の賜物なのですが、時間軸が人間のライフサイクル(何より防災に関わる予算のサイクル)を大きく超えているので、なかなか防災対策・土木工学に生かされなかった側面はあると思います。東日本大震災を契機に、この自然観のギャップを小さくしなければならないのでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿