新藤先生の四方山話に次の一節があります。
http://www.jkeng.co.jp/file/column002.pdf
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広葉樹林の“緑のダム”効果はスギやヒノキなどの人工針葉樹林のそれより勝っている、という考えも短絡的といえる。すなわち、インプットである降水とアウトプットである流出との間には植生環境以外に、土壌・地形環境が存在し、むしろこちらの方が本質的であるといってもよいのである。九州大学名誉教授の竹下敬司氏は、長年にわたる森林水文に関する研究をまとめられた著書の中で次のように述べている。『最近、“みどり”の標語と共に植生への関心が高まっているのであるが、植生機能の理解に際して、買いかぶり、見くびり、解釈の正誤等があって、必ずしも正当な情報が流れていない。』と述べ、さらに『人工林樹種を非難するのとは反対に、気に入られた広葉樹については、機能の買いかぶりがなされている場面も少なくないようである。スギ林を伐り倒して、広葉樹に植え替えれば、水源涵養機能が高まり、崩壊防止機能も高まる・・・と信じている人々の主張を前にして、か弱い下草の機能を強調しても、ムード的に理解して貰えない場合が少なくないようである。』と述べ、偏見や誤解が多いことを指摘している。
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確かに「緑」とか「エコ」とかいうイメージ先行の言葉が議論を少なくしている感は否めません。先生も指摘されているとおり、地形・地質・土壌といった”うつわ”が水・間隙水圧に対してどのように作用するか、総合的に考えなければいけません。
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