先日のブログで紹介した「摩擦の話」を買ってみました。もう絶版なのでアマゾンで買いました。
斜面と防災・別記
http://blog.goo.ne.jp/geo1024/e/da25b5a4a074fffb620b0fc7da0f5c20
なんと1971年6月の出版ですから、私が生まれる4ヶ月前の本です。しかし、シンプルで読みやい文体、スケッチ、身近な事例が盛り込まれており、それこそ摩擦なくすいすい読む事が出来ます。面白い事例としては、「もしも摩擦が存在しなかったら」という仮定で、富士山の話がありました。
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手もとに美しい富士山の遠景の絵はがきがある。富士田の頂上付近の斜面は岩のかけらぎているから、この頂上付近の角度を絵はがきの上ではかってみると、125度ぐらいである。したがって斜面の平均の角度は28度くらいで、砂時計の実験結果とあまりち温い。
この角度がなにできまるかは固体粒子のあいだの摩擦の問で給ある。砂や岩の堆積が内部ですべるとき、すべり面の個々の砂や岩はすべったりころがったりして複雑だるう。しがし、いますべるものと簡単に考えれ、この角度が30度くらいというのは砂や岩のかけらあいだの摩擦角にほかならないのである。とすればtan30°=0.577というのが砂や岩のだの摩擦係数の統計的平均値だということになる。
砂時計の実験から富士山の形を摩擦の問題として砂や石ころの堆積物に類似させることは、いささか秀峰富士の尊厳をきずつけるようであるが、石ころの山である以上、富士山といえどもだいたい砂時計みたいなものなのであり、こんなところに思わぬ共通原理が示されるとこるが自然科学の法則のおもしろさなのである。
すこし話が脱線したが、要するに摩擦がなくなったらたいへんなことになる。万有引力がなくなるとか、地球が他の天体に衝突するとかいう想定に劣らない、格好のSFのテーマになろう。
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私は地すべりや土石流の発生メカ二ズムを考えるのが仕事でもあります。この本の124ページに、金属表面の構造という図が示されていますが、これ、単位を消したらどこかの地層のスケッチといわれてもわからないなあという印象です。まだ、読みかけなので、しっかりと読んでみたい本です。
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