2014年7月13日日曜日

地形判読のメリット -応用地形判読士雑感(1)-

 今年の応用地形判読士の問題で、千屋断層、阿寺断層、跡津川断層、山崎断層のうち、横ずれの顕著でないものはどれか、というような問題が出題されました。おそらく、東北の奥羽山脈を造る千屋断層が、縦ずれの変位が顕著であるといいたいのでしょう。

 しかし、この問題(単なるクイズ)に正解できたからといって、社会基盤整備に役に立つ技術と、なんの繋がりがあるでしょう。

 例えば、王、長嶋、松井、イチロー各選手のうち、比較的ホームラン性の打球の卓越しない選手は誰でしょうと聞いているようなもので、ホームランを打つために必要な技量・体躯、駆け引き等々、本質的な「技術」を「論」じる問題ではないことはわかるでしょう。

 断層の横ずれに関する知識を問うのであれば、判読する際に、なにに着目しているか。例えば、尾根や谷の系統的なずれ、丘陵や山地の斜面が切り離されたオフセット、断層の両側に対面する三角末端面、断層線谷、断層鞍部、谷の屈曲の累積変位など、いろいろ「断層運動の本質」にかかわる現象があります。
 これらを読図でわかるためには、河床縦断が指数関数に近い”正常な”谷や斜面の連続性など、地形発達を読み解かなければなりません。さらには、横ずれ断層の末端部では応力が集中しやすいこととか、断層の分岐(フラワー構造)が形成されやすいことに触れたうえで、跡津川断層と立山トンビ崩れの関係を問うなど、地形災害の本質の理解を進めるような問題であれば、間違えた人も納得できるはずです。

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