いま仕事でも学術論文でも、報道でも「深層崩壊」が一種のはやりのような状況です。私が学生のころ、あるいは20代のころは、主に大規模崩壊という言葉を使っていたし、上司は地すべり性崩壊、基岩崩落、破砕帯地すべりなど、さらにいろんな言葉を使っておりました。
そんななか、高知大学の横山先生の論文でこのような斜面崩壊や土石流という言葉について詳しく解説されていました。
横山俊治・ 村井政徳・中屋志郎・西山賢一・大岡和俊・中野 浩
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/112/Supplement/112_Supplement_S137/_pdf
小出(1955)の定義による破砕帯地すべりは今日の知識からすれば付加体分布地域で多発している.破砕帯地すべりは地すべり性崩壊であると小出(1955)が記述しているように,崩壊時に破壊された地すべり移動体は山津波となって谷を流下し,しばしば末端では河川を堰き止める.見学地である阿津江の事例には,このような破砕帯地すべりの特徴がくまなく現れている.
さらに、土石流については「研究」「行政」「社会」「言語(辞典)」のそれぞれの分野について、どのような言葉が用いられてきたか、歴史がまとめられていました。それによると、「社会」「言語」分野では1980年代から使われるなど、意外と歴史が新しいなといった印象です。逆に研究レベルでは1920年代から土石流が使われています。横山先生の論文では、2004年の災害時に流木と大量の水を巻き込んだことによって、土石流の水位が堆積物の数倍に及ぶことを明らかにした上で、「土石と流木と水からなる混合物」を山津波と呼ぶとされています。
現在”はやっている”深層崩壊という用語は、ここまで現象論・成因論を踏まえているかというと、、、、、
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