2011年7月6日水曜日

防災格言より-地震の巣

 格言は著書『新・地震の話(岩波新書 1967年)』より。


 最近、耳にする機会も多い「地震の巣」という言葉は、坪井忠二教授が初めて提唱した言葉(造語)である。曰く―――『 地震の震源のかたまりというのは、いわば都市みたいなものである。かたまりがあって、そして、その間にはすき間もある。さて、この震源のかたまりに何という名前をつけたらよいであろうか。いろいろ考えてみたのだが、けっきょく地震の巣というのがいちばん適切なようである。病気に病巣ということばがあるが、あの巣である。
 地震の巣という新しいことばを発明して、それを使うことにするならば、日本における震源の分布は次のようにいいあらわしてよい。東北では地震の巣は大きく厚く、三十-四十キロメートル程度の深さをてっぺんとして、もっと下の方にまでひろがっている。これに対して西南では、地震の巣は小さく、地表から三十-四十キロメートル程度の深さのところまでに納まってしまっている。

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