2010年12月26日日曜日

テフロクロノロジーによる斜面発達史

 Googleアラート”地すべりで、徳島大学機関リポジトリに掲載されている論文が届きました。著作権の関係で、最新ではなく2008年の論文です。

 テフロクロノロジーによる徳島県神山町の高根地すべり,東大久保地すべりの発生時期の推定
 http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/repository/metadata/62128
 
 この論文では、ATの降下前後に初生地すべりが発生、K-Ah堆積時までにも大きな変動があったことが明らかにされています。また、砂防学会誌にも、テフロクロノロジーを用いて斜面変動履歴を試みた論文がありました。

 深層崩壊発生危険地におけるテフロクロノロジーによる斜面変動履歴の解明 - 宮崎県鰐塚山の2005年崩壊地周辺 - ,砂防学会誌,Vol63,№2,2010

 こちらの論文では、7300年前に降下したアカホヤ火山灰の堆積状況から、アカホヤ降下堆積時の土層断面が安定している箇所や、二次移動している箇所、その後削剥された箇所などの関係から斜面安定度が検討されています。

 調査手法や目的は同じといってもいいのですが、”地すべり”と”深層発生危険地”という言葉が使い分けられています(宮崎の鰐塚山の判読をしたことはありますが、土塊の原型がのこって”地すべり”という言葉がぴったりの場所もあります)。斜面の地形発達史は私の研究テーマでもありますが、こういった研究を科学的、客観的に評価し、リスクマネジメントに反映されればよいと思います。事業をやるための単純化された理由付けされるのは先細りの始まりですから。最近調査のための調査が多いので、特にそう感じます。

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