2010年11月9日火曜日

釜井先生の講座から(3)

最近の動向
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 これまで地すべり対策の現場では,土質試験結果はあまり使用されてこなかった。その背景としては,ともかく目前の災害に対処することが求められていた事,均質材料(単一すべり面強度),代表断面(二次元解析)を前提とした古典的な土質力学的手法が,地すべりの現実とかけ離れていた事が挙げられる。こうした状況を改善するには,地盤の不均一性を前提とした不安定化機構の理解が必要である。地盤の構造(地質)や地学的プロセスを考慮した不安定化(破壊)機構の理解が重要な意味を持つと思われる。
 そうした試みの一つとして,順算による三次元安定計算の事例がある。すべり面の場所(頭部,底部,側部)や地質によって異なる上質試験結果を適用したところ,妥当な安全率が求められた。これらの解析では,側部抵抗の割合は全体の10~50%に達しており,適切な解析のためには,側部抵抗の評価が重要であることが示された。
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