これもよく使う言葉です。地形学の大家、貝塚爽平先生が、地質構造を強く反映した言葉として「構造地形」とされていたものを、第四紀の地殻変動を反映して、変動地形と組織地形という言葉に分けようと提唱されたのだそうです。
鈴木隆介先生は、「組織地形」では「気候地形」と同様にあいまい、地形の組織とは「地表を構成する岩石物質、つまり組織物質」を示すとすれば、すべての地形はなんらかの組織地形であるとされてた上で、差別削剥地形という言葉を用いられています。
2014年5月23日金曜日
2014年5月15日木曜日
扇状地 という用語
地形用語で最も一般的な用語の一つと思います。甲府盆地等を代表例として、教科書にもよく登場します。春や新緑の季節になると、果物の花が咲き、脊梁山地の風景とともに美しい景色の土台を作っています。
鈴木先生の読図入門では、扇状地の特徴をすべて列記するならば
「谷口緩傾斜凹型尾根型河成砂礫堆積現成面」 となるとされています。天竜川のように5eの古いさでも巨大な扇状地として地形面が残っている場合は、現成→段丘面となるのでしょうか。”扇”になっていなくても”扇状地的な堆積環境”という言葉は聞いたことがあります。このほか崩積土とか組織地形とか、いまひとつあいまいに使っている用語がありますので、自分の勉強を兼ねて整理していきたいと思います
鈴木先生の読図入門では、扇状地の特徴をすべて列記するならば
「谷口緩傾斜凹型尾根型河成砂礫堆積現成面」 となるとされています。天竜川のように5eの古いさでも巨大な扇状地として地形面が残っている場合は、現成→段丘面となるのでしょうか。”扇”になっていなくても”扇状地的な堆積環境”という言葉は聞いたことがあります。このほか崩積土とか組織地形とか、いまひとつあいまいに使っている用語がありますので、自分の勉強を兼ねて整理していきたいと思います
2014年4月17日木曜日
あの日わたしは(4)
○2011年4月29日
東日本大震災では、液状化現象も多数発生しました。上司が千葉県の稲毛海岸の液状化が特徴的な分布をしているというので、調査に同行させてもらいました。埋立地の旧河道というべき澪筋に液状化が集中し、1987年千葉県東方沖地震でも類似した傾向があることが分かりました。やっていることは空中写真や旧版地形図の判読、現地調査にヒアリング、微地形分類図の作成と、卒論とまったく同じです。やはり、現地を歩き写真と古地図といった定性的な情報の記載、モデリングが原点であるという思いを新たにしました。この思いは、応用地質学会誌vol54,№2に投稿した報告で「現行の地形分類では「埋立地」と一括されることが多いが(中略)地形発達史的背景や土地利用履歴、地質情報との関連を明らかにすべき」という結びに込めました
東日本大震災では、液状化現象も多数発生しました。上司が千葉県の稲毛海岸の液状化が特徴的な分布をしているというので、調査に同行させてもらいました。埋立地の旧河道というべき澪筋に液状化が集中し、1987年千葉県東方沖地震でも類似した傾向があることが分かりました。やっていることは空中写真や旧版地形図の判読、現地調査にヒアリング、微地形分類図の作成と、卒論とまったく同じです。やはり、現地を歩き写真と古地図といった定性的な情報の記載、モデリングが原点であるという思いを新たにしました。この思いは、応用地質学会誌vol54,№2に投稿した報告で「現行の地形分類では「埋立地」と一括されることが多いが(中略)地形発達史的背景や土地利用履歴、地質情報との関連を明らかにすべき」という結びに込めました
2014年4月15日火曜日
地すべり地形学図- これこそ応用地形判読
応用地質学会環境地質研究部会の例会に参加してきました。そのなかで、専修大学地理学教室の苅谷愛彦先生のご講演があり、北部飛騨山脈の地すべり地形学図というA0版資料を頂きました。先生のホームページや学会誌にも発表されていました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography/122/4/122_122.768/_pdf
かつて氷河・周氷河作用で形成されたと考えられていた堆積性の緩斜面が、実は地すべり・マスムーブメントによって形成されていることが多いということを中部山岳地域を中心に研究されています。形成時期は後氷期に多いようです。
(応用地形判読士の問題では”あえて”いろんな地形要素を読ませようとしていると感じますが、地滑り、重力変形地形の問題一つとっても第四紀後半の地殻変動・気候変動を理解しないと詳細な分類図は作成できません。ですから、重箱の真ん中を出題してもいいと思います)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography/122/4/122_122.768/_pdf
かつて氷河・周氷河作用で形成されたと考えられていた堆積性の緩斜面が、実は地すべり・マスムーブメントによって形成されていることが多いということを中部山岳地域を中心に研究されています。形成時期は後氷期に多いようです。
(応用地形判読士の問題では”あえて”いろんな地形要素を読ませようとしていると感じますが、地滑り、重力変形地形の問題一つとっても第四紀後半の地殻変動・気候変動を理解しないと詳細な分類図は作成できません。ですから、重箱の真ん中を出題してもいいと思います)
2014年4月6日日曜日
あの日わたしは(3)
○2011年3月11日
仕事で丹沢山系の防災施設点検を行っていました。丹沢山系というのは神奈川県北西部の山地で、1923年9月1日の関東大震災で多数の谷壁斜面が崩壊し、その後砂防堰堤も造成されました。凝灰角礫岩の風化・破砕が顕著であり冬の北風で落石のパラパラという音が聞こえるほどですが、砂防堰堤の築造されている場所は新鮮岩が露出する箇所にあり、80年以上経過しても健全な状態を保っている。名工は地形・地質をよく見ているという格言を実感しました。インフラの維持管理が声高に叫ばれる昨今ですが、古いから傷むという単純化された考え方が支配的です。そうではなく、歴史的建造物や古民家など何度も大地震・風雪に合いながらも立派に耐えているのは、その土地の地理的条件に応じた建築技術が用いられているからです。
話を“その日”に戻します。午後5時頃携帯電話の電波が通じる場所まで車を走らせ会社に業務連絡をしようにもつながりません。すると九州の兄から安否を確認する電話があり、車のラジオをつけて何が起こっていたかを知りました。
仕事で丹沢山系の防災施設点検を行っていました。丹沢山系というのは神奈川県北西部の山地で、1923年9月1日の関東大震災で多数の谷壁斜面が崩壊し、その後砂防堰堤も造成されました。凝灰角礫岩の風化・破砕が顕著であり冬の北風で落石のパラパラという音が聞こえるほどですが、砂防堰堤の築造されている場所は新鮮岩が露出する箇所にあり、80年以上経過しても健全な状態を保っている。名工は地形・地質をよく見ているという格言を実感しました。インフラの維持管理が声高に叫ばれる昨今ですが、古いから傷むという単純化された考え方が支配的です。そうではなく、歴史的建造物や古民家など何度も大地震・風雪に合いながらも立派に耐えているのは、その土地の地理的条件に応じた建築技術が用いられているからです。
話を“その日”に戻します。午後5時頃携帯電話の電波が通じる場所まで車を走らせ会社に業務連絡をしようにもつながりません。すると九州の兄から安否を確認する電話があり、車のラジオをつけて何が起こっていたかを知りました。
2014年3月2日日曜日
道路防災点検と地形
応用地質学会誌にも報告されていましたが、いま道路防災点検が再び脚光を浴びています。しかし、昔から思っているのですが点数の高い斜面は崩壊しなくて、中途半端な点数のところが崩壊します。また、資料には事例となる写真が多く掲載されていますが、ベストショットを苦労して集めたと思います。 高精度地形図と土検棒でなんとかしたいところです。
http://www.geocenter.jp/lec-road/docs/anteido1.pdf
http://www.geocenter.jp/lec-road/docs/anteido1.pdf
2014年2月8日土曜日
地すべり学会誌の論文から
最新の地すべり学会誌第51巻1号が届きました。興味深かったのは、伊藤陽司他:活動地すべりの時系列判読による地すべり斜面の活動性評価 という論文です。ありったけの空中写真を判読し、地すべりの運動様式や頻度、形態について詳細に分類された研究で、オーソドックスであり定性的でなものです。釜井先生は「地すべり地形を調べるもっとも強力な手段は空中写真判読であることに変わりはない」と述べておられますが、それを根気よく実証された論文だと思います。定量化はやりの近年では、このような論文が逆に新鮮に感じられるほどです。
応用地形判読という意味では、活動性の高いの判定された斜面領域での後氷期開析前線とのや周辺部侵食との関係などを明らかにしてみたいところです。
応用地形判読という意味では、活動性の高いの判定された斜面領域での後氷期開析前線とのや周辺部侵食との関係などを明らかにしてみたいところです。
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