2011年6月29日水曜日

書類で災害は防げない

 神奈川新聞に衝撃的な内容の本が紹介されていました。

 キャリア妨害 ある公立大学のキャリア支援室での経験
 http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4862234836/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
 以下、カスタマーレビューから引用。パンや飲み物にも見積書がないと購入できない。膨大な起案、ハンコ、手待ち時間、ミスを恐れる事なかれ主義であり、あらゆる新しい試みが不可解な理由により反対されてしまう

 防災の分野でも似たような部分があります。がけ崩れや土石流の防災にしても、書類の山、安定解析の数字合わせ、、医学では当然の、悪い部分に集中治療、投資するという原理が成り立たない。東日本大震災の対応の”隔靴掻痒”ぶりもしかり。これはやはり、民需の低さ(競争原理のなさ)ともいえるでしょう。でも、この3.11に生じた価値観の変化を我々技術者が見逃さないようにしなければいけないのでしょう。

2011年6月28日火曜日

今日九州で発生した地震

 今日の午後9時半ごろ、熊本県の北部で震度4の地震がありました。震源をみると、周囲の活断層のリニアメントの真ん中、ノーマークになりやすいところでした。

 http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/kyushu-okinawa/p43_kumamoto.htm

 熊本県では、布田川・日奈久断層が最もリニアメントの目立つ断層で、実際に歴史地震も何度かあるようです。しかし、今回のように”一見目立たない場所”での活動は、不気味です。

2011年6月26日日曜日

ブランチブロック

 今日のTBSの番組で、ブランチブロック工法が紹介されていました。

 http://www.kikkouen.com/bbb/bb.html
 ブランチブロック工法の理念地表面の土が流失せずに地形が保たれているのは、植物の根によって土壌が緊縛されている、すなわちルートマットが形成されているためです。植物は空気・水・太陽光で光合成を行い、地球上全ての生命を育んできました。ブロンチブロック工法は天然素材の石を使用し、ブランチブロックによって石積を一体化させる土木構造物ですが、ヒントは植物のルートマット構造でした。従来の工法では、河川は周辺地下水系と繋がり育まれる生態系を護岸で分断します。擁壁は背面の山体の植物・昆虫・微生物などの生態系との空気・地下水の繋がりを阻害します。ブランチブロック工法は唯一、護岸や斜面の安定性と生態系保全を併せ持った工法なのです。

 先の「砂防特論」で、自然界の異常を直すのは自然そのものであり、植生の効果が大きいという話えをしましたが、それに通じるものがあります。造園の専門技術者の方が開発されたそうですが、自然の造詣を深く理解され、基準書ばかりにとらわれていたらできない発想でしょう。

2011年6月25日土曜日

宅地選びの価値

 週間ダイヤモンドが遂に「常識」という言葉で、地盤を知ることを取り上げました。内容的には、地名が語る、昔池や湿地であったところなど、”私たちが使う教科書”には基礎編で書かれていることですが、やっと一般的になってきました。”資産価値を左右する耐震補強とかかるカネ”という記事では、外壁の耐震補強が13~15万というところですから、簡単な調査と簡便な地盤対策工がこの範囲で収まるようになれば、ビジネスへの門戸が開けるでしょうか。

2011年6月24日金曜日

ざ、、ザ、、THE、、座長~

 社長から打診がありました。今年10月に行われる応用地質学会で、座長をやってみないか、、と、、いいのかなあ、応用地質学会誌には報告こそ1本あり、また研究小委員会にも8年ほど参加させて頂いてはいるものの、座長とはちょっと荷が重い。まあでも、二度とない?かもしれないのでやることにしました。

2011年6月19日日曜日

砂防特論メモ

病気を本当に治すのは注射や薬ではなくて身体それ自身であるように、荒廃渓としう自然界の異常を本当に治すのはわれわれの工事ではなくて、自然の力でありそれ自身であるということをいった。ところで、自然それ自身を治す力は、とりもなおさず「植生」の力なのであるから、我々は極力この力を有効に利用するように計画し、実施しまた管理していくのが得策である。
 土木工法一般としても案外この「植生」の力の世話になり、古来これをうまく利用してきたのであって、柳枝工、柳籠、挿柳、水防林、竹林等、、

2011年6月17日金曜日

砂防特論

 今日後輩から、以前このブログでも紹介した「砂防特論」ふが届きました。私もアマゾンで買おうとしたのですが、クリックの先を越されたようです。

 http://design-with-nature-simogawa.blogspot.com/2011/01/blog-post_14.html
 砂防とはその終局において”緑化”を目的とする

 古い本でしたので、スキャンするにも丁重に扱わないと壊れしまいそうです。それにしても、読みやすい本でした。昔の人は、現場に基づいてシンプルに、かつ熟考されているので、理解が深まります。

2011年6月16日木曜日

「出世」という言葉のイメージ

 こんなニュースがありました。

 新入社員の間で、“管理職志向”が強まっている
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110616-00000039-zdn_mkt-bus_all
 
 この春に就職した新入社員は、仕事に対しどのような考え方をしているのだろうか。将来の進路はどのような方向を望んでいますかと聞いたところ「管理職として部下を動かし、部門の業績向上の指揮を執る」という“管理職志向”が過去最高だった昨年から、さらに3.9ポイント上昇し48.1%であることが、産業能率大学の調査で分かった。
 「出世」という言葉を聞いて、どんなことをイメージする人が多いのだろうか。「努力・能力の証」(25.9%)と答えた人が最も多く、次いで「責任の増大」(24.0%)、「社会的なステイタスの向上」(19.6%)と続いた。昨年、一昨年は「責任の増大」「努力・能力の証」「所得の向上」の順だったが、1位が入れ替わった。

 この業界は特殊(公共事業調達に限っては)ですから、仕事の価格と自らの技量にあまり相関がありません。ですから、出世のイメージが違うことにもなるでしょう。私たち技術職は、スキルアップの結果としての出世というイメージでしょうか。

2011年6月13日月曜日

宮崎市の標高概要図

 意外と地盤の標高は気にしないものです。宮崎市が作成したマップは、色合いも分かりやすく、実用的だと思います。

 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/246710

 もちろん地形発達史や地盤条件を細かく見る必要がありますが、地盤への興味のもち始めとしてはよいのではないでしょうか。

2011年6月12日日曜日

地理教育の現実

 ツイッターから地理の授業を行っていない学校が多いという記事があって衝撃を受けました。地学がないことはもう周知のとおりですが、、日本地理学会の調査でも、イラクや宮崎県を知らない大学生が半数近くに上るのだとか、、、

 http://www.itochiri.jp/image/presen2998-72101.pdf

 これでは東日本大震災の本質など見るまでもない、、ちょっと暗い気分になりますね。宅地選びで地盤を理解することに眼が向いているようですが、その知識基盤を充実していないと効果半減。

2011年6月11日土曜日

もう一休み

 つゆの不安定な気候のせいで、不覚にも風を引いてしまいました。

2011年6月10日金曜日

大規模地すべりの機構解明検討委員会

 地すべり学会で標記の委員会の委員を募集しているので応募しましたが、まだ返事がありません。東日本大震災などあって混乱もあるでしょう。それ以上に、どうも斜面変動に関する用語もいろいろです。最近”はやり”は「深層崩壊」ですが、その素因を示す言葉も岩盤クリープであったり、緩み岩盤であったり、クリープだったり、、そのあたりも議論していくのでしょうか。自然現象と人々の生活の関連という防災の原点に立ち返らないと、船頭多くして、、、になりそうです。

 http://japan.landslide-soc.org/news/pdf/buinbosyu.pdf

2011年6月8日水曜日

自然災害と経済災害と家の安全

 今朝のニュース番組で、家選びの価値観が変わり、人気エリアが湾岸から内陸部に移っているとの報道がありました。確かに固い地盤を選びたいと思い、古地図を閲覧希望者が急増しているといったことは、防災の観点から望ましいことです。やはり、首都圏2000万人が地震の恐怖感を共有し、液状化や地盤の変状を目の当たりにすると、世の中が動きます。
 その一方で、もうひとつの考え方として、戸建やマンションよりもアパートを選ぶ傾向が強くなっているとも聞きました。巨大なローンを抱えたくないということでしょうか。経済災害のリスク回避です。実は私もそうしています。 でも、あんしん宅地のビジネスモデルとしては、ちょっと仕事になりにくい状況ではありますが、、、

2011年6月7日火曜日

自然のペースと生活のペース

 地形・地質にかかわる人は、東日本大震災で、石巻市や牡鹿半島が沈下したという事実にちょっとした違和感を感じた人も少なくなかったと思います。三陸海岸には、最終間氷期(約12万年前)の海成段丘が形成されている、つまり隆起海岸だからです。このことについて、静岡大学の新妻先生の記事に、以下のような説明がありました。

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速報9)歴史地震とプレート沈み込み
http://www.niitsuma-geolab.net/archives/404#more-404
三陸海岸の沈降について多くの専門家が安易に口にしないのは三陸海岸にも海岸段丘が在るからである.日本列島に広く海岸段丘が形成された約12万年前の最終間氷期の下末吉海岸段丘が三陸海岸にもある.ただし,その高度は25-35mと福島県浜通の30-50mよりも低い.海岸段丘高度は,形成時の海水準と形成以降の地殻変動によって支配されているので,三陸海岸は福島県浜通よりも沈降していると言える.三陸海岸の位置は,北上山地の隆起と日本海溝の沈降の均衡によって支配されている.今回の東日本巨大地震による日本海溝側への沈降によって海岸部は沈下したが,北上山地の隆起によって回復するものと予想される.国土地理院資料によると牡鹿半島は既に隆起を開始している.
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そのうち自然は”いつものペース”で隆起を開始するでしょう。でも人々の生活にとっては”いつものペース”とはいかないので難しいところです。

2011年6月6日月曜日

文学部 史学・地理学科 地理学専攻

 上記は私の最終学歴です。実にシンプルです。地理学科の中でさらに何を専攻していたのか、と聞かれると説明を要しますが、横文字もなく履歴書にも記入しやすい。なぜこんな記事を書いたかというと、今日の産経新聞の記事に、このようなものがあったからです。
 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110606-00000094-san-soci
大学に個性的学部名増える 全入時代に生き残りをかける

 「最高学府」てのはもう死語でしょうか。目先のイメージが先行し、逆に個性がなくなっている。「文学部が消える日」という書籍があるそうですが、文学部と理学部がなくなってしまっては「真実を究める、原点から物事を考える」といった”学を問う”ことができなくなると思います。一時大学レジャーランドという言い方がされましたが、さらに専門学校化が進んだ感じですね。会社の同僚は「文理学部応用地学科」なのに、新入社員は同じ先生の研究室にいて、、、、、なんだっけ、すごく長くて覚えられません。

2011年6月5日日曜日

結構ヒットしました

 今日は一日出かけていたので、パソコンもいま見ていましたが、昨日の記事が結構ヒットしていました。アクセス解析のグラフが飛びぬけておりました。以前、会社の上司・同僚が、四国の中央構造線に近い地すべり地形ほど、面積が大きくなるという論文を書いていましたが、これから大地動乱の時代ですので、地形発達史のドラスティックなヒトコマを目の当たりにする機会もあるかもしれません。

2011年6月4日土曜日

日本三景のうち2つは地震による地すべりが原因だった?

 先日大阪に出張した際、出張先の会社の人が丹後半島の地すべり地帯にいかにも飛んで行きそうなアンカーがあって、それを見に行くんだという話をしました。それをきいて、丹後半島&地すべりという条件でグーグル検索してみたところ、京都府埋蔵文化財センターの報告書で、日本三景のひとつである天橋立は、直下型地震による地すべりによって大量の土砂が供給されてことが、地形形成の主要因であると述べられていました。

天橋立の成立過程
http://www.kyotofu-maibun.or.jp/data/kankou/kankou-pdf/ronsyuu6/36arii.pdf

これまので定説として、河川の沖積作用と沿岸流の相互作用が述べられていました。でも改めて地形図を見るとなるほど、断層地形の抜け跡の地形も存在します。そして、この論文を読んで直ぐに思い出したのが、香川大学の長谷川先生の「日本三景の松島は巨大地すべりだった」という発表です。

http://blog.livedoor.jp/ohta_geo/archives/51391700.html

さきの天橋立の論文でも、中越地震や岩手・宮城県内陸地震など、直下型地震によって天然ダムを発生させる大規模地すべりの事例を上げ、天橋立の成立過程を地震に伴う地すべりに求めることは不自然ではないと述べられています。

それにしても、日本を代表する景観が地震と地すべりによって形成されているとなると、自然がもたらす災害と恩恵が表裏一体であることを、改めて実感します。

2011年6月3日金曜日

雲仙火砕流から20年

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110603-00000332-yom-soci
 43人の死者・行方不明者を出した長崎県雲仙・普賢岳の大火砕流から、3日で20年を迎えた。被災地の同県島原市では犠牲者の追悼式が開かれ、遺族や消防、行政、報道関係者ら約700人が鎮魂の祈りをささげた。
 大火砕流は1991年6月3日午後4時8分に発生。普賢岳の麓の同市上木場地区で警戒に当たっていた消防団員12人のほか、警察官2人、住民6人、火山学者3人、報道関係者16人、タクシー運転手4人が巻き込まれ、犠牲になった。

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 この災害で、「火砕流」という言葉が一般化しました。ただ、いまでも思うのは、「大」なるのは災害であり、火砕流ではないということです。火砕流の映像が多く流れたため、心象も「大」であったと思います。ただ、九州には姶良カルデラ、阿蘇カルデラ等をはじめとして、世界的規模で巨大な火砕流堆積物が存在します。雲仙の事例は「火砕流」とはすべからくこういう規模だという認識の方がよい。このことは『死都日本』でも述べられていました。
 火砕流による災害は、地震や豪雨に比べて頻度が低いためにスケール感がないのかも知れませんが、自然の成り立ちを理解しておくことは、防災の想定を理にかなったものにする第1歩です。

2011年6月2日木曜日

建築知識 

http://www.xknowledge.co.jp/book/detail/34291106

建築知識の6月号では、緊急特集、都市を襲った液状化という記事が組まれます。そのうち、丘陵地の宅地破壊についてものべられると思います。

2011年6月1日水曜日

大阪から帰ってきて、、

 いま東北地方の復興に国を挙げて取り組まれており、通常の公共事業は削減されるか、あるいは発注が少なく、私たちの同業者も被災地の復旧に直接関わらない部分では、あまり仕事がないような状態だという話を聞きます。先週は学生時代を過ごした大阪に出張でした。私の下宿は千里ニュータウンの南すそにありましたが、日本を代表する大規模な切盛造成地のひとつです。人も盛土も高齢化していました。
 確かに被災地の復旧・復興はとても重要な課題です。その一方で、日本の主たる国土軸である三大都市圏の防災対策、既設施設の補強・維持管理に関する議論が冷めている感じがします。いまのところ一番安全な(事故実績のほとんどない)新幹線に乗りながら、そんなことを思いながらうたた寝をしていました。